珍しい双子のゾウが誕生 出産確率わずか1%の貴重なケース(ミャンマー)
ミャンマーのゾウ保護施設にて先月26日、アジアゾウの双子が誕生した。一般的にゾウは1頭ずつ子どもを出産する。双子の子ゾウが生まれる確率はわずか1%であるといい、加えて今回はオスとメスで生まれてきたため、さらに珍しいケースだった。出生直後は小柄で、自力で母乳を飲むことができなかったが、3日後から母乳を飲み始め、すくすくと成長していると、英米拠点のニュースメディア『Talker』などが伝えた。
今回、珍しい双子のゾウが誕生したのは、ミャンマー中央南部バゴー地域にあるゾウの保護施設「Wingabaw Elephant Camp」だ。出産した母ゾウは、アジアゾウの“パール・サンダ(Pearl Sanda、21)”で、先月26日午前3時38分、メスの子ゾウ“パール・シント(Pearl Sint)”が先に誕生し、約4分後の午前3時42分に、オスの子ゾウ“チョー・パール(Kyaw Pearl)”が生まれた。
同施設の関係者は、「普通は1頭しか産みませんので、双子のゾウは珍しいですよ。双子のゾウが誕生したのは、ミャンマー国内で11件確認されており、私たちの施設では初めてのことです」と話す。
ケニアを拠点にゾウの保護活動を行う「Save the Elephants」によると、双子のゾウが誕生する確率はわずか1%で、今回のように雌雄で生まれてくるのはさらに珍しいという。
同施設に獣医として勤めているミョー・ミン・アウンさん(Myo Min Aung)によると、出生後の2頭の子ゾウの体高は2フィート6インチ(約76.2センチ)で、通常の子ゾウよりも4インチ(約10センチ)ほど小さく小柄だった。
小柄な子ゾウ達は母ゾウの胸の高さに口が届かず、母乳を飲むことができなかった。スタッフらは木製の足場を用意し、誕生後2日間は哺乳瓶を使って子ゾウ達にミルクを与えていた。
双子のゾウが誕生した場合、赤ちゃんゾウが生き延びることができなかったり、母ゾウが死んでしまうケースが多いと言われている。しかし、誕生後3日目から、子ゾウ達は自力で母乳を飲むことができるようになった。
ミョーさんは、「男の子の方は、歩き回って人と遊ぶのが好きで、女の子の方より食が細いですね」と双子の様子を話しており、双子はすくすくと成長しているようだ。
別のスタッフは「双子の父親である“アイ・タイク(Aye Htike)”は、よく他のゾウや人間を攻撃していたので、似ないといいのですが」と、双子の父親について触れた。父親の一方で、母親のパール・サンダは優しい心の持ち主だそうで、「双子が父親に似ず、行儀よく振舞えるように育てていきます」と、保護施設はコメントしている。
双子のパール・シントとチョー・パールが誕生したことで、同保護施設のゾウの数は合計9頭となった。地球環境保全団体「世界自然保護基金 (WWF)」が2018年に行った調査によると、野生のアジアゾウは5万頭以下しか残っておらず、そのうちミャンマー国内に生息しているのは2000頭以下だそうだ。
ミョーさんは、「個人的には、双子のゾウが誕生するのを見たのは初めてのことです。小さな双子のゾウのお世話ができるのは嬉しいことですが、大きな責任を感じますね」とコメントを残した。
なお、2022年1月にはケニアの国立保護区でも双子のゾウが誕生しており、「ゾウの双子なんて初めて聞いた」と話題を呼んでいた。
画像は『Talker 「Extremely rare elephant twins born in Myanmar」(SWNS)』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)