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管理不要の超楽な<ベランダビオトープ>の世界 一度セットしたら数年は放置でOK? 

サカナト

ベランダビオトープ(撮影:松本ミゾレ)

水を貯める容器さえあれば、自宅で簡単なビオトープ(生きものが暮らす場所)を作ることができます。

本格的なものとなると、自宅の庭を掘り起こして、そこに容器を埋め込んで防水シートを張って、水を入れて池を作る必要があります。そして、在来の植物を植えて水辺を再現し、生き物たちが集まるのを待つというのが王道。でも、全ての庭が地面を掘り返してOKというわけでもありませんよね。

一方で、トロ舟などの容器があれば、置くだけで独立した水場を作ることができます。

観賞用の植物を植えたり、メダカを入れたりするだけでも、それはそれで手軽なビオトープになるのです。ただし、近隣の生態系に影響を与えないために、植えた植物や育てている生きものが流出しないように注意する必要があります。

日本の住環境は手狭ですので、庭が狭いとか、ベランダも猫の額ほどしかないという住宅も多いはず。

そんな状況でも楽しめる、簡単なベランダビオトープの楽しみ方について、今回は筆者が実際に維持しているトロ舟を例に紹介します。

作って放置! これがベランダビオトープ

筆者がベランダに簡単なビオトープを置きたいと思ったのは、2018年のこと。

近所のホームセンターで縦90センチサイズの、まとまった水量が確保できるトロ舟を購入して、狭いベランダに設置。そこにソイル(アクアリウムで使用する底砂の一種)と砂を混ぜたものを敷き、水を入れました。

トロ舟を置こうと思ったそもそものきっかけは、室内で飼育している熱帯魚の水槽で増え過ぎたウィローモス(熱帯などで見られる水生苔)と耐寒性のあるいくつかの水草の置き場所に困っていた、というものです。

初期のベランダビオトープ(撮影:松本ミゾレ)

当初、生体を入れることもしていなかったのですが、しばらくすると水中のダンゴムシことミズムシが発生したり、色んな昆虫が水分補給のために立ち寄ったりするなど、にわかに騒がしい事態となり、それに触発されて、殺風景なトロ舟のレイアウトを考える余地が生じたのです。

なんとなく生き物が見えやすいレイアウトにしたいという思いもあり、翌年には白い砂を敷いてみました。

白砂を撒いたトロ舟ビオトープ(提供:松本ミゾレ)

もっとも、この後にドジョウを入れたことで攪拌され、すぐに元の地味な状態に戻りました。

加えて、根が水に浸った状態でも成育する植物や睡蓮も植えてみることに。トロ舟の内壁にはモノアラガイが見えますが、これはおそらく室内水槽から持ち込んだ水草由来と思われます。

そしてこれ以降、定期的にリフォーム感覚で植えるものを変えたり、足し水をしたりする程度で、全く管理らしい管理はしていません。

ですが、水質も安定しており、室内で維持する水槽よりも何倍も手軽に、綺麗な水辺の維持ができています。

生きものたちとの出会いも頻繁に楽しめる

自宅で手軽にやるビオトープの最大の魅力は、入れた覚えのない生きものがいつの間にかに訪れるという点にあります。

筆者の自宅の場合は狭いベランダかつ屋根付きということもあって、鳥やトンボの飛来はごく稀なのですが、それでも気付けばスズメが水浴びをしていたり、アシナガバチが休息と水分補給に訪れたり、アマガエルが数日居着くといったケースを確認しています。

一度、どのように侵入したのか分かりませんが、なんとハクビシンが訪れたこともありました。鳥も昆虫も獣も、民家のビオトープにはそれなりに立ち寄るメリットを感じている様子です。

ハクビシン(提供:PhotoAC)

ボウフラ対策としてのメダカ? 成長した蚊を食べるのは……

メダカを自宅のビオトープに入れる方は多いと思います。筆者も金魚と一緒に導入しています。

ある程度長く維持したビオトープとなると、餌となる生きものも湧くのか、特に餌をやることはなくても元気に成育しています。例えば、水を張った容器を民家の屋外に放置すると、ボウフラが発生しますよね。

ボウフラは蚊の幼虫ですので、不快害虫とされています。メダカはそのボウフラを食べますので、蚊の発生を抑制するためにも、メダカは入れておいたほうがいいのかもしれません。もちろん、ボウフラを食べさえすればいいので、ほかの魚でも大丈夫です。

しかし、メダカが食べそびれて羽化してしまった蚊に関しても、今度はそれを狙った生きものがやってきます。クモがビオトープの上に巣を作るのです。こういった様子を観察するのも、とても楽しいもの。

また、カニの模型なんかを入れてレイアウトを楽しむこともできます。

昨年のベランダビオトープレイアウト(撮影:松本ミゾレ)

長く維持していると、底面に敷いたソイルも溶けて泥になってしまうのですが、いちどその泥を掬って確認してみると、そこにはヨコエビが繁殖していました。ヨコエビもまた、いつの間にかビオトープに湧く生きものの代表ですね。

そのほか、近所で捕獲したミナミヌマエビカワニナドブガイを入れて数年。ドブガイ以外は繁殖しており、累代飼育ができています。

やらないよりやる方が絶対いい! 自宅に水辺を作ろう

2024年10月、地元の友人が繁殖させたメダカを譲り受けて、現在トロ舟に入れて育てています。元々数年前からトロ舟の中には近所で捕獲した在来メダカもいるのですが、ボウフラ対策要員として導入しました。

また、未確認ですが、いつの間にかドジョウも複数いるようなので、そちらも繁殖しているのかもしれません。

他にも、昨年6月ごろに近所で採取したセリが問題なく冬を越したため、今年はそのセリをトロ舟横のプランターに植えています。

トロ舟の奥手に生えているのがセリ(提供:松本ミゾレ)

このように、個人的な嗜好に基づくレイアウトの変更は割と頻繁に行っているのですが、ビオトープの維持自体はかなり楽。ほぼノータッチです。

蒸発した分だけ足し水はしていますが、それもベランダで育てている他の植物への水やりのついででOK。一度設置してしまえば、後は特に何をするでもなく放置で問題ないのがこの手の維持管理が簡単なビオトープのメリットと言えるでしょう。

初期投資も非常にリーズナブル。トロ舟だってそんなに高くありません。

今はビオトープの入門用の書籍も出回っています。本格的なものは難しくても、今回紹介したような、とりあえず自宅に水辺を作るという、簡単な目的を達成できるようなものを置くことから初めてみるというのはいかがでしょうか?

なお、本記事は動植物が流出しない環境でビオトープを設置する前提の話となっています。近隣の生態系に影響を与えないため、育てている生きものや植物が流出しないように十分に注意しましょう。

(サカナトライター:松本ミゾレ)

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