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「地図バカ」×「鉄道バカ」な2人が幻の鉄道から妄想地図までマニアックトーク!

TBSラジオ

東京の多摩地域=ウェストサイドにお住まいの方、出身の方はもちろん、多摩地域以外の方も大歓迎!みんなで週に1回は多摩のことを感じてみようぜ、ポンポーーン!という番組「立飛グループpresents東京042~多摩もりあげ宣言~」(略して「たまもり」)。MCは土屋礼央さん(国分寺市出身)&林家つる子さん(八王子市の大学出身)。

今週はゲストに、地図研究家の今尾恵介さんが2度目の登場! 今尾さんの著書「地図バカ」から、“鉄道バカ”なディープな話で盛り上がり、最後はリアルにこだわった“妄想の地図”にまで展開。あれ、多摩の話はどこいった!?

土屋:さっそくゲストの方のご紹介です、地図研究家の今尾恵介さんです!よろしくお願いします。

今尾さん:よろしくお願いします。

土屋:1年ぶりくらいですかね、昨年の3月以来の登場で。その時は、多摩地域の地形というより地名の方でした。選挙で泣く泣く「西東京市」にした情報とか(笑)。

つる子:おもしろかったですよね(笑)。

土屋:今尾さんは横浜出身なんですが、多摩地域の「日野市」に在住という、まさに多摩人ということで。つる子さん、今尾さんのプロフィールの紹介をお願いします。

つる子:今尾恵介さんは、1959年生まれ。子どもの頃から地形図と時刻表を愛し、出版社勤務を経てフリーライターに。愛する地図に関する本を多数出版されています。またテレビやラジオなど様々なメディアでもご活躍中です。

土屋:前回出演したあと、いろいろと反響があったみたいで。

今尾さん:近所の人に<ラジオ聴いたよー>という人が何人もいたんですよ。

つる子:へえー!嬉しい!

今尾さん:ああ、聴かれているんだなあと思ってね(笑)。むしろ、テレビよりも反響が多かったんですよ。

土屋:そうですよ! 掴むと離さない、というか印象に残るのがラジオなんですよ!

今尾さんの新著のタイトルは・・・「地図バカ」!

土屋:そんな「日野市」に在住の今尾さんなので・・・気持ち的に「立川」ですか? 「八王子」ですか? 2024年現在で結構です(笑)。

今尾さん:まあ、どっちでもないというね。「日野は日野」ですよ。

土屋:ついに独自性を! 親離れ! いやいや、別に「立川」や「八王子」を親と思ってないって(笑)。

今尾さん:「立川」は昔、村でしたけど、「日野」は昔から町でしたから。「立川」は「飛行場」が出来て急発展したんですよ。それで町になって。最初に“市”にはなりましたけど、昔は「日野」の方が宿場は圧倒的に大きかったんです。

土屋:すごい! やっぱ専門家! もともと町なんだよと、「日野」は。

つる子:すごい(笑)。

土屋:そんな今尾さんですが、去年12月に中公新書ラクレから本が出まして。タイトルは「地図バカ」。地図好きの地図好きによる地図好きのための本・・・早口言葉ですね(笑)。

つる子:(笑)。

土屋:このタイトルは誰が考えたんですか?

今尾さん:担当の編集者なんですよ。私よりかなり年下の人なんですけど、よくまあこんなずばりのタイトルを出したなって(笑)。でも、地図バカに違いないし、何も反論できないので。むしろ、これくらいシンプルなタイトルの方が売れるかなと思って。

土屋:たしかにわかりやすい。地図だけにハマる・・・そんなバカじゃないですからね(笑)。

つる子:ちょっと礼央さん(笑)。

土屋:初心向けというよりは、本当に地図好きのための本という。

今尾さん:そうですね。初心者は読まない方がいいかもしれない。

つる子:(笑)。

今尾さん:でもね、地図は知らないけど読んで面白かったという人はいるんですよ。

土屋:そうね。今まで地図に触れたことが無い人が、こういう見方があるんだっていう地図バカの人たちの目線が入っているから。それはいいかもしれない。ただ、番組の台本にね、地図が大好きな人向けのマニアック本と書いてあって、カッコで“もしそうだったらこの番組と同じで偏ってる”って。

つる子:(笑)。

土屋:オレは初心者向けにこの番組をやっているんだけど(笑)。つる子さん、これはどっちの心理が正しいんだい?

