「あなたの嫁さんがベランダで歌っている!迷惑だ!」謎の女性が突然の怒鳴り込み しかし妻は寝ていて…… 男性が語る恐怖
“隣人ガチャ”と言われるが、家は選べても隣人は選べないもの。ある日突然、トラブルに見舞われることもあるようだ。
中部地方のマンションに住む和田さん(仮名)も、隣人トラブルに見舞われたことがある。次のように語った。
「ある夜、玄関チャイムが鳴り、インターフォンカメラの映像には女性が写っていました。そして『あなたのところの嫁さんがベランダで、今、歌を歌っている!迷惑だ!』と言われました」
しかしこのとき妻は、寝室で寝ていたというのだ。一体どういうことだろうか。この奇妙な訪問者とのやりとりの一部始終を和田さんに聞いた。(文:天音琴葉)
「嫁さんは隣の和室で寝ていたため、ベランダに出てもいない」
この日は休日で、外出先から帰宅した和田さんは和室でテレビやネットのニュースを見てまったりしていた。そこに前述の通り訪問者がやってきたのだった。時刻は夜19時から20時の間だった。
インターホンのカメラに写っていた女性の風貌について、次のように説明する。
「20代から30代で、長めスカートを履いていました。体格は、痩せても太ってもいない感じ。髪が長く、インターホンの画像では顔がはっきりと見えませんでした。また、足首まで写っていたので、ドアから少し離れた位置に立っているなと思いました」
妻がベランダで歌っていると言われた和田さんだが、「嫁さんは隣の和室で寝ていたため、ベランダに出てもいない」というから不可解だ。この女性とのやりとりの一部始終を回想した。
女性「歌を歌っている!迷惑だ!うるさい!静かにしろ!」
和田さん「え、何?歌なんか歌ってないです」
女性「今ベランダで、あなたのところの嫁さんが歌っている!」
和田さん「今?歌ってないです」
すると騒ぎを聞きつけた妻が起きてきて、「何?」と尋ねた。和田さんから苦情の内容を聞かされた妻は、「え、ここにおるやんね」と絶句する。
二人で顔を見合わせたあと、和田さんは念のため窓を開け、ベランダを確認した。だが当然のごとく誰もいない。それどころか周りで歌っている人もいない。車の走行音しか聞こえない。そこでインターホンに向かって「ベランダには誰もいませんって」と返すも、女性は「歌をやめろ」の一点張りで、まったく聞く耳を持たなかった。
ここでインターホン越しの会話をやめ、玄関のドアスコープを覗いた。だが不思議なことに女性の姿は見えなかった。玄関ドアを開けて通路を見渡すも、誰もいなかった。女性は素早くエレベーターに乗り込んだのだろうか……
「目の前のエレベータの動作を見ても動いていませんでした。嫁さんに『誰もいなかった』と言うと、『うわ、怖』と……。結局、『明日、管理人さんに言ってみよう』と話しました」
最初から最後まで奇妙な訪問者だった。会話していた時間は2分ほどだったというが、もっと長く感じたに違いない。
別の階のテレビの音声が周りの建物に反射した?
さっそく翌朝、マンションの管理人に昨夜の出来事を相談した。
「別の階のテレビの音声とかが周りの建物で反射して、嫁さんがベランダで歌っていたと勘違いされたのではないかと管理人さんは予測していました」
確かにマンションでは音の響き方が独特だから、その可能性もあるかもしれない。この管理人はほぼ毎日勤務しており、住人の顔もよく知っていた。そのため女性の外見的特徴も伝えたものの、管理人は「うーん」と唸り、どこの誰かは特定できなかった。
また何かあったら報告すると言い、話を終えた。だがその後、苦情は一切来ていないという。女性の正体も謎に包まれたままだ。和田さんは、「マンション内であの女性に似たような人を二回ぐらい見たような気がするが、声を聞いてないのでその女性だとは言い切れない」とし、こう続けた。
「未だに誰が怒鳴り込んできたのかわからない。また、あの騒動の近辺で、住人から管理人へ『ベランダで歌を歌っているので何とかしてくれ』などのクレームは入っていない。あの日やってきた女性が同じマンションの住人かどうかさえわからなくて怖い」
当該マンションのようにオートロックでは、住人以外が紛れ込む可能性は少ないだろう。だが可能性がないとは言えず、恐怖を感じるのも無理もない。
隣人トラブルはある日突然やってくる。まったく非がないのに巻き込まれることもあるから厄介だ。
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