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【映画レポ】「結婚して十五年目、事故で夫が死んだ」共感と切なさ…心揺さぶる物語 2025年2月7日(金)公開『ファーストキス 1ST KISS』

Sitakke

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映画『ファーストキス 1ST KISS』

温かい涙が頬を濡らす、という表現では物足りないほど…。

2025年2月7日(金)公開の映画『ファーストキス 1ST KISS』は、心を深く揺さぶるラブストーリーです。

「HBC演劇エンタメ研究会(通称“エンケン”)」の佐藤彩アナウンサーが、試写会に参加してきました。映画を見た感想をお伝えします。

ストーリー

結婚して十五年目、事故で夫が死んだ。
夫とは長く倦怠期で、不仲なままだった。
残された妻は第二の人生を歩もうとしていた矢先、タイムトラベルする術を手に入れる。

戻った過去には、彼女と出会う直前の夫の姿があった。
出会った頃の若き日の夫を見て、彼女は思う。
わたしはやっぱりこの人のことが好きだった。

夫に再会した彼女はもう一度彼と恋に落ちる。
そして思う。十五年後、事故死してしまう彼を救わなくてはー。

「愛する人と歩む人生とは?」
人生で誰もが直面する、答えのない深くてシンプルな疑問。
この物語は、それらの意味を問いかける心揺さぶるラブストーリー。## 共感と切なさに号泣

HBCアナウンサー・佐藤彩

HBCアナウンサーの佐藤彩です。

温かい涙が頬を濡らす、という表現だとちょっと物足りないほど、いわば号泣で、映画を見終わった私の顔はぐしゃぐしゃでした。

自分の経験とリンクするように感じられて、涙のダムが決壊してしまいました。
こんなに涙もろかったのだろうか、と自分を疑いたくなるほどです。

切なくもあるけれど、愛が深くて素敵な作品でした。

もちろん感じ方は人それぞれですので、「泣ける映画です!」とは言い切らないですが、「中には共感と切なさに号泣しちゃった人もいる」と思ってみてください。

©2025「1ST KISS」製作委員会

作り手も演者も魅力的…その期待を裏切らない

もともとこの作品は、作り手さんも演者さんも魅力的な方々の名前が並んでいて、予告編を見てずっと気になっていた作品でした!

脚本は坂元裕二さん。映画『花束みたいな恋をした』でオリジナルの映画脚本を書き下ろし、『怪物』ではカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した、世界の第一線で活躍する脚本家です。
『花束みたいな恋をした』を見た方は、恋人とうまくいっているときの様子も、ダメになっていくときの様子も、きっと「わかるわかる!」という共感の嵐だったのではないでしょうか。

となると、この作品もまた、心をえぐってくるのだろうか?とほんのり思ってはいました。

さらに、監督は塚原あゆ子さん。その手腕が光った映画『ラストマイル』を思い出しても、期待感しかなかったわけです。

そして、映画はその期待を見事に裏切らない!

私の心には、グサグサと心に突き刺さるものがありました。

心揺さぶる言葉たち

©2025「1ST KISS」製作委員会

「恋愛感情と靴下の片方は、いつかなくなる」

こういった核心を突いてくるワードがいくつも登場します。

恋愛とは?結婚とは?といった価値観をめぐる会話や、松たか子さん演じる主人公・カンナの行動に、「私だったらどうするだろう?」「これは私もそうする!それわかる!!」など、自分の過去の経験や恋愛観を重ねたり比べたりしながら見てしまう時間もありました。

イライラが募ってケンカしてしまう感じとか、バラバラな朝食とか…。
すれ違うとき、噛み合わないときってこうだよなぁと突き刺さったり、会話のない生活のむごい感じもひしひしと伝わってきたり…。

©2025「1ST KISS」製作委員会

そうかと思えば、2人が出会ってすぐのフレッシュでコミカルなやり取りは微笑ましくて、ずっと見ていたくなる時間でした。共感ポイントのほか、心がときめく“きゅんポイント”もたくさんあります。

でも、ストーリーが進むにつれて、切ない気持ちがこみ上げてくるのです。最後にも特に良すぎるシーンが待っていました。
本当に感情のバロメーターの移動が激しかったです。

最終的に見終わって思ったのは、結局「恋愛したいなぁ…」ですね。そこかい!笑
でも、それが素直な気持ちでした。笑

©2025「1ST KISS」製作委員会

そんな気持ちになったのは、松たか子さんの魅力が光っていたのも大きいと思います。とても自然なのです。20代のカンナを演じているときも!

冒頭の暗く、苦悩しているような、虚無感にすら見えた表情のカンナと、その後、自分のすべきことを見つけて生き生きとしていく表情の変化は、松たか子さんだからこそ表現できちゃう凄みなのでしょう。

カンナは、たまたまタイムトラベルできる術を知って、彼の未来を変える旅に出かけました。ただ、私の知る限り、そのファンタジーの世界線に現実の私たちはたどり着けません。

でも、タイムトラベルができない私たちにだって、今できる範囲でモヤモヤを解消する手段が、きっと自分の中にあるはず!
カンナのような勇気を持った行動も、きっと今からでもできる!
運命の糸を結んでいく点の一つひとつ、どこを通っていくかは、結局自分次第!
そう思わされました。

©2025「1ST KISS」製作委員会

なかなか気付けないかもしれない、ささいな日常の幸せに目を向けてみることも、そのひとつ。

人生「あのときこうしていれば」と後悔したり、「あのときに戻りたい」と思ったりする瞬間は多々あるけれど、その気持ちを持っているからこそ、人を思いやることができたり、自分が変われたりすることもある、と教えてくれている感じがしました。

“あのとき”自体には戻れなくても、その“あのとき”から続くであろう世界線とは別の、違った形の“あのときの続き”を自分で作っていけたら、自分が好きと言えるような未来に進んでいけるのではないでしょうか。

©2025「1ST KISS」製作委員会

ちなみに、カンナの少し下の年代という私の視点での個人的な感想ですが。
15年前の夫に恋をしたカンナ…つまり年の差があるわけですが、心が共鳴して惹かれ合う運命の相手には、年齢は関係ないのかも、とも思いました。

となると、年齢で相手を見る、そんなフィルターはいらないのかも?希望を持ってもいい!と、ふわっと背中を押されたような気持ちになりました。笑

どの年代の人でも、恋愛や結婚生活がうまくいっている人も、そうでない人も、ちょっと失敗しちゃった人も、まだ何も始まっていない人も、それぞれの視点で心に響く、共感ポイントがきっとある…そんな作品だと思います。

それが、今の私にはドンピシャだった、ということで…涙の嵐。
いい恋をしよう。笑

©2025「1ST KISS」製作委員会

『ファーストキス 1ST KISS』

©2025「1ST KISS」製作委員会

■出演:
松たか子 松村北斗
吉岡里帆 森 七菜
YOU 竹原ピストル 松田大輔 和田雅成 鈴木慶一 神野三鈴
リリー・フランキー

©2025「1ST KISS」製作委員会

■脚本:坂元裕二

■監督:塚原あゆ子

■企画・プロデュース:山田兼司

■配給:東宝

■2025年2月7日(金)全国東宝系にてロードショー

詳細は公式サイトからご確認ください。

文:HBCアナウンサー・佐藤彩
編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は記事執筆時(2025年2月)の内容に基づきます

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