まるで大輪の花に囲まれたタンポポ──『薬屋のひとりごと』小蘭(シャオラン)は作品の癒し! ファンを癒す小蘭の魅力を基本情報とともにお届けします!
薬と毒の知識を持つ少女・猫猫(マオマオ)が、その知識や観察眼で後宮で巻き起こる事件や謎を解き明かす人気作品『薬屋のひとりごと』。日向 夏先生のライトノベルが原作で、これまでにコミカライズ化されているほか、2023年にアニメSeason1が放送され、2025年1月よりアニメSeason2が2クール連続で放送されています。
様々な思惑が蠢く女の園で巻き起こる難事件の全容が明らかになっていく様や、後宮内の複雑な人間関係が本作の大きな魅力。一方で、そんな毒に満ちた作品の中で読者の癒しとなっているのが、猫猫の友人・小蘭(シャオラン)ではないでしょうか。
ただの下女である彼女は、物語の鍵になる人物ではないものの、後宮の中で一生懸命働く姿や屈託のない笑顔がとても魅力的で、個人的に大好きなキャラクターのひとりです。
そこで本稿では、そんな小蘭の基本情報と魅力をまとめてお届け! 年齢や生い立ち、猫猫との関係や後宮を出た後についてなどについて解説しつつ、彼女が作品の癒したるポイントをまとめていきます。
※本稿にはネタバレが含まれます。
【写真】『薬屋のひとりごと』小蘭(シャオラン)の基本情報&魅力まとめ
小蘭(シャオラン)のプロフィール
年齢:13~14歳くらい(推定)
所属:尚服(洗濯)担当の下女
生まれ:貧しい農村
猫猫が後宮で最初に顔見知りとなった同僚であり友達。尚服(洗濯)を担当する下女で、噂話が好きな明るい少女です。本作の外伝である『薬屋のひとりごと外伝 小蘭回想録』では主人公を務めています。
親に売られて後宮へ
小蘭は貧しい農村の生まれで、両親とたくさんの兄弟といっしょに暮していました。しかし、生活が困窮を極めていたため13歳の冬、両親によって人買いに売られてしまいます。他の女の子たちが娼館に売られる中、見た目が幼く、痩せこけていたことから、娼婦としての売値が低いと判断され、後宮に売られました。
辛い生い立ちの小蘭ですが、後宮では真面目に働けば寝食に困らない生活ができるため、明るく前向きに働いています。村にいた頃は栄養失調になるほど食べられなかったせいか、食い意地が張っており、後宮での年季が明けてからも「ご飯が食べられるところに行きたい」と考えているようです。
明るく前向きで素直な性格
同僚たちと後宮内の噂話に花を咲かせながら明るく真面目に仕事をする小蘭。元々明るい性格であることに加えて、親に売られ孤独になってしまった以上、どんなに辛くとも自分の力で生きていかなければいけないということを身に染みて理解しており、落ち込むようなことがあっても強い気持ちで切り替え、前向きに生きることを心掛けているようです。
人懐っこい小蘭は他の下女たちとも良好な関係を築いているため、彼女には多くの噂話が集まってきます。その噂話が猫猫の謎解きや事件解決のヒントになることも少なくありません。時には猫猫のほうから後宮内の噂を小蘭に尋ねることも。
猫猫に簪を使って後宮を出る方法を教えたのも小蘭であり、武官・李白が緑娼館の三美姫・白鈴と出会うきっかけを作ったことにもなります。
猫猫との関係
猫猫とは友達である小蘭。妃付きの侍女に壁を作る下女もいる中、出世前からの仲だったこともあってか、猫猫が玉葉妃の侍女となってからも変わらず仲良くしています。
猫猫も生い立ちに反して嫌味や陰がない小蘭を好ましく思っており、その可愛らしさから時には妹のように感じることも。花街や後宮といった女の園で、さまざまな人間の毒に触れながら育ってきた猫猫だからこそ、毒気のない小蘭とは心地よく付き合えるのでしょう。
上級妃・楼蘭妃に献上される貴重な氷を小蘭が不注意で落としてしまった際には、彼女が処罰されるのを避けるため、壬氏に頼み込んで材料と場所を調達し、代わりとなる氷菓(アイス)を作っており、いかに小蘭を大切に思っているかがうかがえます。
小蘭のここが好き!
