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釜石・橋野鉄鉱山、世界遺産登録10年 歴史と自然感じる記念ウオーク 雨に負けず笑顔満開

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 世界遺産に登録されて7月で10周年を迎える釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山」を巡るウオーキングイベント(釜石市ウォーキング協会主催)が17日にあり、市内外の約20人が自然と歴史に触れながら歩いた。あいにくの雨模様ながら、ちょうど満開となった八重桜の歓迎を受けた参加者には天候を吹き飛ばす笑顔の花が咲いた。

 10周年を記念したイベントは同協会の例会行事。一般参加もあり、盛岡市など市外からも集まった。案内役は、同協会員で釜石観光ガイドとしても活動する地元の小笠原明彦さん(68)。インフォメーションセンターを発着点に、高炉跡、普段は立ち入りが制限されている区域にある青ノ木橋、旧道・笛吹街道(地元では青ノ木街道とも言う)の一部をたどる往復約5キロのコースを歩いた。

インフォメーションセンターを出発し高炉跡方面へ向かう


二番高炉跡を見学し、さらに歩みを進める参加者


 高炉跡周辺には「種焼窯」「種置場」と記された遺跡が点在していて、小笠原さんは「種って何?…鉄鉱石のことをそう呼んでいた。名付け方が日本人ぽいよね」と解説。高炉の石組みにある凸凹を示し、「これは日本独自のもの。西洋を参考にはしたが、日本の技術も生かした鉄づくりが橋野にはあった」と強調した。寛永年間の時代からあったとされる旧街道では「子どもの頃のあそび場だった」と話し、地元ならではの魅力もこっそり教えたりした。

ガイドの説明を聞いたり、ゆっくりと遺跡周辺を歩く


笛吹街道を踏みしめた参加者。後方は遠野方面に続く


 「鉄の話を聞くうちに歩けちゃった」とうれしそうに話したのは80代の女性。「行ったことのないところに行ける」のが団体に所属するメリットだが、年齢を重ね「みんなと歩くのは大変」になり、今回のコースも途中で離脱するつもりだった。高炉跡周辺や旧街道に続く道が明るく、手入れされているのも歩が進む要因になったようで、「健康づくりに歩くことを続けたい」と前を向いていた。

雨にも負けず、参加者はぐんぐんと力強く歩いた


自然との出合いや仲間との会話もウオーキングの楽しみ


 同協会の遠野健一会長(81)は「ガイドの説明を聞いて頭の体操にもなり、健康を感じてもらえただろう。製鉄の歴史を見ても、製造工程や鉄の品質、技術、日本はどこにも負けないものを持っている。そのスタートが釜石。世界遺産登録10周年を機に歴史の重みを再認識し、170年ほど前に働いていた人たちのことを思いながら、この地を踏みしめてもらえたならいい」と充実感をにじませた。

満開の八重桜に参加者は表情をほころばせる


橋野鉄鉱山がデザインされたパネル前で記念にパチリ


 2025年度は24回のウオーキング行事を計画。釜石市内だけでなく、岩手県内各地の協会主催行事にも参加する。6月には「魹ケ崎灯台散策ウオーク」(宮古市重茂・姉吉キャンプ場駐車場集合)や「栗林・大沢川流域化石探訪ウオーク」(釜石市栗林町・砂子畑集会所集合)を予定。9月には三陸鉄道の旅と「三陸大王杉」(大船渡市三陸町越喜来)の見物を楽しむ企画を用意。10月実施の「鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」は、今回と同じく橋野鉄鉱山世界遺産登録10周年記念の冠を掲げる。

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