アランマーレ富山で「地域のためにも、自分のためにも」邁進する3選手にインタビュー!「働くことでのプラス」とは?
ハンドボールリーグ リーグHに所属する『アランマーレ富山』。株式会社プレステージ・インターナショナルが運営するチームとして、2015年にアランマーレ秋田(バスケットボール)、アランマーレ山形(バレーボール)が発足した後、2016年にハンドボールチームが発足しました。仕事にも取り組みながら日本トップレベルのハンドボール選手として活動しています。
「働きながら選手もやる」ということに対し、実際に選手たちはどのように捉えているのでしょうか?在籍歴の長い、3人の主力選手に率直なお話を聞きました。
菊池杏菜選手
在籍8年目の今年はキャプテンを務める菊池選手。近年の肉体改造で作り上げた強靭な下半身と明晰な頭脳でチームを引っ張る存在。(※2024-2025シーズンをもって現役引退を発表)
高木裕美子選手
高校卒業後アランマーレ富山に加入した地元・富山の出身選手。在籍7年目。その明るい人柄からはイメージのつかない力強いプレーでチームを支えている。
檜木祐穂選手
東海大学卒業後、地元・富山のアランマーレ富山に加入し、その得点力を武器にプレーする。その責任感でチームを引っ張るアランマーレ富山の中心選手。
写真左から、菊池選手、檜木選手、高木選手
「働くことに不安はあった」仕事とハンドボールの両立
ーー今日はハンドボールのことだけでなく、お仕事のことも伺っていきたいと思います。株式会社プレステージ・インターナショナルでは、コンタクトセンターの仕事を3人ともやられていますが、入社前の印象はいかがでしたか?
菊池)正直に言うとすごく不安でした。「ハンドボールをやりたい!」という想いでアランマーレ富山に来ましたが、「仕事と選手の両立ができるのかな?」と考えたりしましたね。部活動で忙しく、アルバイトもしたことがなかったので、“働く”ということに対しても不安はありました。
高木)私は当時高校生で、仕事に対してあまり考えていなかったというのが本音です。ハンドボール選手として、早く実業団や社会人チームに入って挑戦したい、結果を出して地元に恩返しがしたい、という想いが強かったです。不安という意味では、ハンドボールの面でやっていけるかの方が大きかったかもしれません。
檜木)私も加入時には、地元のチームであるアランマーレ富山でプレーしたい!という想いが自分の中では一番で、仕事に対しては少し不安はあるものの「なんとかなるだろう」という想いをもっていましたね。
ーーなかなか入社前から、「こんな仕事をするんだ」と鮮明にイメージすることは難しいですよね。
菊池)ホームページやパンフレットで調べたりはしたのですが、高校生の自分にとってはちょっと難しかったですね。研修を受け、部署に配属されてからわかっていった感じです。
ハンドボール以外の時間として、有意義なものに
ーー不安を持たれて入社されたとは思いますが、みなさん長く在籍し、プレーの面でも仕事の面でも活躍していると伺っています。仕事の方はいかがですか?
高木)私は珍しく3つの部署を経験してきました。各クライアント企業それぞれに対応のマニュアルが違ったり、覚えることも多いのですが、さまざまな経験ができているので充実していると感じています。
菊池)最初の頃は大変でしたね。午前中は練習して、すごく疲れてるところに午後は仕事で新しいことを頭に叩き込まなきゃいけない状況だったので。ただ、仕事を覚えていくうちに自分がどんどん成長していくのを実感しています。
ーー菊池さん、高木さんは高卒1年目からしっかりとハンドボールもしながら仕事もされていたと伺いました。檜木さんはいかがですか?
檜木)同期入社の人たちと比べると、仕事に割く時間が少ないので最初は不安もありました。ですが、部署の人たちが本当に優しく、社内でも一番いい人たちが集まった部署じゃないかと思うくらいです(笑)。
ーー皆さんのお話を聞くと、すごく仕事に対してポジティブに捉えているように感じます。ハンドボールに対してもプラスに働いていることはありますか?
