『動物愛護週間』は何をするためのもの?歴史や目的、恒例行事などをご紹介
動物愛護週間の目的
ご存じの方も多いかもしれませんが、動物愛護週間は日本の『動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)』で定められています。期間も明記されていて、毎年9月20日から26日までの1週間です。
動物愛護管理法とは、動物の虐待や遺棄の防止、適正な取扱い、健康や安全の保持などに関して定められた法律です。そのため対象となるのは、動物を取り扱う業者から一般の飼い主さんまでと、動物に接する機会のあるすべての人となっています。
この法律の中で「動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を広く国民の間に深めるため」という目的で定められているのが、動物愛護週間です。ただ期間を定めただけではありません。目的を実現するために、国と地方自治体は目的に適った行事を実施するように努めなさいということも、併せて定められています。
動物愛護週間の歴史
日本における動物愛護の歴史はとても古く、江戸時代の生類憐れみの令(1685年〜1709年)にまで遡れます。
イギリスで畜獣の虐待及び不当な取り扱いを防止する「マーチン法」が制定されたのが1822年、フランスで動物虐待罪を規定した「グラモン法」が制定されたのが1850年ですので、世界的にも日本の取り組みはかなり早かったと言えるでしょう。
ただし、刑法で牛馬等の虐待防止を規定したのが1908年(明治41年)、動物愛護管理法の元となった「動物の保護及び管理に関する法律」が制定されたのは1973年(昭和48年)など、近代日本における動物愛護の法整備は西洋から大分遅れをとってしまいました。
動物保護に関する組織化もしかりです。イギリスでは1824年に『動物虐待防止協会(SPCA)』が設立され、1840年から王立化されました。フランスでは1846年に『動物保護協会』が、アメリカでも1866年に『アメリカ動物虐待防止協会』が設立されています。
日本では、広井辰太郎氏が1902年(明治35年)に『動物虐待防止会』を設立し、動物愛護の精神の普及に努めました。その後1915年(大正4年)に、新渡戸稲造夫人の万里氏とバーネット大佐夫人のフランセス氏が、『日本人道会』を設立しました。日本人道会は積極的に活動し、西洋の動物愛護の精神を日本に広める役割を果たしたといわれています。
動物愛護週間の始まりは、アメリカ動物愛護協会が1915年に制定した、5月第一日曜日から始まる1週間でした。日本人道会がこれを取り入れ、1927年(昭和2年)5月28日〜6月3日に、日本最初の動物愛護週間を制定しました。1937年(昭和12年)からは、動物愛護に携わった方への表彰も始まりました。
日程が変わったのは、1949年(昭和24年)に出されたGHQからの「毎年春分の日を動物愛護デーとするように」という指示からです。1954年(昭和29年)からは、日本全国での屋外行事開催を考慮して、秋分の日を中心とした時期に変更されました。
動物愛護週間に行われる行事
動物愛護週間には、環境省、東京都、台東区及び多くの動物愛護や獣医師等の団体から構成された実行委員会により、毎年『どうぶつ愛護フェスティバル』が開催されています。
今年は屋外行事が9月21日(土)に都立駒沢オリンピック公園で、屋内行事が祝日の9月23日(月)に国立科学博物館で開催予定です。屋外行事ではステージや子ども広場、ブース広場等でペットと防災や犬のしつけ方を始めさまざまな企画やパネル展示が、屋内行事では表彰式やシンポジウムが予定されています。
各自治体でも個別のどうぶつ愛護フェスティバルを開催します。検索サイトから「どうぶつ愛護フェイスティバル 自治体名」で検索し、お住まいの自治体で実施している行事に参加してみてはいかがでしょうか。
動物愛護週間の過ごし方
どうぶつ愛護フェスティバルに参加するだけが、動物愛護週間の過ごし方ではありません。飼い主さんご自身が日頃感じている「困った」や「知りたい」を解決するための行動を起こすきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
例えば、愛猫に健康で長生きしてもらいたいと考えている飼い主さんであれば、毎年動物愛護週間の時期にかかりつけの動物病院で「健康診断」を受けるというのもアイディアの一つです。
また、猫のことを深く知るための勉強を始めるきっかけとして、通信講座を始めたり、一般市民向けに開かれている動物関連の勉強会などを受講するのも良いでしょう。
例えば、『日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)』という獣医師や動物看護師等で構成された団体は、毎年9月に開催する年次大会の中で、一般市民向けの講座を開いています。今年は9月21日(土)、22日(日)にホテルニューオータニで開催され、市民向けに2日間で10講座が予定されています。
さらに、愛猫が普段暮らしている環境の改善を図る時間を作るとか、万が一大きな災害に見舞われた際に愛猫と同行避難するための準備をするというのも良いでしょう。
また動物愛護の原点に立ち戻り、殺処分を少しでも減らすための活動を始める、動物愛護団体への寄付を行う、動物愛護管理法について理解を深める機会にするなども良いでしょう。
まとめ
今回は動物愛護週間を中心に、日本における動物愛護の歴史や動物愛護週間に催される主な行事、愛猫の飼い主さんとしてどのように動物愛護週間を活用するかといった考え方などをご紹介しました。
これといった決まりがあるわけではありません。愛猫と一緒に暮らす飼い主さんが、それぞれ愛猫について考えたり勉強したりするきっかけとして上手に活用するのが、一番の過ごし方となるはずです。