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高田馬場『プネウマカレー』の580円激旨チキンカレーで至福のランチタイムを!

さんたつ

プネウマカレー

「安い・うまい・早い」の三拍子が揃った、高田馬場の大人気カレー店をご存知だろうか? その名も『プネウマカレー』。2017年に店主の長谷薫(ながたにかおる)さんがたった一人で立ち上げたこの店では、絶品のチキンカレーがいただける。長谷さんが作るチキンカレーには、どうやら一般的なカレー屋ではあまり使われることのない“ある隠し味”が使われているそう。その食材とは一体……?

プネウマカレー

香川県の伊吹島から始まった『プネウマカレー』の歩み

お店は高田馬場駅から徒歩5分ほど。早稲田通りから、細い路地を入ったところにある。

「『プネウマカレー』の“プネウマ”は、ギリシャ語で“風”や“息吹”を意味する言葉なんです。この店を始めようと思ったきっかけが、香川県の伊吹島に深く関係してるんで、店名には島と関連性のある言葉を入れたくて」

取材の冒頭で、長谷さんがそう教えてくれた。

長谷さんのカレー屋デビューは、2016年に伊吹島で開催された「瀬戸内国際芸術祭」という大きなイベント。伊吹島でイワシ漁をしている友人からの誘いがあって、空き家を借りて期間限定のカレー屋を開いたそうだ。

「その時初めてお客さんに自分のカレーを振る舞ったんだけど、そしたら、あれ、この感じなら東京でもカレー屋できるんじゃない?って思って(笑)」

そして長谷さんは島での勢いをそのまま東京に持ち帰り、トントン拍子に話を進め、翌年2017年に一人でこの店をオープンさせたのだ。

客席はカウンター席のみが8席。回転は早めなので、店外にカレー待ちの列ができても長時間並ぶことはないとのこと。

話を聞く限り非常にスピーディーな展開だが、長谷さんはこの店を始めるまで、飲食業経験がゼロだったというから驚きだ。

「もともと料理が好きだったから、ここを始める10年前くらいからいつか自分の店を持ちたいとはずっと思ってて。最初は右も左もわからないから本当に大変だったけど、今も毎日フルマラソン状態で、大変さのレベルはあんまり変わってないかも」

それもそのはず、長谷さんは今もなお、仕込みから接客、皿洗いから経理まで、店の営業にまつわることは基本的に全て一人でこなしているのだ。

店内に飾られたショップカード。最近は忙しさのあまり、ランチ時に2時間ほどパートさんの手を借りてるのだとか。

「辛いと思うことも多々あるけど、しんどいからって店を休んだことは一度もないかな。常連さんもいるし、何より稼がなきゃいけないし(笑)」

気さくに語る長谷さんだが、聞くと創業当初から店の広告費にお金をかけたことは全くないそう。しかし、口コミが口コミを呼び、今となっては『プネウマカレー』は連日ランチ時に大にぎわいを見せる、高田馬場を代表する人気カレー店だ。

この街の人々の舌を魅了し続けるチキンカレー、果たしてその味わいとは……?

隠し味にも伊吹島のエッセンスを。中毒性の高い、コスパ抜群のチキンカレー

チキンカレー(普通盛)580円。普通盛りでもご飯の量は280gあるので、かなりボリューミー。

毎週木・金のみ、15食限定の特製辛口チキンカレーを提供しているそうだが、『プネウマカレー』のメニューは、基本的にチキンカレー一択。

今回はこの店のスタンダードをしっかり味わうべく、あえて追加のトッピングはせず、カレーのみを注文することに。

注文は食券制。ご飯の量やトッピングの有無によって、値段は前後する。

券売機で食券を購入後、カウンター越しにオーダーすると、何とわずか30秒ほどでカレーが提供された。

きらめく銀皿にのせられたチキンカレーは、華美に装飾されることなく、“THE・シンプル”を追求したかのような潔い良い見た目が特徴的。

早速一口、いただきます!

ご飯は粒立ちの良い、新潟産「こしいぶき」を採用。提供直後のカレーはルーもご飯も熱々!

