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春から介護士!新人あるあるを紹介 よくある悩みと乗り越え方は?

「みんなの介護」ニュース

藤野 雅一

介護の新人が直面するの共通の悩み

業務の多さと複雑さに戸惑う

介護業界にはじめて足を踏み入れると、多くの新人が業務の多さや複雑さに戸惑うことがあります。介護士はただ身体的なケアを提供するだけではなく、利用者の精神的サポートや日常生活の細やかな支援も含まれており、臨機応変な対応とマルチタスクが求められる職業です。

介護現場では、利用者一人ひとりに合わせたケアが求められるため、覚えるべき業務手順も膨大です。

例えば、以下のような業務を習得することが求められます。

基本的なケア:食事介助、入浴介助、排泄介助 医療関連の支援:服薬管理、バイタルチェックの補助 日常生活の支援:掃除や洗濯の補助、居室の整理整頓 レクリエーション活動の実施:利用者の楽しみや交流の機会を提供 緊急時の対応:転倒や急変時の初期対応、救急連絡 介護記録の作成:利用者の健康状態やケア内容の詳細な記録

特に、介護記録の作成は新人にとって大きな負担となることが少なくありません。 「記録の書き方がわからない」「何を書けば良いのかわからない」といった悩みは、新人介護士によくある悩みの一つと言えます。

これらの業務を効率的にこなすためには、先輩職員からの指導や業務マニュアルの活用が不可欠です。

業務に慣れるまでの間は、焦らずに一つずつ学ぶことが大切です。また、わからないことはその場で質問する姿勢を持つことで、徐々に業務の全体像を把握できるようになっていきます。

多くの施設では、新人研修プログラムを設けており、基本的な介護技術から記録の書き方まで段階的に学ぶ機会を提供しています。これらのプログラムを最大限に活用することで、業務の多さや複雑さに対する不安を軽減することが可能となるでしょう。

利用者へのケアやコミュニケーションに不安を感じる

介護の仕事において、利用者とのコミュニケーションは非常に重要な要素です。しかし、この点に不安を抱える新人介護士も少なくはありません。特に、認知症の方への対応方法に戸惑うケースは非常に多く見られます。

2024年7月に公益財団法人介護労働安定センターが公表した「令和5年度介護労働実態調査」によれば、介護労働者の35.2%が「利用者に適切なケアができているか不安がある」と回答しています。

これは新人だけでなく、経験者を含めた全体の数字であり、新人に限れば、さらに高い割合になることが予想されます。

また、同調査では「利用者と、その家族の希望が一致しない」(20.6%)、「利用者の家族が必要なサポートや理解をしてくれない」(15.2%)といった利用者家族とのコミュニケーションに関する悩みも明らかになっています。

利用者一人ひとりの性格や好み、生活習慣は異なります。それぞれの背景を理解し、適切なケアを提供するためには、しっかりとした観察力とコミュニケーション能力が求められます。

特に認知症の方は、時に混乱したり、感情的になったりすることがあり、その際の対応方法に悩むことも多いでしょう。

新人介護士が利用者との信頼関係を構築するには、まずは何気ない会話から始めることが重要です。利用者の話に耳を傾け、共感の姿勢を示すことで、徐々に信頼関係を構築していくことができるようになります。

また、先輩職員の対応を観察し、学ぶことも効果的なアプローチの一つとなるでしょう。

認知症ケアについては、専門的な知識と技術が必要となるため、関連する研修や勉強会に積極的に参加することも大切です。利用者の行動や言動の背景にある思いを理解することで、より適切な対応ができるようになっていきます。

先輩職員や同期との人間関係構築に悩む

介護の現場では、チームワークが非常に重要です。しかし、新人介護士は先輩職員や同期との人間関係構築に悩むことも少なくありません。特に、業務が忙しい環境では、十分なコミュニケーションを取る時間が確保できず、孤立感を抱くことがあります。

新人のうちは業務に追われていることが多く、質問したいことがあっても、先輩職員が忙しそうにしていると声をかけづらいと感じることもあるでしょう。

また、若い世代と経験豊富な先輩職員との間では、価値観や業務の進め方に違いが生じることがあります。これらのギャップを乗り越えるためには、オープンなコミュニケーションが不可欠です。

