“仮面夫婦の親”に育てられた子どもたちの現実 #7「どれだけ恥ずかしい思いをしたか」
互いに関心も愛情も向け合わず、形だけの夫婦で生活を続けるのが仮面夫婦。
自分たちはそれで納得しているかもしれないけれど、一方で置き去りにされるのが子どもたちの状態です。
生きる環境を選べない子どもにとって、両親の仲が冷めきっているせいで受ける影響は良い面も悪い面も大きく出てきます。
「親が仮面夫婦」であることは子にどんな現実を強いるのか、ご紹介します。
「うちの親は仮面夫婦で、家族で買い物に行くときは普通に話すけど家のなかではほとんど口もきかない状態で、家事をする母がいつもぶつぶつと父の愚痴を吐いていたのを思い出します。
3つ上の兄はそんな家が嫌だったのか中学生の頃から荒れて、高校は地元でも底辺と呼ばれるとこにしか行けなくて、妹の私はそれがすごく恥でした。
家でも乱暴な口をきいては物を壊す兄が怖くて、自分の部屋から出ないようにしていたので両親が何をしていたのかは知りません。
家はそんな状態で落ち着かないし、学校で友達ときょうだいの話が出れば兄のことを言うのが嫌だったし、本当にストレスでした。
結局、何があったのか知らないけど兄は更生してきちんと高校に通うようになって、そこら辺から今度は兄を『すごい人』と持ち上げ始めた母親が嫌でたまりませんでした。
兄は地元で就職して私は県外の専門学校に進学して、やっと家から離れることができました。
兄とも会話ができるようにはなったけど実家にべったりで、私に向かって『親孝行をしろよ』とか言ってくるのを聞くと心底腹が立ちます。
私がどれだけ恥ずかしい思いをしたか、学校で肩身の狭い思いをしたか、自分の過去を無視して偉そうな態度を取る兄を見ると、その後ろでおだてていた母の姿を思い出して気分が悪くなります。
大人になった今は、親にも事情があったのだろうとは思うのですが、私のことなどほとんど顧みずに兄にかかりきりだった母と、休日になるとひとりで家を出ていった父のことは、今でも嫌いですね。
おかげで結婚にもいいイメージが持てないし、私自身に男性を嫌う面があってなかなか彼氏もできないし、親が仮面夫婦だと本当に子どもが被害を受けるのだと実感します」(女性/20代/セールス)
親が仮面夫婦のせいで子どもが荒れるケースは少なくありませんが、その影響はきょうだいにも及びます。
家がこんな状態だから、と人に知られるのは子ども心にも恥ずかしいことで、そんな思いをしながら生きなければいけなかったのに家族が誰も責任を取ろうとしないのは、本当につらいと思います。
それでも、家を出て自活できるのなら自分を大切にして生きるのが最善で、家族に振り回されない在り方を見つけたいですね。
(ハピママ*/弘田 香)