「被爆者の苦しみを自分のこととして」被爆二世の沖西慶子さん講話
非核平和展が開かれた中広の赤穂市立図書館で3日、終戦80年記念事業として被爆二世による講話会があり、長崎で母と親族が被爆した沖西慶子さん(60)=広島市=が母や被爆者から伝承した戦時体験を語った。
沖西さんの母・素子さんは1945年8月9日に長崎で被爆。同居のいとこが17歳で命を落とした。沖西さんは2008年に自身に発症した甲状腺がんと母の被爆に因果関係があるのかどうか確かめようと原爆に関する学びを続け、13年から広島市の「被爆体験伝承者」事業に参加。広島の被爆者で、妹を失った細川浩史さんの体験を受け継いだ。現在は広島市被爆体験伝承者、長崎市家族証言者として原爆と戦争の悲惨さ、平和の大切さを説く活動を行っている。
講話で沖西さんは、細川さんや素子さんから聴き取った被爆当時の体験談を落ち着いた口調で語った。13歳で亡くなった細川さんの妹・瑤子さんが書いた日記を朗読し、原爆が投下されるまで家族仲良く生活していた様子を紹介。「原爆は何十万人もの夢も希望も将来も全部断ち切ってしまいました」と大勢の市民の暮らしを奪った核兵器の残虐さを強調した。
また、37万2264人いた被爆者が今年3月末時点で9万9130人まで減少したことを挙げ、「被爆者から直接話を聞くことがますます難しくなっています。今日ここにいるみなさん一人一人が過去の歴史を勉強して、原爆の悲惨さと今でも続いている被爆者の苦しみを自分のこととして考えてみてください。平和と命は何ものにも変えられない大切なものであるということを忘れないでください」と訴えた。