キャメロン、広島原爆映画『ゴースト・オブ・ヒロシマ』予定を語る ─ 「“いつになるか”ではない、“私が”監督する」
『ターミネーター』『タイタニック』『アバター』などの巨匠ジェームズ・キャメロンが、広島・長崎への原爆投下を描く。映画『ゴースト・オブ・ヒロシマ(原題:Ghosts of Hiroshima)』は、キャメロンが最も個人的な使命感に燃える企画の一作だ。
本作はチャールズ・ペレグリーノのノンフィクション作品『Ghosts of Hiroshima』『The Last Train from Hiroshima : The Survivors Look Back』に基づき、広島と長崎で2度被爆した“二重被曝者”の山口彊(やまぐち つとむ)氏を描くもの。キャメロンは2009年に面会した山口氏より直に映画化の使命を託されて以来、15年以上にわたって企画を温めてきた。
一方で、71歳となるこのハリウッド最大のフィルムメーカーは多忙を極めている。現在は『アバター:ファイアー・アンド・アッシュ』の公開を2025年12月に控えており、同シリーズは2031年まで第5作の公開予定が発表済み。ここまでキャメロンは、自らの手で監督を手がけると宣言している。
それでは、『ゴースト・オブ・ヒロシマ』を監督するのは一体いつになるのか。米より確認されたキャメロンは、「『ゴースト・オブ・ヒロシマ』(の原作小説)は友人が書いています。映画化の告知解禁を出したのですが、まだ脚本を書き上げられていません。ですから、気に入る脚本が出来上がったら、その質問にも答えられるのですが、今はそうでないですね」と回答している。
現時点では具体的な見通しが立っていないのだ。さらに、「今も未発表だけどやりたいと思っている企画が二つある」とも明かしており、『ゴースト・オブ・ヒロシマ』の予定はますますわからない。
ただし、キャメロンが本作をなおざりにすることは決してないはずだ。次のように強い意志を滲ませている。
「大事なのは、『ゴースト・オブ・ヒロシマ』は私が監督するつもりだということです。いつになるか、ではない。私が、監督する。他の作品については、私が監督するかもしれないし、しないかもしれない。」
キャメロンは以前にも、本企画へのを口にしている。「映画館の観客が、原爆投下を体験したかのように感じられる映画を創りたい。広島と長崎で起こったことを、手加減せず、容赦なく描きたい。スピルバーグがホロコーストやノルマンディー上陸作戦をありのままに見せたように」。ので実際の投下シーンを扱わなかったことについて、「テーマから逃げている」ともだ。
『ゴースト・オブ・ヒロシマ』製作にも深く関わる「大きな事柄」としてキャメロンは、「『アバター:ファイア・アンド・アッシュ』で利益が出せるかどうか」と意外な角度を明らかにする。「まあ、出るとは思う」と前向きではあるが、キャメロン曰くここ数年、とりわけVFXの現場において制作費が高騰しており、「私が作りたいタイプの映画が締め出され始めている」というのだ。
今後のキャリアについては、『アバター4』と『アバター5』の後に小休止を挟み、どうするかは80歳になってから考えるのも良いとも語ったキャメロン。ただし、「私は映画監督であることと、ストーリーテラーであることを止めるつもりはない。今の時点で、それだけは確かに言えます」と力強い言葉も残している。これらのことから、『ゴースト・オブ・ヒロシマ』の次なる進展が聞こえるまでには、まだ数年を要することになるかもしれない。
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