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犬が『尿路結石』になったときのサイン5つ 主な初期症状や治療法まで解説

わんちゃんホンポ

犬が『尿路結石』になったときのサイン5つ

犬の尿路結石とは、腎臓・尿管・膀胱・尿道の尿の通り道に結晶や石ができる病気です。尿中のミネラル成分(マグネシウム、リン、カルシウムなど)が結晶化し、やがて固まって石になります。

この石が尿の流れを妨げたり粘膜を傷つけたりすることで、血尿や排尿痛などの症状が現れますが、初期症状がわかりにくく、気づいたときには悪化していることもあります。

愛犬の排尿時の様子や行動をよく観察することが、早期発見のカギです。ここでは、尿路結石のときによく見られる5つのサインを紹介します。

1.排尿時に痛そう・力む

おしっこのときに力んだり、鳴き声をあげたりする場合は、膀胱や尿道が炎症を起こしている可能性があります。何度もトイレに行くのに少ししか出ない、出すときに体を震わせるなどの仕草も注意サインです。

2.おしっこの回数が増える/減る

結石が膀胱を刺激すると、頻尿や少量排尿を繰り返すことがあります。逆に、石が尿道に詰まるとまったく出なくなることも。

特にオス犬では尿道閉塞を起こしやすく、放置すると命に関わるため早急な受診が必要です。

3.血尿が出る

尿がピンク色や赤色に見える場合、粘膜が傷ついて出血している可能性があります。トイレシートや床に赤いシミがついていたら、見逃さず動物病院へ相談しましょう。

4.尿が出ない・少量しか出ない

何度もトイレに行くのに尿がほとんど出ない場合、尿道に石が詰まっている可能性があります。尿道閉塞を放置すると尿毒症を起こす恐れがあり、時間との勝負になります。

この症状が見られたら、すぐに病院へ連れて行きましょう。

5.食欲不振・元気がない

尿が出にくい状態が続くと、体内に老廃物がたまり、全身に不調が出ます。食欲が落ちたり、元気がなくなる、ぐったりするなどの症状が見られたら、すでに悪化している可能性があります。

尿路結石の治療法と自宅ケア

尿路結石の治療は、結石の種類・大きさ・詰まり具合によって異なります。軽度なら食事療法で改善が期待できますが、重症の場合は手術が必要になることも。

ここでは、病院での治療と自宅でできるケアについて解説します。

動物病院での治療

まずは尿検査・エコー検査・レントゲンなどを用いて、結石の場所や種類を特定します。ストルバイト結石の場合は、療法食や薬で尿のpHバランスを整え、結石を溶かす治療を行い、改善が難しい場合は外科手術による摘出が必要になります。

一方で、シュウ酸カルシウム結石のように溶解しないタイプには、外科手術による摘出が必要です。感染が見られるケースでは、抗生物質を使って細菌を除去し、膀胱炎の症状改善を目指します。

尿がまったく出ない状態のときは、カテーテルを使って排尿を促す処置が行われます。治療後も再発予防のために、定期的な尿検査による継続的な管理が欠かせません。

自宅でできるケア

病院での治療に加え、日常のケアも回復と予防に大きく関わります。まずは水分をしっかり取らせることが基本。ウェットフードを取り入れたり、常に新鮮な水を用意して飲みやすい環境を整えましょう。

トイレは清潔に保ち、排尿の回数や尿の色を毎日チェックします。寒い季節などで排尿を我慢しがちな場合は、散歩の回数を増やすのも効果的です。

また、療法食を与えている場合は、市販のおやつや人間の食べ物を与えないことも大切。ほんの少しでもバランスが崩れると、再発の原因になることがあります。

再発を防ぐための生活習慣

尿路結石は一度治っても、再発しやすい病気です。治療後も油断せず、毎日の生活習慣を見直しましょう。ここでは、再発を防ぐために意識したいポイントを紹介します。

こまめな水分補給を意識する

水をたくさん飲むことで、尿の濃度が下がり、結石のもととなるミネラルが尿に溶けやすくなります。いつでも新鮮な水を飲めるように、複数の場所に水皿を置いたり、循環式給水器を活用するのもおすすめです。

ウェットフードやスープ状のおやつで水分を補うのも効果的です。

適正体重と運動で代謝を保つ

肥満は尿路結石のリスクを高める原因のひとつです。体重が増えると代謝が落ち、尿のpHバランスも崩れやすくなります。

毎日の散歩や軽い運動を取り入れ、適正体重をキープすることが大切です。

定期的な尿検査・健康チェックを習慣に

再発を防ぐ最も確実な方法は、定期的に尿検査を受けること。結石の再形成や膀胱炎の兆候を早期に発見できます。

自宅でも尿の色や量、トイレの回数を観察し、「少しおかしい」と感じたらすぐに獣医師へ相談しましょう。

まとめ

尿路結石は、最初は軽い排尿異常から始まりますが、放置すると命に関わる危険な病気です。「トイレの回数が増えた」「おしっこが少ない」「血が混じっている」など、小さな変化でも早めに気づいて受診することが、重症化を防ぐ第一歩です。

治療後も、水分補給や食事管理、定期的な健康チェックを続けることで再発を防げます。毎日の観察とケアが、愛犬の元気な日々を支えるいちばんの方法です。

早期発見と予防を意識して、愛犬がいつまでも快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。


(獣医師監修:葛野宗)

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