つる子:そうですねえ(笑)。リスナーさんの意見を見ると、カッコ書きの方かな(笑)。

土屋:そうか! 【多摩バカ】なんだ(笑)。まあでも、初めての人も多摩が面白いと知ることができる。よし、我々【多摩バカ】と【地図バカ】でやっていきましょう!

“幻の高速鉄道! 山手急行電鉄”の痕跡を辿る!

土屋:今日は今尾さんの「地図バカ」という本から多摩の地図という話に繋がっていくんですけど。本の第4章の「西へ東へ、いざ机上旅行」というのがありまして。

今尾さん:ちょっと待って・・・連載で書いていたのでどこの部分を書いたのか・・・。

土屋:さっきから今尾さんが<僕も読まないとわかりません・・・>って(笑)。

今尾さん:あ、これか(笑)。「地図バカ」で中央公論で連載していたんですけど、その時は「地図のある人生」というちょっとカッコいいタイトルだったんですよね。そしたら、新書でまとめたら「地図バカ」ですからね(笑)。ちゃぶ台をひっくり返されたみたいな(笑)。

土屋:その第4章の「西へ東へ、いざ机上旅行」に、“幻の高速鉄道! 山手急行電鉄”とありますが、これはどういった物ですか?

今尾さん:大正時代の終わりくらいに、山手線の外側にもう1本、環状線を作ろうという計画があったんですよ。

土屋:高速道路でいうところの圏央道みたいな。

今尾さん:これは株主募集のパンフレットを紹介しているんです。

土屋:へえ!

今尾さん:“こんなに素晴らしい鉄道で、投資の甲斐がありますよ!!”という。

土屋:パンフレットにはどういうことが書いてあるんですか?

今尾さん:普通の地方鉄道は大都市から田舎に行くので、段々と乗客が細ると。だけど、“山手急行電鉄”は全部が都会の少し外側を走るので、どこも人口が多いし、これから急成長するし、絶対に取りっぱぐれませんよ、株が上がりますよみたいな。

土屋:常に黒字路線で居続けるみたいな。僕もこれ、ちょっと聞いたことがあって。明大前駅の近くの「甲州街道」の下を「井の頭線」が通っているんだけど、その横が環状するための敷地の跡地がまだ残っているという。

今尾さん:そうなんですよ。「井の頭線」の明大前駅から永福町に向けて「吉祥寺」の方を見ると、「甲州街道」の手前に「玉川上水」の暗渠があるんですね。その下に4つ穴があるんですよ。そのうち2つを「井の頭線」が使っているんですけど、もう2本は“山手急行電鉄”が使うはずだったという。

つる子:ええ!? 幻の穴!?

土屋:いまだに名残があるんですよ。なんで広いんだろうと思っていたんですよ。そういうことらしいんですよ。

今尾さん:結局、使われなかったんですけど、「小田急線」の梅ヶ丘駅で交差するということになっていたんですね。

土屋:はあ~!

今尾さん:今は複々線で変わっちゃいましたけど、昔の梅ヶ丘駅って上下線の間にホームがあって。他はみんな上下線の外側にホームがあるんですけど。

土屋:島式だ!

今尾さん:島式だったというのは、そこに交差する“山手急行電鉄”と階段ひとつで上下線とも乗り換えられるためという。

土屋:“山手急行電鉄”が下?

今尾さん:たしか上だったと思います。

土屋:うわ、それは便利ですね! 絶対にあった方がいい!

つる子:え、礼央さんは今尾さんの話がスッとわかるんですね!?

土屋:あ、ゴメンナサイ! オレも地図バカだった(笑)。

つる子:(笑)。

土屋:どっちかというとそっち寄りだった。もともと「井の頭線」って「小田急線」の管轄だったんですよね?

今尾さん:元々は親会社が同じ「鬼怒川水力電気」という電力会社なので、その子会社で小田原急行鉄道と帝都電鉄という「井の頭線」の前身があって。だから同じ系列なので、つい最近まで下北沢駅は中間改札が無かったんですよね。

土屋:そう! 無かったでしょ?

つる子:はいはい!

土屋:その名残なの! 

