八木勇征「人に思いやりを持てるような人になれたら自分の人生が豊かになる」#学生の君に伝えたい3つのこと
人生の先輩である著名人の方々から、まだまだ自由に使える時間が多い大学生のみなさんに、“学生のうちにやっておいたほうがいい3つのこと”をアドバイスしてもらおうという連載「学生の君に伝えたい3つのこと」。
今回は映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』で主演を務めたFANTASTICSの八木勇征さんが登場。日々大切にしていることやライフスタイルから、学生へアドバイスをしてくれました。
【写真】八木勇征の撮りおろし俳優・八木勇征が<学生の君に伝えたい3つのこと>
1.人に思いやりを持てるような人になれたら自分の人生が豊かになる
――学生のうちにやっておいたほうがいいと思うことはありますか?
超基本的なことなんですけど、よく遊んで、よく学んで、よく食べて、よく寝る(笑)。そしてそこにひとつプラスして、たくさん感謝することです。上辺の感謝じゃなくて心の底から感謝することは、僕が27歳の大人になった今、一番大事だなと思うことなんですよ。でも本当の意味で感謝するのは難しいことで、最初のうちは深みが出ないかもしれないけど、例えば教えてくれる先生や友だちがいることも当たり前じゃないから、いろんな環境に感謝しながら人に思いやりを持てるような人になれたら、どんな道に進んだとしても必ず自分の人生が豊かになると思います。
――感謝というのは直接伝えることも含めてでしょうか。
人それぞれ性格的な部分もあると思うし、思うだけでもいいとは思うんですけど、僕は口に出して言葉にしてしっかりと伝えるまでがひとつのセットだと思っていて。その人に伝わらないと自己満足になっちゃうし、相手も伝えられてイヤな気持ちになることはないから、勇気を持って伝えてみてほしいなと思いますね。
2.中島みゆきさんの「ファイト!」は人に歌って欲しい曲
――学生のうちに見たり、聞いたりしておいたら良いと思うものは?
中島みゆきさんの「ファイト!」という歌があるんですけど、お店にいるときにたまたま流れてきたことがあって、歌詞全部とみゆきさんのそっと支えてくれるくらいのニュアンスで伝える歌い方が心に来て。この曲は自分が歌いたいというより人に歌ってほしいと思う曲ですね。ちょっと行き詰まっていたり、迷っている人が聞いたら間違いなく響くし、そういう経験があって乗り越えた人にもグッと来ると思うんです。この歌はどんなに時間が経ってもずっと残り続けるだろうなと思います。
3.理想の自分を想像し続けると大変なことも続けられる
――これまで経験した中でやっておいてよかったことはありますか?
体を鍛えておいてよかったです。自分のライフスタイルができるのもそうだし、これだけたくさんの人間が生きている中でしっかりと体を鍛えている人のほうが少ないんですよ。だから例えば、上司や先輩に心ないことを言われたり、本気で腹が立ってむしゃくしゃしたとしても、「あなたより鍛えているから」という謎の自信や余裕が出てくると思うんです。やった分、見た目にも比例してくると思うし、健康にもいいし、トレーニングをすることはいいことづくしだと思います。
――始めてもなかなか続けられないという人も多いですが、八木さんからアドバイスするなら?
理想の自分を想像し続けることじゃないですかね。モチベーションになる人や自分の中のイメージモデルを見つけて、そこにどれだけ自分が近づいているかを考えていくのが続けやすいと思います。僕はクリスティアーノ・ロナウドを目指しているけど、まだ越えられないんですよね。高い理想であればあるほどずっと憧れでい続けてくれるから、追い続けられますね。
本読みの段階から熱が入りすぎてボロボロに泣いた
――2月21日に八木さんが主演を務めた映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』が公開されますが、今回演じたアキトはどんな人物ですか?
実際に演じてみて感じたのはとにかくまっすぐで、魔法を使う・使わないという問題が出たときには人間らしく揺らいでしまう部分もあるんですけど、もともと持っている根の部分が強いからそこには頼らないし、どんな人にも手を差し伸べる、太陽みたいな存在なんじゃないかなと思いましたね。
――アキトと井上祐貴さん演じるハルヒ、櫻井海音さん演じるナツキ、椿泰我さん演じるユキオの幼なじみ4人の関係性やポジションを意識しながら演じられた部分もあったのでしょうか。
それはありましたね。特に魔法会議のシーンではそれが表れていて、アキトは率先して何かを決めていく先頭に立つような役割で、ナツキはそれをちょっと軌道修正しながらも、俯瞰で見て冷静にツッコんだり、物事を進めてくれる。ハルヒは全員で言い合いになったときに中立な立場を保ってくれていて、ユキオはムードメーカーという、それぞれの役割を果たしてくれていたんじゃないかなと思います。
――井上さん、櫻井さん、椿さんとはすぐに打ち解けましたか?