食べてわかる、手間暇かけて作られたであろう奥深い味わい。玉ねぎの甘みがしっかり溶け出たルーには、野菜と鶏肉の旨味とコクがこれでもかと詰まっている。

ほのかな酸味とマイルドな辛味が絶妙に重なり合い、思わず食べ進める手が止まらなくなってしまう。

「主な食材は玉ねぎ、トマト、鶏肉、ニンニク、生姜、各種スパイスと至ってシンプルだけど、うちの店のカレーは、隠し味に伊吹島のアンチョビを使っていて。これを入れることで、カレーの味にグッと奥行きが出るんです」

2年以上熟成させているという、伊吹島のアンチョビを見せてくれる長谷さん。

伊吹島のアンチョビは、最初に出店を勧めてくれたイワシ漁に勤しむ友人経由で仕入れているそう。一見家庭的なカレーに見えつつも、決して家では真似できないうまさの秘訣は、この隠し味にあるのだなと納得。もちろん注目すべきはアンチョビだけではない。

このカレー、注文から着丼までにかかる時間はわずか30秒であるにも関わらず、完成までには2日近くかかるそうだ。

「1日目は7kg近い大量の玉ねぎをじっくり炒めて、それにトマトを足して煮込む。2日目はスパイスと一緒に鶏肉を炒めて、そこにアンチョビを足して味をなじませたら完成。この店を出す前に、家で自家製アンチョビを入れたカレーを作ってみたらおいしくて。そこから着想を得て、このカレーが完成したわけです」

「誰でも食べやすいように」と辛さは控えめなので、激辛好きさんは卓上の唐辛子パウダーをかけていただこう。ちなみにこれがかなり辛い。

ここまで手がこんだハイクオリティなカレーを、わずか580円で提供しているというから驚きだ。

お財布に優しいこの店のチキンカレー、いうまでもなくお値段以上の満足感で、食後は多幸感でいっぱいになった。

安さだけではない、この店のカレーの魅力

ガラムマサラやコリアンダーなど、カレーに使用するスパイスは約10種類ほど。

「自分がランチに700円以上出す気にならなくて。700円以内でもおいしいものはたくさん食べられるし、自分が出せない値段の料理をお客さんに出すわけにはいかないでしょうということで、この金額でどうにか頑張っています」

長谷さんの粋な計らいが反映されたこの店のカレーだが、安さだけをウリにしている店が、連日大盛況するほどの人気を博することはない。この店のファンである人々は、確実に『プネウマカレー』の“味”に魅了されているのだ。

トッピングで人気のヒヨコ豆のピクルス。60円という破格の値段設定……!

「大雨の日でも無事に全食売り切れた時とか、直接話す機会がほとんどないのに毎週のように来店してくれる常連さんの顔を見ると、やっぱりうれしいですね。あとは地方に転勤になっちゃった昔の常連さんが、仕事で東京に来たときにわざわざうちの店に来てくれたのは感慨深かったなあ」

この店では“さっと食べてさっと出る”というスタイルが定着している。しかし、そんなわずかなランチタイムでも、一度『プネウマカレー』の味を知ってしまった人々は、この味が恋しくなってついまた店に足を運んでしまうのだ。

毎日大忙しの長谷さん。臨時休業・完売等のお知らせは、お店のSNSを要チェック。

そんな中毒性のあるチキンカレーは、当日分が完売した時点で営業終了となるため、早い時にはランチタイムのみで店じまいになることもあるそう。

ピークは12時〜12時半、狙い目は11時半前か13時半以降とのことなので、おいしいカレーでおなかと心を満たしたい方は、ぜひこの時間を狙って『プネウマカレー』を訪れてみよう。

プネウマカレー
住所:東京都新宿区高田馬場1ー17ー10/営業時間:10:45~15:30・17:00~20:00/定休日:日・祝/アクセス:JR・私鉄・地下鉄高田馬場駅から徒歩5分

取材・文・撮影=杉井亜希

株式会社アステル
編集プロダクション
国内外約300名のトラベルワーカーと共に執筆を行う広告制作プロダクション。各地への取材の機動力とスピードを大切にしています。
2023年からは、フリーランスの方のマネジメントツールの開発にも邁進しています。

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