3月は「自殺対策強化月間」 その行動 「ゲートキーパー」です 気づき、声掛け、傾聴、つなぎ、見守り
毎年3月は自殺対策基本法に基づき「自殺対策強化月間」に定められている。相模原市は昨年、「第3次相模原市自殺総合対策の推進のための行動計画」(24年度〜28年度)を策定。15年に122人だった自殺死亡者数を30%以上減少させることを目標に掲げ、市民一人ひとりが自殺への理解を深め共に支え合うことで1人でも多くの命が救えるとしている。重きを置く施策のひとつが、悩みを抱える人の変化に気付き、適切に声をかけることなどを通じ、自殺を未然に防ぐ「ゲートキーパー」の養成だ。
コロナ禍で再び増加
市内の自殺者数は減少傾向にあったが、コロナ禍を境に再び増加に転じた。市は「あの手、この手を講じている」ものの、20年以降は100人を超える尊い命が失われている状況が続いている。健康福祉局の担当者は「自殺は個人の問題ではなく、社会として取り組む問題。市民の自殺に対する正しい理解が必要不可欠」と話す。
同計画の中に示されているアンケートでは「多くの自殺は防ぐことができる」かを問う設問に対し53・4%が「思う」と回答。その一方で「自殺しようとしている人を周囲の人が止めることはできない」という設問で「思う」と回答した人が18・9%だった。
「それぞれの立場で寄り添いを」
ゲートキーパーは「命の門番」と呼ばれ、相手の異変に気付き、医療機関や専門家への相談を促すなどし支援する存在で、有資格制度ではない。同局の担当者は「それぞれの立場で日頃の取り組みの中に『寄り添う』という視点を取り入れているなら、それはもう『ゲートキーパー』です」と話す。あえて意識はしていない行動がすでに「ゲートキーパー」としての役割を果たしていることが多いという。
しかし、同計画内のアンケートではゲートキーパーとしての意識醸成は進んでいるものの、困っている人を見かけた時に自信を持って声をかけることができないという意見が多かった。その理由として「トラブルに巻き込まれるのが嫌だから」が46・9%、「どのように声をかければよいかわからない」が36・7%「勇気がないから」という答えが30・2%にのぼった。
28年までに3千人
市は計画の中で28年までにゲートキーパーを3千人ほど増やし、1万2千人とするとしている。行政内の職員研修や職能団体からの依頼を受けての出前講座などを積み重ね昨年度は682人が受講した。担当者は「誰もが誰かに相談できる環境を整えていきたい。出前講座の機会をいただければ」と話す。