もちろんです。本読みの段階から熱が入りすぎてボロボロに泣いちゃって、そこから関係を積んでいったので、「この人たちとなら大丈夫だな」という信頼関係ができたなと思いましたね。幼馴染を演じる上でやりにくいことと思うことは、正直一個もなかったかなと思います。クランクインから本当にナチュラルに、みんなが作品に入り込んでいた印象が強いです。
一番自分に近い感覚で撮っていた作品
――撮っていてグッと来たり、印象に残っているシーンはありますか?
最後のほうに病室でのシーンがあって、それがクランクアップの日だったんですけど、寂しいとかそういうことじゃなくて、みんな胸に来るものがあってもういっぱいいっぱいでヤバかったです。そのシーンに向かっていくことを考えて撮っていたので、集大成としてそれまでの思いが詰め込まれている、個人的にも、観てくださるみなさんにとってもグッとくるシーンなんじゃないかなと思います。
――撮影中、共演者のみなさんとはどんなお話をしましたか?
同世代なんで、くだらない話から趣味の話をしたり、それこそ僕と椿くんはボーイズグループにいながらも役者にも挑戦しているという、今置かれている境遇がすごく似ているので、話が合う部分もたくさんありましたね。僕が差し入れでカフェとクレープのキッチンカーを入れたんですけど、そこにめっちゃテンションが上がっていたときは、みんなかわいいなと思いました(笑)。
――物語では18歳から20歳の期間が描かれていますが、その年齢の頃を振り返って印象的なことはありますか?
僕はその頃、それまでずっとやってきたサッカーを辞めて(FANTASTICSに加入するきっかけになった)「VOCAL BATTLE AUDITION 5」のオーディションを受けたんですよ。だからもし自分が魔法を使えたらオーディションのときに使っていたかどうか自問自答したときもありましたし、これだけ自分の境遇が似すぎている作品に出会えるのはなかなかないことだと思うんで、今までの作品の中だと一番自分に近い感覚で撮っていた作品だったなと思いますね。
――最後に作品の見どころを教えてください!
タイトルだけパッと見ると、ファンタジー系な作品なのかなという印象を持たれる方がいらっしゃるんじゃないかなと思うんです。魔法がひとつ使えるという部分ではファンタジーだとは思うんですけど、すごくヒューマンドラマで、一言で伝えるならものすごくいい話でとても泣ける映画になっているんじゃないかなと思います。自分にとって嬉しいことや幸せだったなと思った瞬間が多分誰しも一回はあるんじゃないかなと思うんですけど、それがもしかしたらたまたま起こったんじゃなくて、誰かが自分の幸せを願ってくれて訪れたのかもしれないと思えたら、自分の人生がもっと豊かになると思うし、人に対しての思いやりの気持ちも持てると思うし。この作品を観て、もしそう考えてもらえたら演じた側としては嬉しいですし、原作の(鈴木)おさむさん、木村(真人)監督や制作陣全員がそういう気持ちで作っていたので、そういうメッセージ性も含めてみなさんに伝わるんじゃないかなと思います。
PROFILE
八木勇征
1997年5月6日生まれ。東京都出身。ダンス&ボーカルグループFANTASTICSのメンバー。俳優としての主な出演作にドラマ「美しい彼」(21/W主演)、映画『イチケイのカラス』(23)、『劇場版 美しい彼~eternal~』(23)、『矢野くんの普通の日々』(24)などがある。2022、2023年には、2年連続で「ソウルドラマアワード」で“アジアスター賞”を受賞するなど、日本だけでなく世界からも支持を得ている。
映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』2 月 21 日(金)より全国公開
緑豊かな自然に囲まれた、とある小さな村。この村には、ある秘密があった。村の少年たちは18歳になると”人生で一度だけ魔法を使える”と知らされるのだ。その魔法を使えるのは20歳になるまでの2年間。この年に18歳を迎えたのは、アキト(八木勇征)、ハルヒ(井上祐貴)、ナツキ(櫻井海音)、ユキオ(椿泰我)の4人だけ。最初は信じられずに笑い飛ばす4人だったが、自身の父親たちもかつて魔法を使ったことを知り、その使い道を考えるための会議を開くなど真剣に魔法に向き合い始める。高校卒業を控え、それぞれの人生の岐路に立つ4人は一体何に魔法を使うのか?彼らの選択が、4人の人生を大きく動かすことに…。
https://bokumaho-movie.com/
取材・文/東海林その子
撮影/三橋優美子