今尾さん:昔は「井の頭線」と「小田急線」は1分で乗り換えられたのに、「小田急線」が地下に入ったため、遠くなっちゃったんですよね。

土屋:新代田駅で車両の行き渡しがされていたという・・・

今尾さん:そこまでやりますか(笑)。

つる子:(笑)。

土屋:ちょっと申し訳ない(笑)。ディープに行き過ぎましたけど、けっこう名残があるんですよ!

今尾さん:終戦直後、「井の頭線」と「小田急線」の間に車両を融通するために、渡り線を作って。

土屋:そうそう! 作ってるのよ!

今尾さん:線路の幅は「井の頭線」も「小田急線」も同じなんですよ。

土屋:そうなんですよ。

今尾さん:「京王線」は違うですよ。

土屋:「京王線」は“馬車軌間”=1372 mm軌間なんですよ。

今尾さん:世界的にも珍しい4フィート6インチなんですよね。

つる子:(笑)。

土屋:これの覚え方は、「京王電鉄」は株価も高いから、“1372=遺産、何?”って。これは僕の独自の覚え方!

つる子:突然、【鉄道バカ】回にもなってますね(笑)。

“新幹線の運転士が持つ「お宝図面」”、勾配?起点?パーミル?

土屋:次。今尾さんの「地図バカ」という本の4章の「西へ東へ、いざ机上旅行」の“新幹線の運転士が持つ「お宝図面」”、これはなんですか?

今尾さん:これは私が持っていてはいけないんですよ、秘密だから。

土屋:いやいや、そうですけど(笑)。

今尾さん:運転手さんの遺族とかが出したのかもしれない。昭和40年代の東海道新幹線の東京~新大阪までの縦断面図なんですよ。どういう勾配で上がったり下がったりしているか。トンネルがあったりなど、ものすごく詳しい図面で。

土屋:新幹線のダイヤが載っている時刻表みたいな数字が書いてあるのはわかりますけど、勾配が載っているって。それで何をチェックするんですか?

今尾さん:線路がどういう状況かとか、運転手さんは次はどのくらいの上りの勾配で何パーミルかと。

土屋:それで減速したり。

今尾さん:そういうのは今は自動でやるんですけど。あとは、あとどれくらいで何川の橋梁とかトンネルの長さだとかが書いてあって。東京の0キロポストから新大阪の513キロポストまで、全部1キロおきに入っていて。

土屋:要は、0キロポストから何キロ先まで行きましたよという起点があって。そこから順番があって、1キロポストと。

つる子:なるほど(笑)。

土屋:パーミルというのは、1キロあたり、どれくらい勾配が上がるか。角度の話ですね。パーセントの次で、パーミルです。

今尾さん:パーセントの10分の1ですから。

つる子:ありがとうございます(笑)。

土屋:こういうのも地図といえば地図ですよね。

「受験勉強より、戦前の時刻表を読み耽ってました」(今尾さん)

土屋:鉄道が過ぎるんですけど、すみません(笑)。同じ4章の「西へ東へ、いざ机上旅行」に“古い時刻表を読む”があるんですけど、これはなんですか?

今尾さん:これは、私が高校3年生の時に、JTBから時刻表の復刻版=戦後版というのが出て。昭和21年、25年、31年、36年かな。

土屋:時刻表には2種類あって。2大巨頭のひとつがJTB。

今尾さん:JTBの時刻表の復刻版が出たんですよ。私が生まれる前の時刻表ですね。それを、当時5000円くらいだったかな、大枚を叩いてね。それが出たと思ったら、今度は戦前編が出たんですよ。当時、受験の真っ最中だったんですけど。もう受験どこじゃないですよ!

つる子:(笑)。

土屋:そりゃあそうですよね! 受験は来年あるかもしれないけど、時刻表の復刻版は来年は無いかもしれない! 時刻表は浪人できないから。

今尾さん:もうね、高3の時、読み耽りましたよ。

土屋:つる子さん、時刻表を読み耽るという価値観に辿り着けますか? 

つる子:えーと(笑)。

土屋:あれは調べるものじゃないから、読み物ものだから。

今尾さん:よくね、友達が時刻表をお母さんに捨てられたっていう悲惨な話を聞くんですけど。普通の人にしてみれば、最新の時刻表じゃないのは古紙だから、古紙の日にゴミに出すという。そうじゃない人にとっては、もう2度と手に入らないという。

土屋:戦前にどうやって鹿児島までに行くかというのを調べるんですよ。

つる子:それはロマンがありますね。なるほど。

架空都市=“今尾市(700万人)”と“敏道市(15万人)”を“恵介急行電鉄(=“恵急)”が走る!

