「桃」の食べ過ぎNG!“意外と知らない健康リスク”と1日の適正摂取量とは?
「おいしいから」「好きだから」といって、一度に“桃”をたくさん食べていませんか? じつは、適正量を超えると体にとってデメリットがある可能性も。今回は、摂南大学農学部 食品栄養学科の織田 奈央子先生に「桃の食べ過ぎによって起こりうるリスクや1日の適正量」を教えていただきました。栄養を効率的に摂る食べ方も併せて要チェックです!
教えてくれたのは……織田 奈央子先生
摂南大学農学部 食品栄養学科助教。専門分野は、栄養学。五大栄養素であるミネラルの中でも特にリンに注目して研究。主な研究には「ミネラル代謝の変動と生体への影響」「食事性リンに着目した病気が出来上がっていく仕組みや予防法」などがある。
「桃」の食べ過ぎによって起こりうる健康リスクとは
ジューシーな甘さが人気の桃ですが、食べ過ぎは健康リスクをもたらす可能性があるため、適量を心がけることが大切なのだそうです。どのようなリスクが考えられるのかを織田先生に伺いました。
織田先生:桃に含まれる「ソルビトール」という糖アルコール(糖質の一種)は、腸内で消化・吸収されにくい性質があります。多量に摂取すると腸管内の浸透圧を増加させ、水分の再吸収を妨げてしまいます。そのため、一度に桃を食べ過ぎるとお腹がゆるくなり、下痢や腹痛を引き起こす場合があるのです。
適切な摂取量であれば体にうれしいメリットも!「1日の適量」は?
食べ過ぎはNGですが、適切な量の摂取であれば体にとってうれしいメリットがあるとのこと。1日にどのくらいの量が望ましいのでしょうか。
織田先生:厚生労働省が健康づくりの指標として定めている「健康日本21」では、果物の摂取目標量を200gとしています。そのため、ほかの果物を含まないのであれば、1日あたりの適切な摂取量としては、桃1玉(約200g)程度にすることが望ましいといえるでしょう。
桃にはカリウムが豊富に含まれています。カリウムには体内の余分なナトリウム(塩分)を尿として排泄する働きがあり、ナトリウムとカリウムのバランスを保つことでむくみを解消する効果があります。
カリウムの豊富な野菜のひとつとして知られているきゅうりですが、きゅうり1本(100g)あたりのカリウム量が200mgに対し、桃半玉(100g)のカリウム量が180mgとほぼ同じくらいの量が含まれています。(日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)
一緒に食べて栄養の吸収アップ!おすすめの食べ方
織田先生によると、桃の栄養を効率的に摂取するためには、一緒に食べるとよい食材があるのだそうです。おすすめの食べ方を教えていただきました。
織田先生:桃は、果物の中でもビタミンEという脂溶性ビタミンを豊富に含んでいます。ビタミンEは強い抗酸化作用を持つビタミンで、体内の脂質の酸化を防ぐ働きがあります。細胞や血管の健康を維持し、老化予防に重要なビタミンのひとつです。この脂溶性ビタミンは油に溶けやすく、脂質とともに摂取すると体内に吸収されやすいという特徴があります。
おすすめの食べ方としては、生の桃とモッツァレラチーズにオリーブオイルをかけて、カプレーゼにして食べる方法です。オリーブオイルと一緒に食べることで、ビタミンEの吸収率がアップしますよ。
適正量でおいしく健康的に食べよう
桃をおいしく健康的に楽しむためには、1日の適切な摂取量を知っておくことが大切です。食べ方にも工夫をしながら、上手に食生活に取り入れてみてくださいね!
shukana/webライター