人間関係構築のポイントは以下の通りです。

積極的なコミュニケーション 新人介護士は、自分から積極的に話しかけたり、意見を求めたりすることで、関係構築の第一歩を踏み出すことが大切です。 学ぶ姿勢を持つ 先輩職員の経験や知識を積極的に吸収することで、業務の理解が深まり、成長の機会が増えます。その過程で自然と信頼関係も築かれ、より円滑なコミュニケーションが可能になります。 職場イベントへの参加 職場内の定期的なミーティングや交流イベントに参加することも、良好な人間関係を築く機会となります。これらの場を通じて、日常業務では気づけない同僚の一面を知ることができ、相互理解が深まることでしょう。

人間関係が良好であれば、業務上の困難に直面した際にもサポートを受けやすくなり、職場でのストレスも軽減されます。最初は緊張するかもしれませんが、少しずつ関係を深めていくことで、働きやすい環境が整っていくことでしょう。

新人介護職員の悩みを解決するためのアプローチ

段階的な学習計画と目標設定の重要性

新人介護士が業務の複雑さを乗り越えるには、段階的な学習計画と明確な目標設定が効果的です。まずは業務の優先順位を明確にし、必須スキルから順に習得していくことが重要です。

具体的なアプローチとしては、以下のように短期目標と長期目標を分けて設定すると効果的です。

短期目標(1ヵ月以内)

(例)基本的な介護技術(移乗、食事介助、排泄介助など)の習得

中期目標(3ヵ月後)

(例)利用者とのコミュニケーション能力の向上

長期目標(半年~1年)

(例)より高度な介護技術の習得、チーム内での円滑な連携

また、目標達成のためのステップも細かく分けると、達成感を得やすくなります。

例えば「入浴介助」というスキルなら、準備、声かけ、脱衣、洗身、着衣など段階に分けて習得していくことで、着実にスキルアップできます。

加えて、定期的な振り返りも大切です。週に一度自分の成長を確認し、課題を見つける時間を設けることで、自己成長を実感しつつ次の目標へとつなげられます。

介護の技術は一朝一夕に身につくものではありません。焦らず段階的に学んでいくことで、業務への自信が生まれ、不安の軽減につながるでしょう。

メンター制度や定期的な振り返りセッションの活用

新人介護士が職場に順応するには、メンター制度の活用が効果的です。メンターとは、経験豊富な先輩職員が新人に個別サポートを行う制度のことで、業務上の疑問や不安を気軽に相談できる環境を整えます。

メンターを通じて「経験に基づく対応方法」や「新人がつまずきやすいポイントとその克服法」などを学ぶことで、マニュアルだけでは得られない実践的な知識を習得できます。

また、同じ悩みを経験してきた先輩の存在は、精神的な支えにもなるでしょう。

さらに、定期的な振り返りセッションも重要です。週1回や月1回の面談で、新人が直面している課題や成長を共有する場を設けることで、問題の早期発見と解決が可能になります。

振り返りでは「できたこと」に焦点を当てることも大切です。日々の成功体験の積み重ねが自信につながり、モチベーション維持に役立ちます。

メンター制度がない職場でも、自ら相談役を見つけることで悩みの解消につながります。業務スタイルが似ている先輩や話しやすい上司に積極的に質問する姿勢を持つことで、独自のメンター関係を構築できるでしょう。

セルフケアの方法や職場でのサポート体制の構築

介護の仕事はやりがいがある一方で、慣れるまでに戸惑うことも多いかもしれません。安心して働き続けるためには、自分自身のケアと職場のサポートを上手に活用することが大切です。

まず、日々の健康管理を意識することが基本となります。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけることで、体調を整えましょう。また、業務の合間に深呼吸やストレッチを取り入れると、気分転換にもなり、リフレッシュできます。

こうしたセルフケアに加え、職場のサポート体制も重要です。

前述の調査では、働き続けるうえで役立っている職場の取り組みとして、「ハラスメントのない人間関係の良い職場づくり」(37.8%)が最も高くなっています。

次いで、「仕事の内容は変えずに、労働時間や労働日を本人の希望で柔軟に対応している」(35.9%)、「職場のミーティング等で、介護の質を高めるための価値観や行動基準を共有している」(33.8%)といった取り組みが挙げられています。

このように、多くの職場では、介護士が安心して働ける環境づくりに取り組んでいます。

また、困ったことがあれば、相談できる窓口や先輩スタッフを頼ることも大切です。定期的なメンタルヘルス研修を実施している施設もあり、これらを活用することで無理なく働き続けることができるでしょう。