土屋:そんな今尾さんは鉄道も大好きなんですが、この今尾さんの「地図バカ」の本の1章「1章 余はいかにして「地図バカ」となりしか」で今尾さんがなぜ地図バカになったのかが書かれているんですけど、その中に“架空都市”というのがあって。

今尾さん:これね、中学1年生の5月くらいに書いたんです。中1で地形図の勉強をするんですよ。当時の文部省のカリキュラムで地形図を見るという見るというのがあって。生まれて初めて地形図を見たのが社会科の授業なんですね。で、先生が横浜西部という本物を持ってきて。それをクラスで順番に見るんですよ。それにほんとに釘付けになって。一目惚れの感じですよね。

土屋:当時はみんなも興味があったわけではないですよね?

今尾さん:当時もほとんどの人が興味無いと思いますよ。

つる子:(笑)。

土屋:先生が<順番にみんなに渡してー>って言って、今尾さんの所で止まるわけだよ。出席番号順だったら「い」だから2番目くらいよ。

今尾さん:そうですね。<はやく回せよ!>ってね(笑)。

つる子:(笑)。

土屋:それは地形図のどこに一目惚れしたんですか?

今尾さん:細かく家が書いてあって、学校の校舎が同じ向きに書いてあって。そこにプールがちゃんとあってね。

土屋:地上では見えないようなことが、空から見えるという。そこから架空地図というのは?

今尾さん:そこで地図に一目惚れしちゃったので、そこから毎週、地形地図を買う人生が始まるんです。そこで、自分でも書いてみたくなって、弟が今尾敏道というサクソフォン奏者なんですけど、その弟の名前から架空の“敏道市”というのを作ってね(笑)。

つる子:(笑)。

今尾さん:架空で“今尾市”というのが首都なんですよ。今尾市から敏道市まで幹線が走っていて、“恵介急行電鉄”ですから。

土屋:そっちはご自分の名前で(笑)。

今尾さん:“恵急”っていうんですけどね。

つる子:(笑)。

今尾さん:今尾市は大きいんですけど、敏道市は人口15万人くらいかな。

土屋:先に説明すると、これは妄想の都市だから自由なんですけど、頭の中にしっかり入っているから全部答えらる人が多いです(笑)。今尾市の人口はどれくらいなんですか?

今尾さん:今尾市は700万人いるのかな。

土屋:けっこうデカいですね(笑)。

今尾さん:そうとうデカいんですよ(笑)。

土屋:これは架空ですけど日本に存在するんですか? それとも星も別ですか?

今尾さん:星は別ですけど、地球っぽい。でも、地図はあまりデタラメだとリアリティが無いので。いかにもありそうな等高線、団地とかを書くんですよ。そうすると、ありそうという感じがしてきて、ここからここを電車が何分で走って、と。等高線になると、“恵介急行電鉄”のダイヤグラムを作りましたから。

つる子:(笑)。

土屋:どこで乗り換えだな、みたいな。駅の配置によってはダイヤが乱れるから。

つる子:架空だけど、すごくリアルなんですね!

今尾さん:ある程度リアルじゃないとね。

来週は「妄想の多摩プロジェクト」! “理想の多摩地図”を妄想で作る!?

土屋:つる子さん、惜しいよ! 台本を全部飛ばしちゃったよ(笑)。オレ、今尾さんとは1週分はムリだよ(笑)。

今尾さん:多摩の話はどこ行っちゃったの(笑)?

土屋:最初の「日野」の話でサラッと(笑)。でもね、つる子さん、これが繋がるんですよ! 今尾さんが架空の都市を作った話をしましたので、来週も今尾さんにはいていただいて、多摩地域をまっさらにして白地図にして我々が理想の多摩の妄想地図を作るというのが、来週のプロジェクトです!!

つる子:ついに来た、妄想の多摩プロジェクト(笑)。

土屋:ヤバいですよ! ですから、リスナーの皆さん! 来週は手元に多摩の白地図を用意して。

つる子:みんなさんもね!

土屋:多摩の白地図があるのかどうかわかりませんけど(笑)。それを喋ったものを地図にはめていって。今尾さん、来週もよろしくお願いします!

今尾さん:よろしくお願いします。

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