犬が『お腹いっぱい』になった時のサイン3つ 食べすぎるリスクや注意点まで
犬がお腹いっぱいになった時のサイン
1.ご飯を残す
犬は本能的に、「目の前に出された食べ物は食べ尽くす」という習性を持っています。これは、狩猟動物として「いつ食事ができるかわからない」という危機感によるもので、食べられるときに食べておこうとする習性のことです。
そのため、犬が食事を残すのは、体が必要としていない=お腹がいっぱいになっているということが考えられます。
しかし、毎日決まった時間に十分な食事を与えられている家庭犬の場合、本能的な習性が薄れていることもあります。「今は食べたくない気分」「後で食べたい」といった心理で、時間をかけてちょこちょこ食べたり、残したりすることもあるでしょう。
2.お腹が膨れている
犬がお腹いっぱいになっているかどうかは、体を触って直接的にチェックすることもできます。
特に、ウエストのくびれがきちんと確認できる瘦せ気味~標準体型の犬は、満腹になるとお腹が膨れていることが見た目や触った感覚で把握できます。
上から見たときのくびれ部分が減って寸胴型に近くなったり、仰向けになったときに腹部がぽっこり膨らんでいたりするときは、お腹がいっぱいになっていることが考えられます。
3.口まわりを舐める
犬は食事に満足したとき、口まわりをゆっくりと舐めたり、体を休ませて「ふ~っ」とため息をついたりします。
食事のあと、舌なめずりをして体を横にしたり、伏せたりして休んでいるようであれば、十分に満足していると考えられるでしょう。
また、完全にリラックスすると全身の筋肉がゆるんで、自然と長いため息のようなものがもれます。
食べすぎのリスクや注意点
食べることが好きな犬は多く、前述したような本能的な習性や満腹中枢の働きが弱いといった理由から、つい食べ過ぎてしまう傾向があります。
しかし、犬が必要以上に食べ過ぎてしまうと、肥満や消化不良などになって、結果的に様々な疾患を引き起こす可能性があります。
消化能力を超えて食べ過ぎると、食べてすぐに吐出・嘔吐してしまったり、下痢をしてしまったりすることがあり、栄養をきちんと吸収できなくなってしまいます。
その結果、「食べているのに太らない」「食べているのに栄養不足」といった事態に陥ることもあるので、きちんと消化吸収できる食事をさせることはとても大切です。
また、食べすぎは「胃捻転胃拡張症候群」の要因とも考えられています。この疾患は、大きく膨らんで捻れた胃が、周辺組織を巻き込んでねじれてしまい、内臓器を壊死させてしまうものです。
発症から数時間のうちに死に至る恐れもある疾患なので、必要以上に食べさせたり、食べてすぐに運動させたりすることは控えましょう。
犬は本来持っている習性や身体機能によって、満腹を感じにくく、自分自身で食事量をセーブすることはむずかしいでしょう。
しかし犬が思うままに食べさせてしまうと、様々なリスクがあるため、飼い主さんが愛犬に必要な食事量を把握し、管理してあげる必要があります。
犬が適量で満足できていないようであれば、食事量をただ増やすのではなく、ドッグフードの粒の大きさや形を変えたり、少量ずつこまめに食事を与えたりといった工夫をしてあげましょう。
まとめ
犬はお腹いっぱいになっていても、そのまま食べ続けてしまう傾向があります。愛犬が食べたがるからといって食事を与え続けてしまうと、肥満や病気を引き起こす可能性があるので、十分気をつけましょう。
愛犬に適した食事量を与え、満足感を得られていないようであれば、食事の内容や与え方を変えるなどの工夫をしてあげてください。
(獣医師監修:葛野宗)