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【糸島・三雲】三大王墓のうちの2つ、三雲南小路遺跡と井原鑓溝遺跡を訪ねる

meets糸島

糸島市には、弥生時代の伊都国(いとこく)の王墓が3カ所にあったことが分かっています。そのうちの1つ、平原遺跡(ひらばるいせき)は前回紹介しました。
残る2つの「三雲南小路遺跡(みくもみなみしょうじいせき)」と「井原鑓溝遺跡(いわらやりみぞいせき)」を今回はご紹介。一緒に時間旅行に出かけましょう。

糸島の三大王墓で最古の「三雲南小路遺跡(みくもみなみしょうじいせき)」と、幻の「井原鑓溝遺跡(いわらやりみぞいせき)」

三雲南小路遺跡へ向かう

三雲南小路遺跡へのルートを紹介します。途中までは以前紹介した平原遺跡と同じです。

国道202号バイパスの飯氏(いいじ)信号から県道56号を南下。約2キロ進むと染井の信号に到着します。ここを右折します。

約1.5キロ行くと井田交差点が見えてきます。真っ直ぐ進むと平原遺跡ですが、三雲南小路遺跡に行くには、ここを左折します。

約1.5キロ南下すると「三雲南小路遺跡」という案内板があるので右折します。すぐに三雲南小路遺跡に着きます。

江戸時代に発見された甕棺。周溝の跡も分かる

案内板を見ましょう。国指定史跡「三雲・井原遺跡(みくも・いわらいせき)」の中にある遺跡です。

こちらは拡大したもの。約2000年前、弥生時代中期の遺跡です。

東西32メートル、南北31メートルの方形をしています。伊都国歴史博物館によると、築造当時は高さ2メートル超の墳丘があったと考えられています。周囲には幅3〜4メートル、深さ0.5〜0.7メートルの周溝が張り巡らされていました。

江戸時代の1822年に農民が畑の土を掘っていたところ甕棺(かめかん)が出土し、遺跡が見つかったそうです。

下の写真は甕棺が見つかった王墓の主体部です。

1号甕棺、2号甕棺の2基が見つかりました。手前が1号甕棺墓、奥が2号甕棺墓です。

下は発掘時の様子です。1号甕棺墓は江戸時代に掘り出されたようでほとんど残っていなかったそうです。

周溝の跡も分かります。枠内に溝がありました。

博物館で三雲南小路遺跡の遺物を見る

ここで伊都国歴史博物館(糸島市井原)にある三雲南小路遺跡の展示物を見てみましょう。

伊都国で確認された3王墓では一番古い遺跡です。57枚もの前漢鏡やガラス璧が見つかったことで、当時の中国との関係が深かったことが分かるそうです。

ここの王墓に埋葬された王は長い間、伊都国の人々に信仰されていたとみられています。

1号甕棺から見つかった銅鏡です。

割られて副葬されるので、一部しかないものばかりです。

下の左はガラス璧です。風化して白っぽくなったかけらが出土物です。その上の復元品は、緑色に耀いています。当時もこのような美しさだったことでしょう。

右は金銅四葉座飾金具。銅に金メッキをしています。中国では木棺の飾りに使われていたそうですが、三雲南小路遺跡では甕棺の中から見つかりました。

下の写真は、1号甕棺から見つかった銅剣の複製品です。金ぴかです。王の墓にふさわしいですね。

下は、ほとんど残っていなかった1号甕棺の破片です。朱が付着しています。

ここから2号甕棺の副葬品に移ります。下の写真はガラス勾玉(まがたま)。右は各種の前漢鏡です。

下は2号甕棺の出土状況です。

1号甕棺は、銅鏡が大型で武器を副葬していました。2号甕棺は銅鏡が小型でガラス製のペンダントなどの装身具が多いそうです。このため1号は男性の王、2号は王妃を埋葬したとの説もあるそうです。

左が2号甕棺の上側に当たる上棺、右が下棺です。大きいですね。

棺の内側には朱が塗られていましたが、原料は大陸からの輸入に頼っていたため希少で、首長クラスしか使用できなかったとみられます。

下は1号甕棺の復元例ですが、朱の入った壷が備えられています。朱の貴重さが伝わります。

三雲南小路遺跡の周溝からは、水銀朱を精製する石杵という石器や、水銀朱の着いた土器片も出ているそうです。

左が石杵、右が水銀朱の着いた土器です。

周溝からは他にも、大量の土器が見つかったそうです。

発掘時の写真ですが、おびただしい量の土器がありますね。

下は、周溝から見つかった土器。壷と甕です

下は鉢です。

遺跡の模型もありました。

幻の王墓

次に、伊都国の3王墓の残る1つ、井原鑓溝遺跡に向かいます。三雲南小路遺跡と平原遺跡の間、約1900年前の弥生時代後期の遺跡です。

三雲南小路遺跡からは南に約200メートルしか離れていません。

ただ、遺跡がどこにあるのかは不明です。水田の中にポツンと立っている看板に、推定地と書いてあります。遺跡を思わせるものは何もありません。

遺跡は江戸時代に見つかり、当時の古文書に詳細な記録が残っています。しかし今ではどこだったのか分からなくなっているのです。このため「幻の王墓」と呼ばれています。糸島市教育委員会は、発掘調査による場所の特定を目指しています。

江戸時代に記録を残した福岡藩士、青柳種信(あおやぎ・たねのぶ)です。

遺跡から出てきた銅鏡の破片と銅器の模写図や拓本です。

こちらも伊都国歴史博物館の展示物を見てみましょう。

ガラス製小玉。

石器も出ています。

土器もいろいろ見つかっています。

幻の王墓はどこにあるのでしょうか。夢が広がりますね。

これで、糸島市にある3王墓を全て巡り終えました。糸島の歴史のすごさ、文化財の素晴らしさを感じさせられる紀行となりました。今後も、弥生時代の後、古墳時代の古墳などを紹介したいと思っています。

INFORMATION

店名:

三雲南小路遺跡

住所:

糸島市三雲453

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

INFORMATION

店名:

井原鑓溝遺跡

住所:

糸島市井原

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

INFORMATION

店名:

伊都国歴史博物館

住所:

糸島市井原916

営業時間:

9:00~17:00
※入館は16:30まで

月曜日と年末年始
※月曜が祝日の場合は、その翌平日が休み

Web:

https://www.city.itoshima.lg.jp/m043/010/

一人当たりの予算:

一般220円、高校生110円、小中学生と65歳以上は無料

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