懐かしい昭和時代が浮かんでくる、昔ながらの理髪店の心温まる物語。台湾映画『本日公休』20日(金)から全国公開!
台湾映画が面白い。どこか日本の昭和の時代を彷彿させる趣きがある。台中の下町にある昔ながらの理髪店を営む女主人・アールイと3人の子供たち、そして理髪店を訪れる常連客との心温まる物語を描いた『本日公休』が、9月20日(金)から新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開となる。
3人の子たちは既にぞれぞれの道を歩んでいるが、アールイの心配はつきない。台北でスタイリストをする長女、街のヘアサロンで美容師をする次女、一獲千金を夢見て定職に就かないままの長男。母親は子供たちを大切に想うのだが、子供たちはどことなく母親に批判的で、なかなか実家にも顔を見せない。頼りになるのは地元の自動車修理店を営む次女の別れた夫だけ。
理髪店「家庭理髪」には息子の卒業式に出席するため散髪にきた紳士、枕元に立った亡き妻に「髪は黒い方がいい」と言われ、初めて白髪染めをする老人、親に内緒で流行りのヘアスタイルにして欲しいと懇願する中学生の男の子らが来店し、泣いたり笑ったり毎日忙しい。アールイは常連客の顔がしばらく見えないと、アドレス帳を手に電話をする。ある日、引っ越して遠くなった街から通ってくれていた〝先生〟の顔が見えないので、電話をすると、その娘から先生が臥せっていることを知る。
アールイは店に「本日公休」の札を掲げ、愛用の理容道具を携え、古びた愛車で出発する。偶然実家を訪れた長女は、母が店を休んでいる理由を妹弟に聞くがわからない。スマホは食卓の置きっぱなしで連絡も取れず、3人は母を案じる。アールイは慣れない車の運転をしながら出張散髪に向かっていた……。
主人公のアールイ役には、1999年以来、映画の出演から遠ざかっていた『客途秋恨』(アン・ホイ監督/90)の名優 ルー・シャオフェンが24年ぶりに銀幕に主演復帰。「こんな脚本をずっと待っていた」と出演を即決したシャオフェンは、約4か月間ヘアカットの猛特訓を積んで撮影に臨んだ。本物の理髪師さながらのハサミ捌きと、ブランクを感じさせない演技で、台北電影奨主演女優賞、大阪アジアン映画祭 薬師真珠賞(俳優賞)を受賞。また、アールイに反発的な次女リンを演じたファン・ジーヨウが台湾金馬奨 助演女優賞を、次女の元夫で心優しいチュアンを演じたフー・モンボー(『返校 言葉が消えた日』19)が台北電影奨 助演男優賞を受賞した。『藍色夏恋』(02)のチェン・ボーリン、『僕と幽霊が家族になった件』(22)のリン・ボーホンが、特別出演しているのも見逃せない。
プロデュースは、エドワード・ヤン監督『ヤンヤン 夏の想い出』(00)への主演や、ホウ・シャオシェン監督『悲情城市』(89)、『恋恋風塵』(87)の共同脚本で知られる台湾ニューシネマの重鎮ウー・ニェンチェンが務めている。作品に温かな余韻をもたらす主題歌「同款」を歌うのは、台湾最大の音楽アワード 金曲奨で2023年に最優秀新人賞を受賞した注目のシンガー、ホン・ペイユー。
40年にわたり理髪店を営むアールイの生き方、考え方がとても温かく、観るものを優しく包んでくれる作品である。
『本日公休』
9月20日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
(c) 2023 Bole Film Co. Ltd. ASOBI Production Co. Ltd. All Rights Reserved
配給:ザジフィルムズ / オリオフィルムズ