小蘭の魅力①:嫌味のない素直な人柄
小蘭は、本作に登場するキャラクターの中でも群を抜いて嫌味のない人柄の持ち主だと感じます。例えば、後宮に隊商(キャラバン)が来た時のこと。自由時間をもらえた小蘭は猫猫を誘って露店巡りへ赴きました。
猫猫は主人である玉葉妃からお小遣いをもらっていましたが、部屋付きではない小蘭は手持ちがありません。そこで猫猫は髪結いのリボンを小蘭に買ってプレゼントしてあげました。おそらく見て回るだけのつもりだった小蘭は大喜びで猫猫に抱きつきます。
何気ない一幕なのですが、気位の高い人物であれば「これ見よがしに部屋付きでお金があることを見せびらかしている」などと穿った受け取り方をしてもおかしくありません。観察眼に長けた猫猫なので、小蘭なら素直に喜んでくれると思ってプレゼントしたのだと思います。嬉しさを素直に表現する小蘭にプレゼントした猫猫も嬉しそうにしていました。
相手の好意をまっすぐ受け取り、屈託のない笑顔でお礼を言える小蘭は、本作においては稀有な人物ではないでしょうか。
小蘭の魅力②:自分で生きていこうとするたくましさ
先述の通り、親に売られて後宮へ来た小蘭。しかし、親を恨むことはせず笑顔で働いています。それはきっと彼女がここで生きていくしかないと覚悟を決めているからこそできることでしょう。それどころか、自分を売ったお金で幼い弟たちがご飯を食べられているかを気にしており、彼女の強さと優しさを感じさせます。
また、食べていくのがやっとの環境で育った小蘭は当然のように学ぶ機会がなく、文字の読み書きができません。しかし、後宮内で娯楽小説が流行したことをきっかけに文字に興味がわいた小蘭は、猫猫に文字を教わり始めます。
最初の動機は小説を自分で読みたいというものでしたが、彼女は後宮での奉公期間が終わった後の職探しのことを考えて勉強することに。さらに、後宮内に手習い所(学校)が作られた際には、第一期生にも選ばれました。
さらに、年季明け後の働き口確保のため、浴場で妃たちを相手に按摩(マッサージ)をして伝手作りにも励んでいます。
おやつと噂話が大好きで天真爛漫な小蘭は、一見すると何も考えていないように見えることもあるのですが、きちんと先のことを考え、自分の力で生きていこうとする芯の強さやたくましさを持っているのです。
小蘭のその後 ※ネタバレ注意
後宮での年季が明けた後の働き口を心配していた小蘭でしたが、浴場で作った伝手で下級妃の一人に気に入られ、実家の妹の下女として働けることになりました。きっと朗らかな性格ですぐ新しい職場にも馴染み、頑張っていた勉強も役立っていることでしょう。
しかし、彼女が後宮を離れるときには猫猫も、2人と仲が良かった子翠も子一族のクーデターに関与して姿を消していたため、別れを告げることはできませんでした。
仲が良かった友達2人が挨拶も無しに突然姿を消してしまったためとても寂しがっていたという小蘭。2人宛に覚えたての文字で手紙を書き、共通の知人である玉葉妃の侍女・赤羽に託し後宮を去りました。
彼女の手紙には拙い字で「いつかまた会いたいな また氷菓子食べたいよ」と綴られており、それを読んだ猫猫は子翠と3人で過ごした後宮での日々を思い出し、涙をこぼします。
特殊な環境で育ち、歳の近い友人のいなかった猫猫にとって、小蘭は初めてできた普通の友達だったのではないでしょうか。離れても小蘭の幸せを願う猫猫。いつか2人が再会を果たす日が来ることを願って止みません。
声優は久野美咲さん
小蘭を演じるのは久野美咲さんです。1月19日生まれ、東京都出身。『七つの大罪』のホーク役をはじめ、『メイドインアビス 烈日の黄金郷』のファプタ役など、人気作品のキャラクターを多く演じています。
大輪の花に囲まれたたくましいタンポポ!
目が眩むほど美しい上級妃や妓女たちが多く登場する『薬屋のひとりごと』。そんな大輪の花たちが美を競い合う中、一介の下女としてひたむきに働き懸命に生きる小蘭は、まるで野に咲くタンポポのようです。
タンポポは古くから薬草としても用いられている植物で、健胃、解熱、殺菌作用などがあるんだとか。毒気の多い本作でちょっと胃もたれしてしまったときには、きっと小蘭の無邪気な笑顔が効果的。愛らしくてたくましい彼女に癒されてみてはいかがでしょうか。