「2025年問題」目前もビジネスケアラー支援進まず、制度充実と回答した企業は約1割 民間調査
マイナビ(東京都千代田区)は9月27日、人事・労務関連業務担当者618人を対象に、企業におけるビジネスケアラー支援に関する実態調査を実施し、その結果を発表した。
介護休業法改正、内容を理解している企業は約半数止まり
調査ではまず、2025年4月に施行される「育児・介護休業法」の改正について知っているかを尋ねた。
その結果、認知度は9割以上だったのに対し、「改正内容を理解している」人の割合は54.9%にとどまった。
続いて、育児・介護に関する改正項目について、自社の制度が整備されているかを聞いた。
介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度強化については、「本公布の前から制度化されていた」が26.5%、「本公布に対応して制度化した」が22.3%と、半数を割る結果(48.8%)となり、「子の年齢に応じた柔軟な働き方の拡充」における同回答の合計(59.0%)に比べて、ビジネスケアラー支援への対応は、遅れが出ていることが明らかになった。
なお、「育児・介護休業法」における育児・介護の改正内容は以下の通り。
・子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
・育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
・介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化 など
具体的なビジネスケアラー支援は「課題が顕在化してから」
また、調査では、企業におけるビジネスケアラーへの支援制度の運用状況に関する質問も実施した。
企業の対応状況を聞いたところ、「すでに支援制度があり内容も充分である」と回答したのは11.5%だったのに対し、「支援制度があるが見直しが必要」(24.4%)、「制度は整備されておらず、早急に対策に取り組むべきだと思う」(25.6%)という回答が半数を占め、支援制度が十分ではないと感じている企業が多いことがわかった。
ビジネスケアラーへの支援を促進するきっかけについては、「介護を行う社員が増えた場合」が43.0%で最も多く、次いで「従業員ニーズが高ければ」(35.8%)、「介護離職が増えた場合」(31.9%)と続いた。
国民の5人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎える、いわゆる「2025年問題」が目前に迫る中、課題が顕在化してから取り組みたいと考える企業が多数いるという現状が浮き彫りになった。
経産省、経営者向け両立支援ガイドラインを策定・公開
経済産業省は2023年11月、仕事をしながら家族を介護する、いわゆる「ビジネスケアラー」への対応として、企業における両立支援の取り組みを促すガイドラインを策定し公開している。ガイドラインでは、企業が両立支援に取り組む意義のほか、調査に基づく社員や企業の現状や課題の分析、具体的な両立支援のアクションなどが確認できる。
なお、当メディアでは、2025年度以降の育児・介護に関する改正内容や検討案の解説に加え、企業で総務を担当している読者を対象に、育児や介護・治療と仕事の両立支援に関する独自調査を実施し、その結果を公表している。
マイナビが実施した調査の詳細は、同社の公式リリースで確認できる。