Yahoo! JAPAN

ボディビル・フィットネス競技の極意とは?|“にわか”のためのルールブック

Sports

国内で約1,640万人いると言われる筋トレ人口。やっていない方でも一度は「筋トレやってみようかな」と思ったことがあるのではないでしょうか?その筋トレの最高峰の舞台、一度見てみたいと思いませんか?

皆さんがよく耳にするであろう『ボディビル』は、実は『フィットネス競技』と言われるもののカテゴリーの一つです。「いかに自分の肉体を美しく魅せるか」を競う審美系の競技であるフィットネス競技ですが、見る側はどのように楽しめばいいのでしょうか?

イメージがつく人もそうでない人も、これを読めばフィットネス競技のにわかファンの仲間入り!

監修:Fittnes World Japan(以下、FWJ)

『“にわか”のためのルールブック』は、見えるをデザインするブランド『WAVE』とのコラボレーションで実現した連載です。

「スポーツの“見える”をもっと楽しく!」をテーマに、さまざまなスポーツの“にわかファン”向けコンテンツを発信していきます。

フィットネス競技とは?

フィットネス競技とは、日頃から鍛えている体を披露し、その美しさを競う競技です。カテゴリーによって求められる美しさが異なり、求められる筋肉量や皮下脂肪の量など、カテゴリーごとに特徴があります。
また、どのカテゴリーも筋肉量だけが評価されるのではなく、左右の筋肉がシンメトリーであることや、ポージングやボディカラー、衣装、パーソナリティー(個々の魅力)を最大限を引き出させているか否かなども評価のポイントです。

なぜ体を黒くするの?

ステージ上では強い照明で選手を照らすため、肌色のままでは白飛びしてしまい筋肉のメリハリや筋肉と筋肉の境目(セパレーション)が審査員に伝わりにくくなります。鍛え上げた体をより美しく魅せるために、体をこげ茶色や黒色にカラーリングします。
過度なカラーリングとならないように大会で規定するケースもあるほど、審査において重要となる要素の一つでもあります。

カテゴリー(メンズ)

ボディビル

上半身からお尻を含む脚までの筋肉の大きさ、皮下脂肪の少なさ、筋肉の輪郭や付き方のバランスを競う競技。「全身が大きな筋肉に覆われているほどカッコイイ」点がボディビルの魅力ですが、特定の部位ばかりが大きければ良いのではなく、全身のバランスがとても重要。

山岸 秀匡 選手メンズフィジーク

サーフパンツを着用し、夏の海辺で目を引くような引き締まった体や上半身の適度な筋量やバランスをアピール。そのかっこよさを競う競技。全身の筋肉の大きさを魅せるボディビルとは異なり、筋肉量の評価ポイントは上半身に置かれる。

上里 譲 選手クラシックフィジーク

フィジークとボディビルの要素を併せ持ったカテゴリー。フィジークの要素、アウトライン、腹筋に加え筋肉の大きさ、皮下脂肪の少なさ、筋肉の輪郭、筋肉の付き方のバランス、ポージングなどをトータルで審査します。

湯浅 幸大 選手

カテゴリー(レディース)

ビキニ

少し丸みを帯びた肩、張りと丸みがある臀部(お尻の筋肉)、後ろ太もも(ハム)と臀部の筋肉の境目が見えるといった筋量や筋肉のバランスが大切な他、髪型やメイクも評価ポイントとなり、女性らしいトータル美を競う。また、総合的外観(肌色、ポーズ、表現力、笑顔、自信)、カリスマ性(能力 & 魅力)が表現できているか否かも重要。

サリーアン 加藤 選手ウェルネス

女性の他カテゴリの中でも特に大臀筋、大腿部を重要視するカテゴリー。上半身の筋量は大臀筋、大腿部ほどは重要視されないが、くびれたウエストは必要。
健康的で美しい女性らしい筋肉のラインを持ちつつ、特に下半身の発達が重要なカテゴリーであるが、優雅なポージングが求められるなど女性らしさも重要。

土居 楓選手フィギュア

ビキニやウェルネスよりも全体的な筋肉量が多く、女性らしい筋肉美を競う競技。
特に肩幅が広く、背中がVシェイプ(逆三角形)の形をしていることが求められる。
全身のバランスが取れた引き締まった体が重要である他、「シンメトリー(左右対称)」を意識したクラシックでしっかりとしたポージングを取る点も特徴。

三上敦子選手

FWJに聞く!フィットネス競技の魅力とは?

実際にフィットネス競技において審査員をされている Sally Sasakiさん(以下、Sally)、FWJ 運営事務局の石崎洋平さんにお話を伺います。

ーーフィットネス競技は、“どんな競技”ですか?

