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【福島県こども未来局 吉成宣子局長】震災から14年、被災した子どもたちへの支援は続く

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子どもの夢を応援するためのガイドブックの配布や子どもの居場所一覧の作成など、子どもの成長を見守る政策を行っている福島県。福島県保健福祉部こども未来局の吉成宣子局長に聞くインタビューは第3回となりました。今回は、2011年3月に起きた東日本大震災からの復興、そして被災した子どもたちや家庭への支援についてうかがいます。

現在も続く被災した子どもたちへの支援

――東日本大震災の被害は非常に大きなものでした。14年を迎える現在でも支援は継続されているのでしょうか?

吉成宣子 こども未来局長(以下、吉成局長):福島県では「福島県東日本大震災子ども支援基金給付金」として、被災孤児や遺児の子どもたちに、未就学児には月3万円、大学生や専門学校生には月6万円の支援をしています。入学する際にも一時金としての支援があり、高校卒業時には30万円の支援をしています。これは現在でも続いている支援です。 また「子どもたちへの支援を」という名目で、多くの方々から寄附をいただいています。具体的には「東日本大震災ふくしまこども寄附金」にいただいた寄附を、被災孤児や遺児の支援にお金を使わせていただいています。

――震災は子どもたちの心にも深い傷を負わせたと思うのですが、心のケアについてはいかがでしょうか?

吉成局長:「ふくしま子どもの心のケアセンター」で、総合的なケアを行っています。原子力災害の影響で、当時その地域の住民だった皆さんは、住むことができなくなりました。今は戻ってこられる方もいますが、子どもの数が圧倒的に少ない状況にありました。今では少しずつ増えてきています。通常、子どもは、小さい頃から顔見知りで、子ども同士もずっと友達という状況で小学校・中学校・高校と世界が広がっていきます。でも、移住してきた子どもたちにとっては、すべてが新しい世界で、そのような状況にある子が集まっていることは、子どもたちにとっては大変なことだと思います。

――子どもたちにとって、友達がいないのは辛い状況ですね。親御さんも心配になるでしょう。

吉成局長:親御さんも不安を抱えている場合には、ペアレントプログラムとして親と子のトレーニングを受けてもらっています。親子がお互いに不安や心配事があると、心が不安定になってしまうことも多いですから。また転校生がクラスに馴染めるようなサポートや、子どもが元気を取り戻すための心の授業を行って、子どもたちの心のケアをすることもあります。

ゼロになったからこその新しい取り組みも

――災害にあった地域は、ほぼゼロの状態になってしまったといっても過言ではないでしょう。そのような地域で進められている施策にどのような印象をお持ちでしょうか?

吉成局長:「元通りにする」のではなく「新しい子育ての場所をつくる」という視点で施策が進められていると感じます。たとえば、先日、避難地域だった大熊町に開校した「大熊町立 学び舎 ゆめの森」を訪問してきました。ここは認定こども園や義務教育、預かり保育、学童保育が一体化した施設で、0歳から15歳までの子どもたちが一緒に遊び、学ぶ場所です。通常の公立学校は学年ごとに区切られることが多いですが、ここではクラス分けこそあるものの、異年齢の友達と関わり、学ぶことができます。年齢の違う子どもたち同士が給食を食べる様子も見せていただきました。 授業も机を並べて一斉に黒板を見て学ぶ授業ではなく、みんなが集まってミーティングをするような形態で学びます。意見を出し合って新しい発見をするなど、考える授業が行われています。学習指導要領に則った学びだけではなく、社会に出たときに役立つ人間力を身につける教育が行われていることに大きな感銘を受けました。

――震災で失うものが多かったからこその新しい学校の形といえそうですね。新しいものができると震災の辛い記憶も和らいでいくのかもしれませんが、忘れてはいけない部分もあるでしょうね。

吉成局長:震災の教訓は、伝えていかなければならない使命があります。震災の記憶と記録を残す「東日本大震災・原子力災害伝承館」は、子どもたちも課外学習で利用しています。また震災の語り部の後継者育成にも力を入れていて、高校生などの若者が語り部さんと交流する機会も設けています。事実をきちんと知ることは大切だと思うからです。 また、「福島国際研究教育機構 (F-REI:エフレイ)」は福島県が拠点となっています。F-REIは、福島をはじめ東北の復興を実現するとともに日本の科学技術力・産業競争力の強化に貢献する、世界に冠たる「創造的復興」の中核拠点です。「福島でもどんどん新しいことにチャレンジしているんだぞ!」ということを子どもたちに知ってもらうことが、本当の復興なのではないかと感じています。

編集後記 福島県は地震の被害に加え原子力災害の影響を大きく受けた地域です。ほぼゼロの状態になった地域だからこその、たくさんの新しいチャレンジが始まっていました。子どもたちが希望を持って暮らせる福島へ。そんな思いが込められているように感じます。

※取材は2024年11月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

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