南区六ツ川在住の和田さん 京急にアート作品を寄贈 身近な電車 毎日描いて
南区六ツ川在住の和田陽光さん(21)は、8月2日、自身のアート作品を京浜急行電鉄(株)に寄贈した。贈られたのは今年、障害のある作家を対象とした国際賞の最終審査に進出した作品。今後、京急ミュージアム=西区高島=に展示される予定だ。
和田さんは自閉症、知的障害、強度行動障害がある。2歳からクレヨンで絵を描き始め、6歳で丸と四角を組み合わせて大好きな電車を描けるようになってからは、1日も欠かさず描き続けてきた。絵の約9割は生まれ育った地域を走る京急電車だ。
今回寄贈されたのは、「HERALBONYArtPrize2025」で最終選考に残った作品。世界から寄せられた総数2650作品中、65作品に選出された。B5のコピー用紙に京急電車の車体を精緻に描き、16枚を並べて1つの作品にした。鉛筆と色鉛筆、定規を使い、絵の上には「明日見る京急」などの文字が記されている。母の希未子さん(57)は、「その日の思いやスケジュール確認のために描いている。頭の中を整理するための作業にも見える」と話す。
京急電鉄の川俣幸宏社長は、2022年6月に六ツ川のギャラリーで開催された作品展を訪れ、迫力ある画風と毎日欠かさず描く和田さんのエネルギーに感銘を受けた。
今回、ファイナリストに選ばれたことを知り、祝いのメッセージを送ると、希未子さんから「寄贈させてもらえないか」という話があり、同社に贈られることになった。
川俣社長は「京急線を愛し、多くの作品の題材にしていただいていることを光栄に思う。貴重な作品を寄贈いただきありがたい」と話した。
最寄の弘明寺駅から京急電車に乗って出かけることが日課の和田さん。京急線を見たり、乗ったり、描いたりすることは生活の一部だ。希未子さんは「日々の積み重ねが1つの形となり、同じような電車が好きな方やお子さんの目に触れる機会をいただき感謝の気持ちでいっぱい」と話した。