ニッコー株式会社 食器の循環モデルで実現するレストランのサステナビリティ 食の企業の最前線7 25年2月号
創業117年を迎える陶磁器メーカー、ニッコー株式会社が取り組むのが、陶磁器のリサイクル。レストラン、生産者、消費者を繋ぐ循環モデルを目指す。
日本の陶磁器メーカーとして、国内外のホテル・レストランから高い信頼を得るニッコーは、サーキュラーエコノミー(循環経済)の原則に沿ったさまざまな取り組みに挑戦している。
従来の陶磁器業界は、大量生産・大量消費を経て廃棄される直線的な消費モデルが一般的だった。同社では、製造の段階から普遍性、耐久性を兼ね備えた食器の開発、リカラーによる再生、再資源化、リサイクルといった循環を生み出すことで、飲食業界のサステナビリティや豊かな食の未来への貢献を目指す。
その一つが、世界初の食器をリサイクルした肥料「BONEARTH ®(ボナース)」の製造・販売。同社が自社工場で一貫製造するボーンチャイナ製食器は、原料として石や粘土に加えリン酸三カルシウム(食肉加工後の牛骨を溶解再合成)を約50%含む。このリン酸三カルシウムが、植物や農作物にとって安心安全な肥料であることに着目し、生産過程で生じる規格外品を肥料にリサイクルする技術を確立した。
同社ではBONEARTH®を使用した農家で農産物を収穫し、その野菜をレストランで使う流れを作ったり、BONEARTH®や食の循環型経済に共感する農家と共に地域の小学校で食育活動を行うなど、生産者から消費者までが繋がるコミュニティも推進している。今後も、サステナブルかつ豊かな食の未来を目指し、食器の循環モデルを軸にさまざまなレストラン、陶磁器メーカー、農家と協力しつつ業界全体の変革を目指していきたいという。
ボナース サーキュラー コミュニテイ
https://www.table-source.jp/nikko-circular-lab/bonearth-circular-community/
text: Nobuko Minagawa