瀬戸内海を渡るサイクルシップ 尾道~今治航路が26年ぶりに復活
広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ旅客航路が、1999年の廃止から26年ぶりに復活しました。
2025年10月の1か月間、土・日・祝日限定で実証運航が行われており、自転車をそのまま積み込める「サイクルシップ」を活用した、しまなみ海道の新たな周遊ルートとして注目を集めています。
航路再開と連動したスタンプラリーも同時開催され、サイクリングと観光を一体で楽しめる新しい“しまなみ体験”がスタートしました。
瀬戸内海を渡る旅情豊かなルートが26年ぶりに復活
1999年、瀬戸内しまなみ海道の開通に伴い廃止された「尾道~今治航路」が、この秋ついに復活。今回の運航は、JR西日本中国統括本部広島支社を中心に、尾道市・今治市などで構成される「しまなみ未来共創協議会」が実施する実証事業として実現しました。
運航期間は2025年10月の土曜・日曜・祝日(計9日間)限定。広島県の「尾道駅前桟橋」と愛媛県の「今治港」を結び、穏やかな瀬戸内海の多島美を眺めながらゆったりと船旅を楽しめます。
[運行日]
2025年10月4日(土)・5日(日)・11日(土)・12日(日)・13日(祝)・18日(土)・19日(日)・25日(土)・26日(日)
9月10日に開催されたモニターツアーでは、参加者から「移動手段としてだけでなく、観光資源としての魅力を感じた」「片道だけでも船に乗れるのが便利」など好評の声が多く寄せられました。これにより、橋を使った往来だけでは得られなかった新たな周遊スタイルが生まれ、しまなみ海道観光の回遊性が一段と広がります。
自転車ごと乗船可能な「サイクルシップ」で快適な移動を
今回の実証運航では、自転車を折りたたまずそのまま乗せられる「サイクルシップ しまなみ」と「サイクルシップ ラズリ」の2隻が運航中。いずれも約50台の自転車を積載でき、サイクリストに快適な移動手段を提供します。
「ラズリ」は尾道駅前桟橋~瀬戸田港(生口島)~井口港(大三島)を、「しまなみ」は今治港~下田水港(大島)~瀬戸港(大三島)~井口港~瀬戸田港を運航。両船は瀬戸田港・井口港で接続し、尾道~今治間を結ぶルートを形成します。期間中は1日2往復を予定しており、途中下船して島内観光を楽しんだり、往路はサイクリング・復路は船旅といった組み合わせも可能です。
運賃は、自転車積込料込みで尾道~今治間が5,000円の「しまなみクルージングパス(2日間乗り放題)」などを販売。日帰り観光や宿泊を組み合わせたプランなど、さまざまな旅のスタイルに対応します。
運賃一覧
[尾道駅前桟橋~今治港]
5,000円
[尾道駅前桟橋~井口港(大三島)]
2,500円
[瀬戸田港(生口島)~今治港]
2,500円
[瀬戸田港(生口島)~井口港(大三島)]
1,000円
※利用期間はいずれも土日祝の連続する2日間
航路復活を記念したスタンプラリーも開催中!
航路再開にあわせ、しまなみ海道沿線では2種類のスタンプラリーを実施中。船旅やサイクリングとあわせて、より楽しくエリアを巡ることができます。
WESTERアプリ「せとうちぶらりスタンプラリー」
スタンプを集めると、尾道~今治航路の運航期間限定で瀬戸田港(生口島)・井口港(大三島)周辺の店舗で使えるデジタルクーポンを配布。
[開催期間]
2025年10月1日(水)~31日(金)
[参加方法]
「WESTER」アプリをダウンロードし、会員登録後「おトクにGO!」からエントリー
今治市「しまなみ海道魅力発見デジタルスタンプラリー」
今治市合併20周年を記念して制作された「今治魅力発見かるた」を活用し、市内46か所のスポットを巡るスタンプラリー。集めたスタンプ数に応じてプレゼント抽選に応募できます。
[開催期間]
2025年10月3日(金)~12月31日(水)
[参加方法]
「THE GAME in Imabari」のLINE公式アカウントに登録
どちらも、サイクリング・船旅・街歩きを組み合わせて楽しめる企画として注目を集めています。
将来的な本格運航を見据えて
この実証事業は、サイクリングと船旅を融合した“滞在型観光”の促進を目的としており、運航データや地域での経済効果などを分析した上で、2026年度以降の本格運航を検討する予定です。
今治市では、交通環境の整備や観光商品の開発を進め、しまなみ海道全体のブランド価値向上を目指しています。また、2027年には愛媛県で国際自転車会議「Velo-city 2027」の日本初開催が予定されており、“サイクリストの聖地・しまなみ海道”として、世界に向けた魅力発信をさらに強化していきます。
瀬戸内海の新たな旅のかたちとして再び動き出した今治~尾道航路。
海と島と人をつなぐサイクルシップが、しまなみ海道の魅力をいっそう豊かに広げていきます。