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【石破首相の10万円商品券配布】どうして問題なの?首相の言い分は?論説委員長が解説!

アットエス

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「石破首相の10万円商品券配布」。先生役は静岡新聞の橋本和之論説委員長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2025年3月18日放送)
(橋本)石破茂首相が3日に公邸で開いた自民党衆院1期生15人との会食に際し、首相事務所が土産の名目で1人当たり10万円分の商品券を配っていたことがわかりました。複数の出席者らが証言し、首相も事実関係を認めました。この話題は、3月14日付の静岡新聞に記事として載りました。

(山田)10万円商品券、大きく報じられてましたよね。改めて、経緯から簡単に説明していただけますか。

(橋本)昨年10月に衆院選があり、自民党が大敗して少数与党に転落しましたね。その選挙で初めて当選した自民党員を石破首相が首相公邸に招いて、会食したそうです。

(山田)ホームパーティーみたいな。

(橋本)そうですね。会食自体は問題ないんですが、事前に石破事務所の秘書が衆院議員会館にある一期生の事務所を回って、「首相からのお土産代わり」だと言って商品券を配ったということです。
今回これが明るみに出て、野党だけではなくて身内である自民党内、連立を組む公明党からも批判を浴びているという状態です。

(山田)なんか、見方によっては「お年玉感」もあるんですけども。

(橋本)でも、10万円の商品券ってもらったことありますか?

(山田)ないです。

(橋本)ないですよね(笑)。

(山田)問題としては?

(橋本)問題の一つは、この商品券配布が「政治資金規正法という法律に抵触する可能性がある」ということです。

自民党派閥の裏金事件が昨年大騒ぎになり、この法律はその時にも注目されましたが、政治家や政治団体が政治活動に使うお金の収支を国民に明らかにして不正がないようにするのが目的です。さらに、そうした政治活動に使われるお金の授受について、対象者や量的、質的な制限をすることなどを定めた法律です。

その第5章に「寄付に関する制限」という項目があり、第21条の2の条項に「何人も公職の候補者の政治活動に関して寄付をしてはならない」という一文があります。「寄付は金銭等に限る」「政党がする寄付については適用しない」などという但し書きがついていますが、商品券は金券なので、この規定に反する疑いを持たれているということです。

「法には抵触しない」は本当?

(山田)疑いが持たれているということですが、実際これはどうなんですか?

(橋本)石破首相は、この問題が報じられてからすぐ、13日に記者会見をして「法には抵触しない」と説明しています。

違法かどうかの分かれ目は、条項にあった「政治活動に関して」という言葉が鍵になるのかなと思います。
寄付が政治活動のためなら違法。そうでなければ適法ということです。石破首相は、「政治活動ではない」と述べています。「商品券は議員の家族へのねぎらいが目的だった」と主張しているといいます。

(山田)ポケットマネーという話もありますね。

(橋本)はい。ただ、この会食に参加したのは首相と初当選の若手議員、林芳正官房長官などです。参加者が全員政治家で、会場が官邸の前の公邸というと、「政治活動でない」というのはちょっと苦しい言い訳ではないかというのが、大方の受けとめ方じゃないかなと思いますね。立憲民主党の野田佳彦代表は「アイドルや鉄道の話をしたんですか?」と皮肉っていました。

この件では、早くも市民団体が規制法違反の容疑で石破さんと参加した議員を刑事告発するということもありました。ただ、そもそも法律に曖昧なところがあるので、「政治活動に関して」と書いてあるものの、「何が政治活動か」を規定するのは難しいですよね。

「政治活動じゃありません」と言われればそうだというところもあるので、最終的に違法と判断されるか分かりません。ただ、政治とカネを巡って、石破首相自身が違法かも知れないと疑われる行為をしたという時点で、石破首相の党内での求心力は低下するのではないかとも思います。

(山田)もちろんそうですよね。どっちにしろ、ってことですよね。

(橋本)もっと深刻なのは、今は、2025年度政府予算案の年度内成立を目指して参院で審議の真っ最中のため野党がこぞってこの問題を追及すると国会運営が与党の思うように進まない可能性があることです。予算案はすでに衆院を通過しているので、4月2日に自然成立するんですが、何しろ少数与党のため、あまり強硬なことをするとこれから4月以降に通さなくてはいけない他の法案の審議などにも影響しかねません。ただでさえ少数与党で苦しい国会運営に、石破さん自身が波乱要素を一つ増やしたと言えます。

企業団体献金の協議にも影響が…?

