〈御所市〉餅を担いで、転がして、引き回す。奈良の奇祭『ヒキアイモチ行事』八幡神社
起源不明!? 全国的にも珍しい谷あいの村の秋祭り
奈良県御所市古瀬にある「八幡神社」。朝町川と曽我川の合流点付近に鎮座する神社で、誉田別命(応神天皇)、気長足姫命(神功皇后)、大倉比売命を祀ります。
同神社には「ヒキアイモチ行事」と呼ばれる奇祭が伝わり、毎年10月の第2日曜日(2024年は10月13日)に周辺の3地区(上奉膳・下奉膳・水泥)によって斎行されています。
祭り当日は20時頃に各地区が十二振提灯を持ち、伊勢音頭を唄いながら宮入り。石段の上にある本殿にて神事が営まれます。
神事の後は、松明の明かりのもと、鍵元と宮守による相撲が行われます。行事の「はっけよーい」の掛け声で本殿に向かってバンザイ! これを3番行い、1勝1敗1分とします。
そしてヒキアイモチ行事へ。およそ80個の餅が入った「コグツ」と呼ばれる藁袋を担いで石段を駆け上がると、石段の上からコグツを投げ落とす。それを下で待つ若者がまた担いで石段の上へ。これを3度繰り返します。
その後は子どもたちが綱を持ってコグツを引き回し、境内を3周。最後にコグツが開けられ、中のお餅が参拝者にまかれます。ちなみにこの餅を食べると安産で子宝に恵まれるという言い伝えがあるそうですよ!
全国でも珍しく民俗学的にも貴重な祭事ですが、地域の祭りであるため、見学・参拝される場合はマナーの順守をお願いします。また周辺道路もあまり広くないため、神社へは公共交通機関の利用がベターです。
歴代のコグツ