職場の仲間との関係を深めることも、仕事を続けるうえでの大きな支えになります。休憩時間に会話をしたり、業務外の交流を通じて信頼関係を深めることで、安心して働ける環境をつくることが効果的です。

介護の新人が成長するための3つのキャリアビジョン

スペシャリストとしてのキャリアパス

介護業界でのキャリアパスは、特定分野のスペシャリストになることが一つの道です。介護領域には認知症ケア、終末期ケア、リハビリテーションなどさまざまな専門分野があり、そのいずれかに特化することで高い専門性を身につけられます。

スペシャリストを目指すための第一歩は、まず自分が興味を持てる分野を見つけることです。日々の業務の中で「もっと深く知りたい」と感じる領域に注目しましょう。

例えば認知症ケアに関心があれば、認知症の種類や症状、効果的なコミュニケーション方法などを学ぶことから始められます。

次に、専門性を高めるための資格取得を検討しましょう。認知症ケア専門士や介護福祉士などの資格は、知識を体系的に学ぶ良い機会となります。

資格取得過程では実務経験も積むことが求められるため、日々の業務を学びの場として意識的に取り組むことが大切です。

なかには、レクリエーション介護士といった民間資格もあります。これらの資格を取得することで、介護の現場に楽しさを取り入れる専門的な技術を身につけられるでしょう。

また、研修やセミナーへ参加することも、専門性を高めるためのポイントです。最新の知識や技術を学ぶことで、ケアの質の向上を目指せます。同じ分野の仲間と交流することで、新たな気づきや刺激を得られるでしょう。

このように段階的に専門知識を深めていくことで、利用者やその家族からの信頼を得るだけでなく、後輩の育成や職場全体のケア向上にも貢献できるスペシャリストへと成長できます。

マネジメント職としてのキャリアパス

介護業界でのキャリア形成には、現場のリーダーや管理職を目指す道もあります。
多くの施設では、以下のようなキャリアステップが存在します。

介護主任 ユニットリーダー フロア責任者 施設長

マネジメント職を目指すには、まず介護技術の基礎をしっかり習得したうえで、リーダーシップやチームワークのスキルを磨くことが求められます。日常業務の中でも積極的に意見を出したり、改善提案をしたりすることで、リーダーとしての素質をアピールできます。

人材育成の観点では、後輩への指導経験を積むことも重要です。新人教育を任されたときは、自分の知識を整理して伝える良い機会と捉えましょう。

また、管理職に必要なビジネススキルとして、業務効率化や問題解決能力、コミュニケーション力も欠かせません。

介護現場のマネジメントでは、利用者の満足度向上と職員の働きやすさのバランスを取ることが求められます。チーム全体の目標を設定し、メンバーの強みを活かした役割分担をする能力も必要です。

現場経験と専門知識を兼ね備えたうえで、組織マネジメントのスキルを磨くことで、介護サービスの質向上に貢献できる管理者へと成長できます。

多様な働き方を活かしたキャリア形成

介護業界では、さまざまな働き方でキャリアを形成することが可能です。自分の適性や生活状況に合わせて多様なキャリアパスを選択できる点は、この業界の大きな魅力といえるでしょう。

多様なキャリア形成の例として、介護の経験を活かした生活相談員やケアマネジャーへの転身が挙げられます。

前述の調査によれば、介護職員の中で今後取得したい資格として「介護支援専門員」が41.8%と最も高く、次いで「介護福祉士」が33.3%となっています。

これらの資格は、キャリアの幅を広げる重要なステップとなります。

また、特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護など、異なるサービス形態を経験することで、幅広い視点を持った介護のプロフェッショナルになることも可能です。

ワークライフバランスを重視したい場合は、パートタイムでの勤務や夜勤専従など柔軟な働き方を選択できます。また、介護の知識を活かして福祉用具専門相談員や介護予防指導員など関連分野への転身も考えられるでしょう。

介護業界での経験は、将来的に起業するための基盤にもなります。地域のニーズを把握したうえで、小規模デイサービスや介護相談事業といった形で独立する道も開かれています。

介護の仕事は人と深く向き合う仕事であり、その経験はさまざまな分野で活かせる貴重な財産となります。自分の強みや価値観を見つめ直しながら、柔軟にキャリアを形成していくことで、長く働き続けられる道が見つかるでしょう。

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