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歩みはじめた、雑誌やzineの出版レーベル「木舟舎」。

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歩みはじめた、雑誌やzineの出版レーベル「木舟舎」。

東京で生まれ育ち、農学部へ進学したものの「あれ私、実際の農業を知らずにいる」と大学を休学。そして新潟へやってきた井上さん。現在は「木舟舎」という、創作雑誌やZINEの出版レーベルとして個人で活動をしています。冊子を作りあげるまでの思いや昨年創刊した雑誌「なわない」に込めた思いなど、いろいろとお話を聞いてきました。

木舟舎

井上 有紀 Yuki Inoue

1993年東京都生まれ。東京の大学の農学部へ進学。実際の農業に触れるため、4年次に休学し西区内野で過ごす。新卒で、長岡市の「中越防災安全推進機構にいがたイナカレッジ」へ就職。学生と地域をつなぐ仕事をする傍ら、本に関わる活動をスタート。2024年、「木舟舎」として「つくる人とつくる雑誌 なわない」を創刊。安達茉莉子著「毛布 – あなたをくるんでくれる」、青木真兵著「彼岸の図書館」に影響を受けた。

偏差値とは無縁の世界に足を踏み入れた、衝撃。

――井上さんは、大学4年生のときに新潟へ来たそうですね。

井上さん:東京に生まれて、東京の大学の農学部へ進学しました。でも農業のことも、農村のことも大学で勉強しているだけではピンとこなくて。実際に農業とその周りの文化に触れたいと思っていました。学校の教科書でしか知らないでいること、例えばおばあちゃんの知恵袋みたいに、昔からある生活のちょっとした知恵がどんなものか知りたかったんです。

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――新潟を選ばれたのはどうして?

井上さん:東日本大震災が起きたこともあり、当時は、学生の間でも地方への関心が高まっていました。全国各地のインターンシップに参加できる機会が増えていて、私もいくつかのプログラムを経験しました。そんな中で、内野にあった本屋さん「ツルハシブックス」の西田さんに出会ったことが大きかったんですよね。西田さんは、10代に向けた本の企画や学生が地方へ足を運び視野を広げることを後押しするプロジェクトを運営していました。一方の私は就職活動や資格取得に一斉に向かう周りの学生たちに違和感があって。そんな私に西田さんが「新潟に来てみたら?」と声をかけてくれたんです。

――そういう出会いがあったんですね。

井上さん:米穀店「飯塚商店」さんだったり、興味深い取り組みをしている方が内野にはたくさんいたんですよね。「新潟っておもしろい。ここで暮らしてみたい」と思いました。

――新潟ではどんな経験をされたんでしょう?

井上さん:「ツルハシブックス」は、10人くらいのメンバーで運営している本屋さんでした。そのスタッフとしての経験をさせてもらったり、「飯塚商店」さんのお米を若い世代に浸透させるアイディアを一緒に考えたりして。休学していた1年間で「私の人生変わっちゃった」って感じたくらい、密度の濃い時間を過ごしました。だって、東京にいた頃は、偏差値の高さや大企業に勤めることが分かりやすい正解だったから。新潟に来て、これまでの固定概念が一気に崩れた感じがしたんです。「世界がこれほど豊かで楽しいのものなのか」って。

パワーポイントで作り上げた、初めてのZINE。

――大学卒業後は長岡市へ就職したんですね。

井上さん:新卒で勤めた「中越防災安全推進機構にいがたイナカレッジ」で、学生と地域をつなぐ活動などに携わってきました。一連の活動プログラムを企画、運営するといったことが主な仕事です。

――お勤めされながら、出版物などの制作をされていたんですか?

井上さん:活動の成果物や地域のPRツールとして冊子制作をしたことはありますが、あくまで仕事の一環でした。実は小学生時代の夢が小説家だったくらい、子どもの頃から本の虫なんです。でも農学部へ進学してからは、社会問題に関心を持つようになって。本はプライベートの楽しみに変わっていきました。

――では「木舟舎」の活動につながるきっかけというのは?

井上さん:友人が、おばあちゃんから聞いた話をまとめたZINE(自主制作の出版物)を作っていて。それに触発されて、本好きの友達とふたりで「あじさい」というZINEを作りました。完成したのは2020年です。まだデザインの知識がないから、パワーポイントで仕上げたんですよ(笑)。木舟舎につながる第一歩となる冊子です。

――「あじさい」はどんな内容なんですか?

井上さん:私と友人のエッセイ、友達4人の座談会などです。「あじさい」は私と友人のやり取りを膨らませたり、深めたりした「壮大な遊び」みたいなもの。制作過程もとても楽しくて、Vol.3まで完成させました。

「つくる」をテーマに、雑誌「なわない」が誕生。

―― 木舟舎を「1人出版レーベル」と表現されていますが、実際どんなことをされているんですか?

井上さん:現在は個人雑誌の創作をしています。「つくる人とつくる雑誌」というサブタイトルで、「なわない」という雑誌を昨年の夏に創刊しました。

――個人雑誌というのは?

井上さん:個人雑誌って、私が言っているだけなんですけどね。商業雑誌などとは違うジャンルかなと思っているので、そう表現しています。

――「なわない」は、どんな雑誌ですか?

井上さん:「なわない」はですね、「つくる」という広いテーマから生まれました。私が「この人はつくっている人だ」と感じた方から寄稿いただいた作品、エッセイ、インタビューなどを載せています。20名ほどに協力していただき、新潟の方は15名です。

――木舟舎の活動には、どんな思いを込めているんでしょうか?

井上さん:数年前、人生にとことん悩んでいました。自分のために「なわない」を制作したところもあるんです。他人の評価軸で自分の人生を決めようとしていたんじゃないかと思い、表紙に「自分の舟をこぐ。」と添えました。もちろん他者の意見を聞く、価値観を取り入れるってとても大事ですが、当時はとにかく自分が信じられなくて。自分の芯がどこにあるのかわからなくて、悩んでいたんだと思うんです。「もしかしたら私と同じ悩みを持った誰かにこの本が届いたらいいな」という気持ちがあります。

――表紙のさりげないひとことには、そんな思いが隠されていたんですね。

井上さん:ものづくりをされている方々が、私の悩みを解決してくれるんじゃないかとピンときたんですよね。ものづくりに携わる人の姿が、そのときの私にとても響いたんです。たまたま小千谷で染め物をされている方のインタビューをしたとき、「私も何かを作らなくちゃ」と思ったんですよ(笑)

――「なわない」ができたとき、どんな気持ちでした?

井上さん:寄稿してくださった皆さんの言葉には、新しい発見がいくつもあって。学びがすごく多かったので、「つくる」を探求し続けたいと思っています。

――雑誌制作以外に、今後やってみたいことはあるんでしょうか?

井上さん:新潟でたくさんの刺激を受けました。今までは、それを「学生向けの体験プログラム」というかたちで届けてきたつもりです。でもこれからは、その思いを本に込めて、表現していきたいですね。イベント企画も木舟舎の活動のひとつだと思っているので、「場を作る」試みにも力を入れるつもりでいます。

――ちなみに「なわない」の次の予定は?

井上さん:次号の完成は、夏前になるかな。創刊号はオンラインやイベントの他、県内外30か所以上の本屋・お店で販売したので、次号も同じように販売できたらいいなと考えています。流通コードもない、手売りの雑誌ではありますが、これからも作り続けたいと思っています。

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木舟舎

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