この10年間、オフィスで減ったのは更衣室・倉庫・デスクスペース 増えたのは? コクヨの事例
コクヨ(大阪府大阪市)は10月22日、過去10年間のオフィスの変化や、今後のオフィスづくりに必要な考慮点をまとめたレポートを発表。執務エリアは増加傾向にある一方、デスクスペースは縮小傾向にあることが明らかになった。
「2024 OFFICE DATA BOOK」は、同社がオフィス構築を手掛けた図面から得られる情報を集計・分析したレポート。執務エリア、会議・ミーティングエリア、支援エリアなど5つに分けて2012年のデータと比較している。
執務エリアは拡大しデスクスペースは大きく減少、ABW普及の影響
「執務エリア」の面積割合は全体の65.6%で、2012年(53.1%)に比べ10ポイント以上増加した。ABWの普及に伴い、執務エリアにWeb会議ブースやソファ席など、さまざまなしつらえが取り入れられるようになったため、とレポートでは分析。特にコロナ以降、Web会議ブース(個室タイプ・セミクローズタイプ)の採用率は9割に上る。ソファ席も78.6%が採用している。
通路を含めた「執務エリア」面積の内訳は、デスクスペースが28.7%、通路が51.7%だった。デスクスペースは2012年(43.3%)より約15ポイント下がっており、大きく減少していることがわかる。ABWの導入率は55.4%だった。
小規模会議スペースが増加、出社率の復活を見込んで座席数は多めに設定
フリーアドレスの席設定率は、6割以上の企業が、座席数を在籍者の80%以上と設定している。「将来の増員や出社率の復活も見込み、多めに設定しているのではないか」とレポートでは分析する。
会議室やミーティングエリアといった、打ち合わせのためのスペースについて、1人当たりの箇所数はともに増加傾向にある。ミーティングスペースは平均17人に1か所、会議室は平均29人に1室、設置されている。たとえば、コクヨのオフィス「THE CAMPUS」は、会議・ミーティングエリアを全体の40%に拡大。会議室のうち80%を社外会議室として設定しており、顧客やパートナーとの打ち合わせを重視した配分にしている。
一方、いずれも小規模化が進んだ。「4人・6人・8人用」の会議室の割合は10年前より14ポイント増加し、ミーティングスペースに「4人用」が占める割合もアップしていることが別のデータで示されている。
食堂・更衣室は半減、倉庫が占める割合も減少傾向
食堂・更衣室・喫煙室の設置率は、10年で50%以上減少したことも明らかに(2012年18.3%→2023年7.9%)。「食堂を廃止したり、健康管理の観点から喫煙室を専有部に設けない企業が増加するなど、機能自体が減少している」と同レポートは指摘する。また、書類量の減少に伴い、倉庫の占める面積割合が減少(2012年77.9%→2023年67.3%)。1人当たりの収納量も2012年より半減しているというデータも示されている。
「総務入門講座」では、オフィスレイアウトの基礎知識を紹介。レイアウトを変える際の事前準備や社員のモチベーションを上げるレイアウトのポイントなどを詳しく解説している。
「2024 OFFICE DATA BOOK」は、同社のオフィス空間設計部門が手掛けた2023年に竣工(しゅんこう)案件のうち、用途・設計範囲などの条件がそろう56件を対象に調査を実施。オフィスの人数規模別の解析などを通して、今後のオフィス作りのキーポイントを考察している。同社の公式ウェブサイトからダウンロードできる。