(山田)今回のことが法に抵触する可能性があるということ以外にも、問題があるということですね。

(橋本)そうですね。今国会の運営への影響もそうですが、今進んでいる企業・団体献金についての与野党協議にも影響しかねないことです。

昨年の裏金事件を受けた政治改革で、政治資金規正法の一部改正などが行われました。しかし、企業・団体献金の取り扱いについては、その時の与野党の話し合いで意見が対立したため、禁止するかどうかについて、本年度内に結論を出すことで合意したんです。

衆院では、予算が通ったので、企業団体・献金を巡る協議が本格化しています。自民党は企業団体献金の禁止に反対しています。企業団体献金を残し、その上でちゃんと透明化すれば良いという立場ですね。企業・団体献金の禁止は、企業や団体の政治活動の自由を保障することにも関わる問題で、禁止してしまうのは憲法違反だという主張です。

一方で、立憲民主党と日本維新の会は禁止を求める立場です。立憲民主党は「企業がお金をたくさん出すことによって、それに忖度したような政策になる危険性があるから、一切やめた方がいい」というのが主張ですが、自民党との協議は平行線でどう決着するか、現段階では見えていません。

(山田)うーむ。

(橋本)この協議の目的は、裏金事件で国民の政治不信が高まっている中、同じような不祥事が再び起きない対策をしっかり講じることで信頼を回復することだと思うんですね。ところが、その話し合いが進んでいる真っ最中に、首相自らカネの疑惑を生んでしまったということです。一方で信頼回復のための話をしていると言っても、国民は「本当に回復できるの?」と疑問に感じますよね。

自民には夏の参院選で衆議院選のような大敗をしたくないという思惑があるのですが、トップ自らがそれをぶち壊したような状況なので、党内からも反発の声が上がっているということです。

(山田)そりゃそうですよね。

(橋本)これまでの世論調査を見ると、企業・団体献金を「禁止すべきだ」という意見もある一方で、「禁止する必要はない」という回答も結構あるんですね。でも今回の疑惑によって国民の風当たりが強くなり、協議に影響することも考えられます。

配布が違反の場合、首相はどうなるのか

(山田)今回のこの商品券配布が法律違反だった場合は、石破さんは捕まったりすることはあるんですか?

(橋本)法に反してるからといって、必ず逮捕されるわけではありません。仮に違法と司法当局が判断しても、逮捕するまではいかない話かなとは思います。また、先ほど説明したように法律自体が曖昧なので、「これは政治活動だ」と立証して違法と判断を下すのはなかなか難しいのかなとは思います。

(山田)今回のこの話を受けて、「石破首相はやめてもらいましょう」みたいな動きも始まってるわけですもんね。

(橋本)そこが問題なんですが、石破さんって元々、自民党の中ではクリーンなイメージの政治家だったと思うんですよね。党内野党的に「上に忖度せずに正論を吐く政治家」ということでやってきました。党内では仲間も少ないし、人望はあまりなく、面倒見が良くないというような批判もあったりして人気​が​ないんですが、国民には人気が高い政治家だったと思うんですよ。

ところが今回のことは、そうしたイメージとは真逆のことで、失望する有権者も多いのではないかと思います。

事実、週明けに発表された各社の世論調査では、首相の支持率が軒並み落ちていました。首相による身内の議員への商品券配布は問題だと考える人たちの割合が、やはり非常に高かったということだと思います。ただ、「辞めるべきだ」とした回答者の割合はそれほど高くなかった世論調査結果もあったようです。

(山田)辞めさせたところで、次はどうするかみたいな話もありますね。

(橋本)自民党内では今回の問題を受け、このまま政権が持つかどうか不安視する議員さんもいるようですが、一方で、仮に石破さんが退陣した場合に次は誰がやるかという問題もあります。

(山田)そこですね。

(橋本)少数与党の今、国会運営はものすごく大変ですし、野党に譲っても譲らなくても批判を浴びるということもあります。内閣支持率も落ち込んでいますし、次の参院選で負ければ責任を問われますよね。この状況で、火中の栗を拾う人がいるかどうか。

もっと言えば、少数与党なので総裁になっても、確実にその次の首班指名で首相に選出される保証もないわけです。もし野党がまとまれば政権交代ということになるわけですから。

(山田)そうか。

(橋本)一方、野党も、商品券問題で石破首相を攻めていますが、仮に石破さんが辞任して若手が党首になったような場合、その首相と自民党の支持率が今よりアップするということも有りえます。それよりも、このまま不人気な石破さんの下で夏の参院選をやった方が有利だと考えている野党関係者もいるわけです。

(山田)なるほど。

(橋本)そのため、何が何でも石破さんを首相の座から引きずり下ろすということにはならない可能性もあるわけです。

今回の問題で石破さんの責任は本当に重いと思いますが、退陣になるかといえば、どうかなというところです。今後の石破さんの対応や、世論の行方が鍵になるのかなと思いますね。

アメリカはトランプ大統領が就任し、外交に空白を作るべきではないという状況にもなっているわけで、このまま低空飛行で石破内閣が続くということも十分考えられると思います。それが、国民にとって幸か不幸かはわからないですが。

(山田)今日も解説ありがとうございます。今日の勉強はこれでおしまい!

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