茨城沖の青物ルアー釣り入門解説 「ドテラ流し」の釣りをマスターしよう
夏から秋にかけて、茨城沖はルアー青物の好シーズン。おもなターゲットはワラサ~ブリだが、やはり誰もが夢見るのはヒラマサだ。さらに、最近はサイズこそ小さいがカンパチもレギュラーメンバーに入ってきて、今年は3~4kgのサイズがコンスタントに釣れるようになっている。
ドテラ流しをマスターしよう
外洋のマグロやカツオのように、ナブラを追いながらプレジャーボートで狙うトップウォーターゲームを連想する人が多いようだが、実際は底から中層をメタルジグで狙う釣り方がメイン。
乗合船を予約すれば、一人でも気軽にビッグゲームが楽しめる。まずは一般的な釣り方・ドテラ流しの釣りをマスターしよう。
ドテラ流しとは、船が横風を受けながら風任せにポイント上を移動していく釣りで、横流しとも呼ばれている。
流される方向によって、右舷と左舷それぞれジグが船から遠ざかっていく払い潮と、船底に入っていく向かい潮に分かれることになる。
ジギングではシャクりやすい前者で狙うのが一般的。乗合船では、ひと流しごとに右舷と左舷を交互に替えてくれるので、払い潮と向かい潮の両方の釣り方を覚える必要がある。
シャクリ方は、ひとシャクリでリールのハンドル1回転、いわゆるワンピッチジャークで底から中層まで高速~中速で巻き上げていく。
私の場合、これを3回繰り返して、ヒットがなければ一旦巻き上げてジグを入れ直す。水深50m以上の深場なら4回。
狙う青物は、小魚を追い回すのが大好きなのでゆっくり動くジグはすぐに見切られてしまう。基本、速く動かしているほうがヒット率は高い。
ジギングは体力勝負
使用するジグは、浅場で120~160g、深場なら200gを使う。
このジグに力強いシャクリでキレよく動きを入れて、高速で巻き取るのは非常に体力を消耗する。青物ジギングは体力勝負ともいえるのだ。
利き手で竿を握り、ロッドエンドを脇の下に入れてリズムよくリールを巻くが、リールのハンドルを巻く左手でも竿のシャクリをアシストする技を覚えると、効率よくワンピッチジャークができるようになってくる。
また、竿の硬さと長さによるジャークの大きさに対して、リールの1回転の巻き取り量のバランスが合っていることも重要。これは自身で使ってみて合わせていくしかない。
ワンピッチジャークの操作がしづらい向かい潮では、両軸リールを使ったスローピッチやタイラバで狙うのも手段のひとつ。タイラバと言ってもタイ狙いではないので、青物を釣り上げられる太イトタックルが必要だ。
向かい潮は操作しづらい反面、払い潮の人より先に魚へルアーを見せられるという有利なところもあるので、「向かい潮のほうが釣れる」という人もいる。
魚種による特徴
続いて、魚種による特徴。ワラサ~ブリがメインターゲット。前者は、どの遊泳層にもいるイナダに対し、比較的水温が安定した場所にいることが多い。水深40m以上のベイトの群れに着いている。
高速ジャークでもバランスよく泳ぐタイプのジグが相性よく、高速で底から15mまで探る。ただし、中速のほうがヒット率がいい場合がある。中速では何度も巻き落としを繰り返すと見切られやすいので、ジグを魚の視界から見えなくなる底から30mくらいまで巻き上げて落とすようにすると魚の反応がよくなることが多い。
ヒラマサは、海底の起伏が激しい岩礁に着いている。逃げ惑い散る小魚の動きに異様に興奮する性質があり、追いかけても逃げないジグは食わないとも言われている。
強烈なジャークによる水圧で、ランダムなスライドアクション(飛ばし)が発生するロングタイプのジグがヒラマサ専用。
このスライドをキレよく続けて、ジャークを入れていくのはさらに強じんな体力が必要とされるだけでなく、ヒットしたあとのファイトもワラサとは比べ物にならないほど強力。ヒラマサは「釣るべく人にしか釣れない」と言われ、ジギンガーには憧れの魚種となっている。
茨城沖のカンパチは、1kg前後の小型のものが浅場で釣れていたが、水深50m以上の底付近で3kgオーバーが釣れている。
今までは冬に死滅回遊魚になっていたものが、温暖化により生き延びていると考えられている。
釣り方は150gほどのタングステンジグの中速巻きに実績があり、あまり高いところまでは追ってこない。
<週刊つりニュース関東版 上谷泰久/TSURINEWS編>