忘年会幹事になったあなたへ。“評価される”調整術
「忘年会の幹事、お願いできる?」
この一言を言われたとき、あなたはどのような感情を抱きますか? 「面倒だ」「手間が増える」と憂鬱な気持ちになっていませんか。
近年、社会全体でワークライフバランスが重視されるようになり、職場の忘年会に対する考え方も変化しています。かつての「参加が暗黙の了解」という時代から、「希望者が任意で参加するもの」へと意識が変わっていることを多くの方が実感しているのではないでしょうか。
参加者の価値観を尊重し、メンバーが心地よく参加できる工夫や、欠席の際に「気持ちよく断れる配慮」を施す、企画遂行力と配慮こそが、現代の幹事に求められている力です。
本記事では、幹事に不可欠な配慮や、準備を効率化するための具体的な手法を解説します。「忘年会幹事、大変そう」という印象を払拭し、あなたの社内評価を高める「デキる幹事」になるための調整術を見ていきましょう。
文:ミクステンド代表取締役 北野智大
幹事経験者の約9割が「担当してよかった」理由
忘年会の幹事と聞くと、会場選定、出欠管理、予算調整、余興など、本業に加えて業務が増えるため、「面倒だ」「手間が増える」といったネガティブな印象を抱く人は少なくないでしょう。
しかし、実際に幹事を経験した人からは、その労力を上回るメリットを感じたという声が多く上がっています。
ミクステンドが今年1月に行った調査によると、直近2~3年の間に職場の催しで幹事を経験した人の約9割が「幹事を担当してよかった」と感じていることが明らかになりました。
幹事経験者が語るメリット
世代の異なるメンバーと接点ができ仕事がしやすくなった 他部署のメンバーと接点ができ仕事がしやすくなった とりまとめ役を任されるようになった
幹事は、企画の立案から実行、会計処理まで、部署を超えて連携を取る必要があります。その結果、通常の業務では築けない社内の人脈を形成し、自身の仕事の能力を高めている事例が多く見られます。
幹事としての「段取り力」や「細やかな気配り」は、結果的に「この人物に安心して仕事を任せられる」という社内での評価を高める重要な要素となるのです。
幹事が配慮したいポイント「参加の容易さ」「辞退のしやすさ」
忘年会幹事に求められるのは、「メンバーへの周到な配慮」です。特に、メンバーが前向きに参加または欠席を選択できるための「参加の敷居を下げる工夫」と「辞退時の心理的な負担を減らす工夫」という2つの側面から細やかな計画が必要です。
参加の敷居を下げる工夫:個人の状況に寄り添う
私生活の時間を大切にする意識が高まる中で、定時後の時間を拘束されることへの抵抗感を持つメンバーもいます。幹事としては、気軽に参加できるように提案を工夫することが大切です。
開催形式の多様化: 従来の夜の居酒屋形式だけでなく、終業前の軽食を伴うオフィス内ケータリングや、ランチの時間帯での実施など、参加しやすい形式を検討し、多様な選択肢を提供する。 「任意参加」の明示: 忘年会や二次会については任意参加であることを早い段階で明確に伝え、参加の判断を個人の意思を尊重する姿勢を徹底する。 時間の明記と配慮: 開始と終了時刻を明確に伝え、長時間に及ばないよう計画する。また、遠方からの通勤者や、家庭の事情があるメンバーなど、個々の事情を考慮したタイムスケジュールを組む。
辞退時の心理的負担を減らす工夫:ツール利用により必要な情報入力だけで完結
やむを得ず忘年会を欠席したいと考えるメンバーが、負い目や罪悪感を抱かないような仕組み作りも重要です。
日程調整ツールの活用: 候補日の提示や出欠確認には、日程調整ツールを積極的に活用。URLを送るだけで、参加可能日に〇、不参加日に×をつける簡単な回答で完了。これにより、不参加表明時の心理的な負担を最小限に抑える。 欠席者への対応方法: 欠席者には事務的な連絡のみを行い、欠席理由を詮索しない。その際、個人の事情に配慮した対応を行う。
「参加しない選択も尊重する」という幹事の公平な姿勢は、メンバー全体に安心感を与え、その結果として幹事への高い評価につながります。
忘年会の準備にAIを活用して作業を効率化!
忘年会準備で幹事が多くの時間を費やすものの一つに「会場・食事の選定」や「余興の用意」があります。これらのタスクは、生成AIを活用することで幹事の負担を大きく軽減できます。
例えば弊社ミクステンドでは、オフィス内でケータリング形式の忘年会を実施することがありますが、このときAIが活躍します。参加予定人数に基づきお酒の発注量をAIに算出してもらうことで、適正な量を注文でき、幹事のコスト最適化と負担軽減が実現できています。
他にも、AIを活用できる様々なシーンを具体的に見ていきましょう。
AI活用法①企画・準備:会場候補の選定と分析
AIは、特定の条件に合致する情報を短時間で抽出し、比較検討する作業を高い精度で実行できます。
会場候補の絞り込み: 「人数」「予算」「エリア」「喫煙/禁煙」「貸切可否」「音響設備」などの詳細な条件を入力し、AIに条件に合う会場候補をリストアップしてもらう。 比較表の作成: 抽出された候補について、料金、設備、過去のレビューなどを基に比較表を作成。意思決定者や共同幹事メンバーへの資料作成時間を大幅に削減。
AI活用法②当日:イベント企画の自動生成
余興のアイデア出しや、景品の手配においても様々な切り口からの強力な支援が期待できます。
社内クイズ/ビンゴのネタ生成: 会社に関するトピックや参加メンバーからの小ネタをもとに、独自性のあるクイズやビンゴのネタを迅速に生成。 デザイン業務の補助: 必要に応じてビンゴカードや余興小物のデザイン案もAIに生成してもらうことで、企画の質を保ちつつ準備時間を節約。
AI活用法③翌日以降:評価の集計と次年度への申し送り
幹事の業務は、忘年会が終了しても終わりではありません。イベント後の業務もAIを活用できます。
フィードバックの分析: 参加者のアンケート結果から意見の傾向を分析し、客観的なイベント評価レポートを作成。 改善のためのタスクリスト作成: 分析結果に基づき、「次年度の改善タスクリスト」を具体的に生成してもらうことで、次期幹事への業務引継ぎを円滑にし、運営ノウハウの属人化を防ぐ。
このように、幹事は忘年会準備段階から当日、そして終了後の次年度への引継ぎまで、あらゆる段階でAIを活用することで業務を効率化し、忘年会の質の向上を実現できます。
幹事の調整術は「評価」と「チャンス」をもたらす
今の時代の忘年会幹事という役割には、個人の価値観を尊重する配慮と、効率的な運営が求められます。
こうした小さな工夫と実行力の積み重ねが、やがて「この人は仕事ができる」という大きな評価となり、あなたのキャリアにおける重要なチャンスを引き寄せることにつながります。
あなたが忘年会幹事を任されたなら、一つでも多く「気配り」と「効率化」の施策を取り入れてみてください。あなたの社内での地位を着実に高めていくはずです。
プロフィール
北野智大
ミクステンド代表取締役。大学4年時にリクルートのインターンとして「調整さん」の開発チームに加わる。2年間のインターン経験後、大学を中退。フリーランスのエンジニアとして同事業に携わる。2018年2月に起業し、翌月リクルートから「調整さん」を事業譲受。「調整さん」のひと月当たりの利用者数を800万人にまで拡大させる。このほか、法人向けの日程調整ツール「TimeRex」や「調整さんビジネス」のサービスも展開。