行方不明の認知症女性に寄り添う愛犬、吠え続けて居場所を知らせる(米)
米ユタ州で今年6月、認知症の女性が愛犬の散歩に出かけたまま行方不明になった。丸一日が経過しても女性は戻らず、日中の酷暑により安否が心配されたが、愛犬が吠え続けていたことが手がかりとなり、女性の発見に至った。発見時、愛犬は女性のそばに寄り添っていたそうで、「やっぱり犬は素晴らしい」といった声があがっている。米ニュースメディア『People.com』などが伝えた。
米ユタ州野生生物資源局「Utah Division of Wildlife Resources(以下、ユタDWR)」は7月11日、行方不明になった女性を救助したことをFacebookで報告した。
投稿によると今年6月、同州エメリー郡保安官事務所に「80歳の女性が行方不明になった」と通報が寄せられた。この女性は認知症を患っており、チョコレート色のラブラドール・レトリバーと散歩に出かけたが、いつまで経っても帰ってくる気配がなかった。心配した家族が捜し回ったが、丸一日が経過しても戻ってこなかったため、通報したという。
エメリー郡保安官事務所から要請を受けて、ユタDWRのジェームス・トーマス自然保護官(James Thomas)は、人間を追跡するための特別な訓練を受けた救助犬“キップ(Kip)”を連れて捜索を開始した。すでに日が暮れており、当時の気温は約12度と比較的涼しかった。しかし日中は37度を越えていたため、女性の安否が懸念された。
日が沈んで辺りは暗くなっており、女性を見つけることが難しい状況だった。それでもジェームスさんとキップが女性の痕跡を探し続けていたところ、午前3時半に遠くから犬の吠える声が聞こえてきた。この犬の鳴き声を頼りに捜し続けたが、女性を発見することはできなかった。
翌日、近隣住民から「民家のない方角で、犬の吠える声が聞こえた」という通報が入った。その後、周辺に設置された監視カメラの映像を確認すると、愛犬を連れて西の方へ歩いていく女性の姿が映っていたそうだ。
これらの情報をもとにジェームスさんとキップは捜索を再開し、心配した近隣住民も手伝うことにした。女性が向かったとみられる山の方で捜索していると、再び犬の鳴き声が聞こえてきた。鳴き声を辿って山を登っていくと、女性とそばに寄り添う愛犬を発見したのだ。
女性には極度の脱水症状が見られ、靴が脱げた状態だった。また、身体には小さな切り傷や痣が確認されたものの、ユタDWRは「女性の健康状態は総じて良好でした」と報告した。
ジェームスさんは応援が来るまで女性に付き添い、最終的に女性はヘリコプターで病院に運ばれた。
ユタDWRがFacebookで「女性が無事に見つかって良かったです」と報告すると、「なんて心温まる話なの」「ジェームスさんとキップはもっと称賛されるべきだよ」「やっぱり犬は素晴らしい」など、ジェームスさんとキップ、そして女性の愛犬にも称賛の声が寄せられている。
ちなみに2021年には英カンブリア州で、山登り中に発作を起こして意識を失った飼い主のために、愛犬2匹が見事なチームワークで助けを呼んで飼い主の命を救っていた。
画像は『100.7 WMMS 「Barking Dog Leads To Rescue Of Missing Owner With Dementia」』『Utah Division of Wildlife Resources Facebook「Last month the Emery County Sheriff’s Office received a report of a missing woman who had dementia.」』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)