「えちごくびき野100キロマラソン」来秋の第16回大会で終了へ ボランティア不足などで地域に負担増
新潟県上越市で1996年から隔年で開催されてきた「えちごくびき野100キロマラソン」について、市などでつくる実行委員会は2025年8月29日、会議を開き、来年秋に開催する第16回大会で終了することを決めた。ボランティア不足などで負担が大きくなっている地域があることや参加者の減少などが理由。
《画像:2026年の次回大会で終了することを決めた実行委員会》
同大会は市町村合併を見据えた地域の一体感の醸成や地域振興を目的に、現在の市域のほぼ全域に当たる上越地域12市町村を走るウルトラマラソン大会として始まった。全国から集まったランナーが田園や峠道、海沿いなどを駆け抜け、沿道での住民の応援や各地域のエイドステーションで地元食材を使った軽食などを提供する「おもてなし」は好評で、大会の魅力となっていた。
《画像:2024年10月13日に開催された第15回大会》
台風で急きょ中止となった2018年の第12回大会には、定員の2600人を上回る過去最多の2761人のランナーがエントリーしたが、近年全国的にウルトラマラソンの参加者が減少していることもあり、前回2024年の第15回大会のエントリーは1982人で定員の7割にとどまった。
大会運営に欠かせないボランティアも2018年は約3700人が登録していたが、人口減少や高齢化などから2024年は約2700人にまで減少した。13区を中心に地域の負担感が年々大きくなり、「必要なボランティアの数を確保できない」として、コースの除外や短縮を望む区も出ていた。物価高騰で毎回増加する事業費を参加費の値上げや市からの交付金の増額で賄っており、2024年は事業費約6000万円(見込み)のうち、市の交付金は約1600万円だった。
会議では、各区の聞き取り調査などの結果を踏まえ、2026年の第16回大会をもって同大会を終了する案と、2026年の開催を見送った上で、100kmにこだわらず規模を縮小した大会を2027年に開催して可能な限り継続する案の二つが示された。
《画像:2案について無記名投票を行った》
出席した委員からは、「最後だと宣言して終わる方がいい」「ボランティア確保は大変だと思うが、ほかに上越が一つになって開催するイベントがない」「継続案は全く別物で本当にやっていけるのか。もう限界だ」など、様々な意見が挙がった。無記名投票の結果、出席した36人の委員中22人が賛成した「次回大会での終了」に結論が至った。
事務局の市教育委員会スポーツ推進課によると、今後大会を主催する市、市教委、市スポーツ協会で最終決定するという。
木浦正幸実行委員長は「残念だが、一つの時代が終わっていくのも、地域にとっては新しい次の何かを生む大きなきっかけにもなると思う」と話した。
えちご・くびき野 100kmマラソン( https://echigo-joetsu.com/100km/ )