檜木)自分の中では、いい意味で”ハンドボールではない時間”になっています。部署の人たちとお話する時間も、仕事に集中する時間も、ハンドボール選手としての時間も、いい切り替えができることで充実していますね。
菊池)部署の皆さんが試合を観に来てくださったり、新聞の記事を観て「すごかったね」と言ってくれることは頑張ろうと思うモチベーションになっています。また、業務でお客様とたくさん話す機会があることで、取材対応やファンの方、地域の方とのコミュニケーションも上手になっているし、以前に比べてどんどん話すことに抵抗がなくなっていると感じています。
高木)応援を身近に感じられるのは嬉しいですよね。アランマーレのグッズを身につけてくれていたりするのも、頑張れる要因になっています。
アランマーレ富山で日本一を!
ーー引退後のセカンドキャリアに対しても、仕事の経験が活きるのではないかと思ってしまうのですが、実際に皆さんはどのように実感していますか?
檜木)選手でいるうちはまだまだ考えることは少ないかもしれません。6歳から20年以上ハンドボールをしていて、この先のことも考えることはありますが、いまのところ自分の中でハンドボールを超えるものがないというのは本音ですかね。
高木)私も今はハンドボール以外のことはあんまり考えてないですね。やれるところまでやりきりたいという想いが強いです。ただ、お仕事でも人とのコミュニケーションを中心にさせていただいていますので、そうした仕事を続けていければなと思っています。
ーーアランマーレ富山ってどんなチームですか?
檜木)“個性が豊かなチーム”ですね。コートの上でもそれぞれ選手一人ひとりに個性がありますし、日常生活でもさまざまな個性が発揮されています(笑)。
菊池)地域に限らず、人に愛されるチームだと思っています。地域との交流をすごく大事にしていて、”人との繋がり”を大事にしているチームです。そうした交流を通して、ハンドボールの楽しさやおもしろさを年齢問わずに広げることができているのではないかなと思っています。
高木)富山県の人たちは、ハンドボールに限らずバスケットボールやサッカーなど、スポーツに対して熱い県民性だと思います。おじいちゃんおばあちゃんも本当に熱く応援してくれて「みんなでアランマーレ富山を強くしたい」という想いをファンの方から感じられます。
ーー本当にいい環境でハンドボールができているのですね。今後、応援してくれる地域に対してどのような還元をしていきたいですか?
檜木)いま子どもたちのハンドボールの人口は減ってきていて、中学生でも合同チームで大会に出場する学校もあります。私たちの試合を観て、「ハンドボールやりたい」「将来はアランマーレ富山に入りたい」と思ってもらえるようなチームになりたいなと思います。
菊池)チームが創設されてから9年の歴史を積み重ね、もう若いチームではなくなってきたと感じています。しっかりと今いる私たちが基盤を固めて、“富山県射水市と言えばアランマーレ富山”と言える印象をより強くしていきたいです。
高木)これまで以上に愛されるチーム、子どもたちに憧れられるようなチームにしたいですよね。
ーーこれからの目標について教えてください!
高木)謙虚さと素直さを大事にして頑張っていきたいです!
菊池)最初のうちは新しいことをどんどん覚えて、緊張しながら取り組んでいたものが、慣れからか「本当に成長できているのか?」と感じる瞬間もときどきあります。業務の面でもハンドボールの面でも、どんどん自分から新しいことを求めてチャレンジしていくことが今年の目標です。自分にできること、新しいことを発見し、それを実行していきたいと思います。
ーー仕事の場面があるということは、成長の機会も多くあると言えますね。
檜木)チームが日本一になる、ということが自分の中では一番の目標です。菊池さんも言っているように、成長の幅が感じられにくくなる年齢になってきているので、さまざまなプレッシャーの中でも自分らしくプレーをする、自分らしく生きることを大事にしてもう一歩成長して、もう一つ上のステージにいけるように頑張りたいですね。
ーーありがとうございました!