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50代の転職困難、仕事への限界。今注目されているレジリエンスで50代の壁は乗り越えられる?

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50代が身につけるべきはスキルではなくレジリエンス力

ストレス過多で不確実性の高いVUCA時代と言われる昨今。セカンドキャリアを目指そうにも、独立するのは怖いし、転職するにも求人が極端に少ない。更年期で心身に揺らぎがあり、老後のお金も心配――。Iamの読者の中心層である50代女性から聞こえてくる将来への不安の声も枚挙にいとまがありません。

そんな中、どんな困難でもしなやかに乗り越えていくレジリエンス力が注目されています。働く人のメンタルヘルスを専門とする心理学博士、臨床心理士の関屋裕希さんは「レジリエンス」についてこう説明します。

「レジリエンスとは、日常の些細なストレスから、定年を迎える、リスキリングにアサインするなどの大きなライフイベントまで、乗り越えるのにエネルギーを要する人生の転換期や逆境に適応するための回復力のことを指します。逆境があっても竹のようにしなやかに乗り越えていける力のことです」(関屋さん)

アメリカ心理学会(American Psychology Association: APA)は、レジリエンスを育成するための10の要因を次のように挙げています。

①他者との関係を築くこと
②危機を乗り越えられない問題であるとは捉えないこと
③変化を生活における一部として受容すること
④目標に向かって進むこと
⑤行動をとり続けること
⑥自己発見の機会を設けること
⑦自分に対してポジティブな認知をもつこと
⑧事実を全体像の中で捉えること
⑨希望に満ちた見方をもつこと
⑩自分自身を大切にすること

レジリエンスを高めるための6つのスキル

では、このレジリエンスを高めるにはどのようにすればいいのか。育成すべき、6つのスキルがあるといいます。

■自己認識力
■自己調整
■楽観性
■柔軟性
■強み活用
■サポート

課題に向き合う時は気晴らしをセットにする

課題に直面したときこそ気晴らしをすることが効果的だという関屋さん。

「ストレスや課題に直面した時に私たちは、『まずこの問題をなんとかしないといけない』と考えがちですが、実際は、問題を解決する行動と、気晴らしを組み合わせることによってストレスを緩和し、物事に対して冷静に対処することができます。日頃から、仕事で行き詰った時や、ストレスに直面した時に使える「楽しさや達成感を感じられる行動」を自分の手段として持っておき、日常に取り入れてみてください」(関屋さん)

仕事ばかりしてきた、育児で忙しかった、という人の中には、仕事や育児以外で自分が楽しいと思えることや達成感を感じることが思い浮かばないという人もいるかもしれません。

「そういう人は、小さい頃、自分が好きだったことを思い出してみてください。たとえば、小さい頃虫取りが好きだったという人の場合は、虫取りの何が好きだったかについて考えてみてほしいのです。狩りをするのが好きな人もいれば、コレクションが好きな人もいて、標本にして見せることが好きな人もいて、人によって「好き」の要素が異なります。そういう子どもの頃の楽しかったこと、達成感を思い出すと、自分がどんなことを楽しいと感じるのかヒントを見つけやすくなります」(関屋さん)

ストレスや問題に直面したらまず呼吸を意識する

また、「日常でストレスを感じた時は呼吸を意識するだけでも、自己調整につながります」という関屋さん。ストレスフルな毎日を、心を落ち着けて過ごすためにオンラインでマインドフルネスの瞑想ワークも実施しているといいます。

「人は生きている限り絶え間なく呼吸をしているわけですから、怒りや不安、恐れを感じたときはその場で深呼吸するだけでも感情を落ち着けて、目の前のことに冷静に対処することができます」(関屋さん)

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取材・文/I am

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