猫に多く見られる『甲状腺機能亢進症』7つの兆候 かかったら治すことはできる?
猫が「甲状腺機能亢進症」になったときの7つの兆候
1.体重の減少
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)は、食事をしていても体重が減っていくのが特徴です。
脂肪だけでなく筋肉量も低下してしまうため、放置しておくのは危険です。ダイエット中でもないのに体重が5%以上減少しているのであれば、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
2.食欲の増加
体重は減少しているにもかかわらず、食欲が増加するのも特徴です。病気によって通常より代謝が活発になるため、足りないエネルギーを食事で補おうとするのです。
しかし、食事からのエネルギー補給も間に合わないほどに激しく代謝力が上がってしまうため、食事量が増えても体重が減っていってしまいます。
3.多飲多尿
甲状腺の機能が過剰に反応することで、代謝が上がります。するとエネルギー不足で空腹になるだけでなく、喉も渇くようになってしまいます。
心拍数の上昇によって腎臓への血流が多くなり尿量が増加することでも、体が水分を欲して飲水量が多くなる要因となります。
そのため、喉の渇きを潤すために水を飲む量が増えるのです。当然、飲んだらその分排出しなければならないので、尿の量も増えていきます。
4.攻撃的になる
イライラすることが増えたり、攻撃的な性格になってしまうのも甲状腺機能亢進症の特徴です。猫の性格が変わったと感じるほどに攻撃性が増している場合は、病気の可能性があるので獣医師に相談するようにしてください。
5.毛並みが悪くなる
食欲もあり、元気な様子なのに毛並みが悪くなるのも、病気が潜んでいる可能性を示しています。
甲状腺機能亢進症は高齢の猫に発症することが多いため、毛並みの悪さを「加齢によるもの」だと思ってしまう人も少なくありません。毛並みの悪さを感じたときは、食欲や排泄など他の行動に異変が生じていないかを確認するようにしましょう。
6.落ち着きがなくなる
病気というとぐったりしていたり、寝ている時間が増えたりすることを想像しますが、甲状腺機能亢進症の場合は反対に活発になることが多いです。
落ち着きがなくなる、夜中に暴れまわるようになる、目がギラギラと異常な輝きを見せることがあります。心拍数が上昇し、呼吸が速くなることもあります。興奮しやすい、狩りをする時の姿勢をよくとっている、鳴きながらついて回るといった行動もよく見られます。
元気というよりも興奮しているという感じなので、異変を感じやすいかもしれません。
7.鳴くことが増える
活発になるのは行動だけではありません。普段よりも鳴くことが増え、なかには叫ぶような大声を出す猫もいるようです。
日中だけでなく夜も鳴くようになるため、猫だけでなく飼い主にも負担がかかってしまいます。異様な鳴き声を出すようになったときは、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
猫が「甲状腺機能亢進症」にかかったときは
「甲状腺機能亢進症」は高齢の猫がかかりやすく、猫種に関係なく全ての猫がかかる可能性のある病気です。
甲状腺機能亢進症とは、人間で言う「バセドウ病」と似た状態で、喉にある甲状腺から分泌すされる「甲状腺ホルモン」が過剰に分泌されてしまう病気です。
猫が甲状腺機能亢進症にかかったときに行われる治療は、
✔投薬治療
✔甲状腺の切除
✔療法食による食事療法
などがあります。
薬物治療や療法食を行っても改善されない場合は、外科手術にて甲状腺を切除することもあります。しかし、全身麻酔を必要とし、難易度の高い手術でもあるため、猫の年齢や持病の有無などによってリスクを伴うことを覚えておきましょう。
甲状腺機能亢進症はまだ解明されていないことが多い病気です。そのため、定期的な健康診断を受けること以外に効果的な予防法はありません。
なるべく早い段階で病気を発見し、治療することで愛猫の負担を減らすことができるかもしれません。そのためには、毎日の食事や排泄の管理を徹底し、異変にすぐ気が付けるようにしておきましょう。
まとめ
猫の「甲状腺機能亢進症」は、食欲や活動量が増加するため、元気があるように見えるかもしれません。
体重の減少や性格の変化など、些細な異変にどれだけ早く気が付けるかが重要です。体重測定や食事量を定期的にチェックし記録する習慣をつけましょう。
また、愛猫とのコミュニケーションを大切にし、定期的な健康診断を欠かさずに受けるようにしてくださいね。
(獣医師監修:唐野智美)