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万引きがやめられない72歳女「食費を節約したかった」仮釈放から約1か月後に犯行 同種・類似前科も

SODANE

万引きがやめられない72歳女「食費を節約したかった」仮釈放から約1か月後に犯行 同種・類似前科も

裁判所の前の雪もすっかりとけてしまった頃、その女の裁判が開かれた。

女は白いものが増えてきた髪を後ろに1つに縛り、「ジャージ上下」で法廷に現れた。両脇には女性刑務官2人。

問われている罪は「窃盗罪」…しかも中身は万引きだという。それでも在宅起訴ではなく拘留されている理由は、女がこれまでにも万引きを繰り返していて、しかも今回は仮釈放後すぐに犯行に及んだことによる。

【起訴状】

2025年1月某日 札幌市内のスーパーで食料品など11点(3104円相当)を盗んだもの

裁判官から「起訴状の内容に間違いはないでしょうか?」と問われた女は淡々と「いいえ、ありません」とこたえた。

一人では買いものに行かない約束だった

検察官の冒頭陳述によると、女は十勝にある町に生まれ、高校卒業後会社員などを経て現在、年金暮らし。娘とともに住んでいて、生活費は女が払っているという。窃盗の同種前科1件で類似前科3件。常習性が疑われる。

供述調書によると「これまで数えきれないほど万引きを成功した」と話していたという。

今回の事案は仮釈放からわずか1か月後。

仮釈放後は娘と「一人では買い物に行かない」という約束を交わしていた女。しかし、次第と一人でも行ってしまうようになったという。

スーパーに買い物に行って「値段が高いな」と思ったことから、持ってきたエコバッグにヨーグルトや精肉などを次々に商品を入れていったという。おそうざいについては左の袖口に入れて隠していた。

そして、いくつかの商品はレジを通し、そのまま店を出ようとしたところ、警備員に「会計していないものありますよね?」と声をかけられ、そのまま逮捕された。

被告人質問 他人事のように淡々と答える被告

弁護人:どうしてそんなことをしてしまったのでしょうか

被告人:あのときは毎日の生活がちょっとというか…

弁護人:苦しくて節約したくて?

被告人:はい

弁護人:そのとき財布にいくらくらいあったの?

被告人:3000円くらい

弁護人:あのとき盗んだのが3104円。少し減らすだけでよかったのではないですか

被告人:冷静に考えるとそう思いました

弁護人:去年11月に仮釈放されてから何回くらい万引きしたのですか?

被告人:2回です

弁護人:供述では4回と

被告人:…2回です

弁護人:仮釈放されて病院に行って治療は受けていたんですか

被告人:やっていました

弁護人:いま被害者に対してどんな気持ちですか

被告人:最初と同じです。申し訳ないなと

弁護人:万引きをやめるためにはどうすればいいですか?

被告人:1人で行動しない、それを守るしかないです

弁護人:なぜその日は一人で買い物に行ってしまったのですか?

被告人:家にないものがあったので

弁護人:それはなんですか?

被告人:たまごですね

弁護人:たまごだけなら数百円で済みますよ

被告人:たまごだけ買い物するのは申し訳ないと思った

検察官:たまごがなかったから1人で買いに行ったわけですけど、娘さんに頼むことはできなかったのですか?

被告人:いま考えたらそう思います

検察官:仮釈放中で盗んだら刑務所にまた入ることになる、そのことは考えなかった?

被告人:その時は頭になかったです

検察官:いくつかの商品はレジを通したのはなぜですか?

被告人:全部となると怖いというか…

検察官:怖いとは?

被告人:ある程度、一つでも二つでも買わないと…

検察官:全部盗むと何が問題なんですか

被告人:「それはできない」という気持ちがあった

検察官:いくつかでも清算しないと怪しまれるという気持ちがあったんじゃないですか?

被告人:そうです

「自己中心的な犯行で再犯の可能性が高い」求刑は…

被告人質問が終わり、結審を迎えた。

検察側は前科もあり仮釈放後およそ1か月で窃盗を行う。身勝手で自己中心的で再犯可能性が高いとして、徹底的な更生教育が必要だと主張。懲役1年6か月を求刑した。

弁護側は、被告人が反省し、精神科の病院で治療を受けること、娘が監督してくれることから寛大な処分を求めた。

判決は来月言い渡される。

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