Yahoo! JAPAN

B1昇格の可能性はゼロでも将来の財産 ベルテックス静岡プレーオフ進出決定

Shizuoka

B2初年度でプレーオフ進出を決めたベルテックス静岡©VELTEX SHIZUOKA

■レギュラーシーズン4連勝締め 自力で最後の1枠を死守

静岡市をホームタウンとするプロバスケットボールチーム「ベルテックス静岡」がB2昇格初年度で、プレーオフ進出を決めた。ベルテックス静岡は現在、B1のライセンス取得の条件を満たしていないため、プレーオフで頂点に立ってもB1昇格はできない。ただ、将来的にB1で戦う時に向け、貴重な経験を積む場となる。

【写真】ベルテックス静岡のマスコット・ベルティは今季の総選挙で初のトップ10入り

ベルテックスがレギュラーシーズンを最高の形で締めくくった。21日に行われた最終節で、ライジングゼファー福岡に75-68で勝利。4連勝を飾った。

最終節の勝利でシーズンの成績を29勝31敗として、西地区7チーム中で4位。残り1枠となっていたプレーオフのワイルドカード2位を死守した。

プレーのワイルドカード争いは同じ勝敗で青森ワッツ(東地区4位)、神戸ストークス(西地区5位)の2チームと並んでいた。ただ、当該同士の対戦成績で順位を決めるリーグの規定によって、ベルテックス静岡は出場切符を獲得。青森は4勝2敗、ベルテックス静岡は5勝5敗、神戸は3勝5敗だった。

B1昇格をかけたプレーオフにはB2の東地区と西地区の上位3チームとワイルドカードの2チーム、計8チームが出場する。2戦先勝のトーナメント形式で、決勝に勝ち上がった2チームがB1に昇格する。

アリーナの演出にも力を入れているベルテックス静岡©VELTEX SHIZUOKA

■B1ライセンスの基準満たさず…今季の昇格は不可能

しかし、ベルテックスは決勝に駒を進めても今回はB1に昇格できない。B1ライセンスに必要な条件を満たしておらず、今シーズンはライセンス取得の申請をしていないためだ。

B1ライセンス交付には主に2つの条件がある。1つ目は3億円(税抜き)以上の売上。もう1つは、5000席以上あるホームアリーナ。ベルテックスは2つ目の条件を達成していない。ライセンス判定時期から3年以内にアリーナの着工もしくは、5年以内に竣工の新設計画があれば認められるが、いずれも満たしていない。ベルテックス静岡を運営するVELTEXスポーツエンタープライズの松永康太社長はシーズン開幕前、次のようにコメントしている。

「これまで静岡市様、静岡県様、B.LEAGUE、その他関係各所と、ありとあらゆる可能性を模索し、幾度となく交渉を進めて参りました。しかし、2024-25シーズンに向けたB1ライセンスの取得がホームタウンである静岡市内では困難であり、現段階ではそれをクリアする見通しがたたないため、熟慮の結果この度B1ライセンス申請の不提出をクラブとして判断し、ホームタウンである静岡市様にもご報告させていただきました。日頃より応援・ご支援いただいているすべての皆さま、コート上で戦う選手、スタッフ、フロントメンバーに対して残念でなりません」

静岡市内にはB1ライセンスの条件となる5000席以上のアリーナがない。最も席数の多い「このはなアリーナ」は上限4000席、本拠地の「静岡市中央体育館」は上限3000席となっている。

静岡県内には8000人収容の袋井市のエコパアリーナや5000人収容の浜松アリーナがある。本拠地を移転すれば基準をクリアできる。だが、松永社長は「静岡県唯一のBリーグクラブとして静岡県全土で活動の幅を広げさせていただき、各市町様には多大なるご支援いただいておりますが、現行B1ライセンス取得のためだけに、これまで育てていただいたホームタウンである静岡市を離れる選択肢はありません」と述べている。

5月3日から始まるプレーオフで、ベルテックス静岡は東地区で優勝したアルティーリ千葉と敵地で対戦する。レギュラーシーズンで56勝4敗と圧倒的な強さを見せ、ベルテックス静岡も4戦全敗だった。B1昇格の可能性はゼロでも、短期決戦で強敵に挑む経験は将来の財産になる。

(SHIZUOKA Life編集部)

【関連記事】

おすすめの記事