カラフルでユニークな展示空間 Keeenue Exhibition『Color Outside the Lines』レポート
2025年1月17日（金）から2月3日（月）まで、渋谷PARCO 4FのPARCO MUSEUM TOKYOにてKeeenue Exhibition『Color Outside the Lines』が開催されている。
ミューラル（ウォールアート）やペインティング、立体作品の制作など、多様で色彩豊かな芸術表現を行い、国内外を問わず様々な活動を展開してきたKeeenue（キーニュ）。本展は、Keeenueが空間や構成なども含めて携わった企画としてはほぼ初めての個展であり、今までに制作してきた作品を落とし込んだ貴重な内容だ。以下、内覧会の様子をレポートしよう。
多彩な色で埋め尽くされた空間
会場に足を踏み入れた瞬間、鮮やかな色彩と力強さに目を奪われる。描かれているのは具象と抽象が混在しているようなモチーフで、土着と洗練が絶妙のバランスで入り交じり、目を離せない力がある。全体にグラフィティの躍動感が漂うのも魅力的だ。
今までの創作活動の集大成
本展は、絵画作品だけではなく、ビーズやコラージュ、映像など、さまざまな素材を使った作品が集結している。最初の空間「NOREN」にはカラフルなビーズの新作が展示され、作品を境界として緩やかな隔たりがあることに気づかされる。
自動車メーカーであるランドローバーのディフェンダーとコラボして制作されたライブペインティング作品は、本展ではライブペイントとアニメーションが重ねて展示される。アニメーションもKeeenueが編集したもので、作家の幅広い才能と実力を示している。
その他、さまざまなモチーフや材料を使って創作されたコラージュ作品や、麻紐による表現が新鮮な「Color Outside the Lines」、飼っていたセキセイインコが亡くなり、病気で空を飛べなかったそのインコを凧に描いて空に飛ばそうと試みる「BABA」など、いずれもパワフルでユニークだ。素材の持ち味や可能性を最大限に活かし、常に新しい表現を試みるKeeenueの姿勢が伝わってきた。
創作熱が伝わるライブペインティング
奥の広いスペースは、会期中にKeeenueがライブペインティングを行い、制作した絵が展示される場所だ。土俵をイメージした台には、両面にキャンバスを設定したイーゼルが置かれ、Keeenueが長い棒を駆使して土俵の外から絵を描く。制作スペースに土俵があるのは、Keeenueが他者と同じ土俵に立たないようにしていることに由来するそうだ。
Keeenueが土俵を回転させながら全身で絵を描く様は、ダイナミックで見ごたえがある。完成した絵は壁面に展示されるので、会期の終了が近づくにつれて作品が増え、描かれたばかりの最新作をたっぷり堪能できる。ライブペインティングが開催されていない時でも実施時の映像が流れているので、Keeenueの創作熱を実感できるだろう。
本展は物販コーナーも充実しており、シルクスクリーンやＴシャツ、新興ガレージ・メーカーであるHIGH TAIL DESIGNや、スペシャルティコーヒー専門店のTHE COFFEESHOP とのコラボ商品などが、Keeenueの世界観を投影したコーナーに勢揃いしている。会場に展示されている作品も購入できるので、是非見逃さずチェックいただきたい。
実は12年前、Keeenueはここパルコミュージアムでアルバイトをしていたのだそう。今回は作品を展示・発表する表現者として関わることになったKeeenue。自由で軽やかな彼女の最新作を目の当たりにできる『Color Outside the Lines』は、2月3日（月）までPARCO MUSEUM TOKYOにて開催中。
文・撮影＝中野昭子