石崎)私がよくトレーニングをしている方に言うのは、「誰でもできる競技だよ」ということです。トレーニングを続けていけば、誰でも体を“ビルディング”することができます。一定の期間頑張ると、身体に変化がくるタイミングがあり、そこからハマっていく方が多いですね。いくつになっても“誰でも目標に向かって歩き続けることができる”ということが、フィットネス競技の魅力だと思っています。

Sally)『フィットネス』という言葉を使うようになり、日本における『ボディビル』と言われていた印象から少し変わってきているように感じています。ボディビルのような筋肉の大きさをつけていくカテゴリーだけではなく、男女ともに多様なカテゴリーがあります。ボディビルのような、「すごい筋肉!」という驚きだけではなく、「かっこいい、自分もなれるかも」と思って身近に感じることのできるような競技になっています。
体を鍛え上げた選手たちの裏側には、日々のトレーニングや食事、まわりの家族やパートナーのサポートなど、多くの苦労があり、その努力がスポットライトを浴びる瞬間には多くの方の感動がある、というのもこの競技の魅力ですね。

ーー初めて“フィットネスの大会”を観に行くときに、見るべきポイントはありますか?

Sally)当日はMCの方が、「こんな応援をしてね!」と観客ともコミュニケーションを取ってくれます。応援する人は、お気に入りの選手を見つけてゼッケン番号を叫んでくれると、ジャッジをしている私からしても「お、呼ばれてる番号の選手よく見てみようかな」と思わされますよね(笑)。

ここがおもしろい!観戦前に知っておきたい豆知識

審査形式

INDIVDUAL POSING

選手名のコールに合わせて、順番に1人ずつ出てポージングをします。ここでは、選手を見ながら自分の“推し”を見つけておきましょう!
また、このあとには全員並んでの審査があるので、「どんな順位になるんだろう」と自分なりに順位予想をするのも楽しみ方の一つです。

PREJUDGING

6~7人が並んで行う比較審査です。評価の高い人から番号を呼ばれる『ファーストコール』の瞬間は、勝負の流れが決まる緊張の瞬間です。真ん中に近い人から評価が高いとされており、「Swich」という審査員からの声掛けとともに場所を入れ替えながらポージングを行いますが、順位や評価が明確にわかるものではないので、「真ん中の人と入れ替わった人は、どんなところが違うんだろう」と想像しながらワクワクドキドキを楽しみます。
『セカンドコール』『ファイナルコール』を経て優勝者が決まっていきます。

審査員(ジャッジ)はどこを見てる?

Sally)「この人の体が大きい!」というのは誰が見てもわかりますが、私たちは筋量だけでなく、“コンディション”もしっかりと見ています。コンテストにおいては、身長は小さいけれどもきちんと絞れている人が勝ったりすることも多くあります。
また、部位1つ1つがそれぞれ鍛えられていると、“セパレート”と言って体のラインが彫刻のように浮き出てきます。そうした形が出てきているかどうか、例えば背中がVに見えるような“アウトライン”という体の見え方もよく見ているポイントです。カテゴリーによっては上半身と下半身のバランスや左右差も点数に反映されたり、「1つの部位がすごければいい」というわけではないのもフィットネス競技の審査で大きなポイントですね。

初出場の人も讃える“1人1人が素晴らしい”という文化

フィットネスの評価には「コンディションが大事」と言われるように、筋トレと言われるトレーニング以外にも季節やその日に向けて摂取する栄養、肌のうるおいなど、多くの要素が関係してきます。「さまざまな要素をパズルのように組み合わせる(石崎)」という要素があり、筋肉を鍛えるというベース以外にも多方面の努力と調整が必要な世界。「これが合致して組み合わさり、いいパフォーマンスになったときには喜びもひとしお」というその競技の奥深さは、知れば知るほどハマっていく要素が満載です。

さらに、“披露するまで努力する”過程もフィットネス競技では大事にされているため、初めて出場する人への賞賛も惜しみません。「どういうところが足りなくて今の順位なのか、できる限り説明する(Sally)」というジャッジの方々の姿勢も、これまでの努力を肯定された上で、またさらに努力しようという選手へのモチベーションになることでしょう。

日頃のトレーニングだけでなく、グラム単位で計算する栄養摂取、大会直前の水分調整、大会までのメンタル維持など、さまざまな壁を乗り越えた“努力が見える”競技だからこそ、フィットネス競技は見る人にとっても大きな活力や影響力を与えるようなものになるのかもしれません。

おすすめの記事