三重県・菰野町に里山を生かしたリクリエーション施設「オドルの森」が開業
三重県菰野町は湯の山温泉や御在所岳など、多くの観光客が訪れる山々に囲まれたまち。その山の中で2023年7月頃、静かに発足した「オドルの森プロジェクト」。フォレストアドベンチャー・湯の山に隣接しており、里山をそのまま生かしたリクリエーションの森として、遊びながら環境に向き合える施設です。約1年の準備期間を経て、2024年7月に第一弾となる「カモシカバギー」がオープンしました。
どんなことが楽しめるのか、またオドルの森プロジェクトに込められた想いは何なのか。代表取締役社長を務める大森ユキトさんに、話を伺いました。
大森ユキトさん
子ども時代は「半自給自足の生活」を、10代後半から「考えるより行動」をモットーに全国をバイクで旅してまわった後、役者、日本酒酒蔵の蔵人、アラスカで開拓民の暮らしを間近で体験するなど、多様な経験を積んできた大森さん。そこから「考えて行動する」をモットーに「フォレストアドベンチャー」に出会い下積みを経験する。2016年に木原代表とともに「森の香り」を設立。2019年には三重県菰野町で新プロジェクト「フォレストアドベンチャー・湯の山」を開始。
プロジェクトを立ち上げた背景は?
大森さん(以下、敬称略):この森はもともと里山で、放置林となっていました。放置林が生まれる理由はさまざまですが、根源は「森に価値がない」ということです。昔は木材で何でも作っていたので木材を生む森に価値がありました。けれども現在はプラスチックなどの製品が出回り、木材はそれほど重宝されていません。でも裏を返せば、森に価値が生まれれば放置されることもなく、森を維持することができると考えたんです。
なぜ第一弾としてバギーだったのですか?
大森:この森に価値を生むにはどうしたらいいか…いろいろ考えてたどり着いた結果が、この森の地形を生かしたバギーを使った遊びです。周辺エリアで体験できる場所がなく、他のバギー体験施設は舗装された道路や平らにならされたスキー場で乗ることが大半。でもここは道はガタガタ、起伏もいっぱいあります。この森ならではの地形を生かしたバギー体験なら、価値を生み、人を呼ぶことができるのではないかと考えました。
「オドルの森」という名前が印象的ですね
大森:私たちの社名である「森の香り」は、先代が「木の香りが好き」という理由で名付けられました。私たちも先代の想いを引き継ぎたいと考えていたところ、ふと「香りをラテン語にしたらなんて言うんだろう?」と考えたんです。そしたら「オドル」って聞いて。オドルっていう響きって踊るみたいで楽しそうだね、いいね、体を動かして、五感で森を楽しんでもらおうっていうところからネーミングしました。
大森:この森にはカモシカも住んでいますが、カモシカのようにアップタウンのある地形を楽しめるバギーを…ということでカモシカバギーです。
整備はどのように進めていったのですか?
大森:基本的に一人で、細々と(笑)。手入れされていない森は、光が入らないので本当に真っ暗なんです。木の状態を見ながら残す木と伐採する木を選別し、一本ずつチェーンソーなどで切っていきます。1年かけてこの敷地を整備しましたが、まだ整備できていないところは多いので、これからもどんどん広げていきます。
大森:整備した場所に今、ようやく小さな芽が出てきました。新しい植物が育っていくと、森に保水力が生まれるので自然災害のリスクが軽減できます。ですが、木はすぐに育つわけでもないので、まだまだ先は長いですよ。
カモシカバギーを体験させてもらいましたが、大人も思わず夢中になってしまう楽しさがありますね!
大森:オドルの森に行ったら、「マジの遊び」ができるって思ってほしいなと考えています。もちろん安全管理は徹底しており、ルールも厳しめに設定していますが、あまりにも「作られたもの」ってなんとなくつまらない。遊びながらもリスクを感じてもらって、自分自身で何かしらの気づきを得てほしいと思いますね。
大森:インストラクターの後ろに乗る「ちょこっとバギー」も用意していますが、基本的には150ccの一人乗りバギーを乗りこなせるようになってほしい。自分で運転するからこそ気づけることってありますから。これからも少しずつ森の整備を進めて、バギーコースを増やしていきますので、楽しみにしてください。
(文:河合春奈)
アドベンチャーパーク オドルの森住所三重県三重郡菰野町菰野4958営業時間9:30~15;00、土日祝は8:30~15:00駐車場ありアクセス新名神高速道路 菰野ICより約10分、
近鉄「湯の山温泉」駅より徒歩約10分TEL0593-40-7739
オドルの森 公式サイト
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