中小企業が最大2億円の退職金制度を導入 社員の経済的安心とキャリアの安定を支援する取り組み
日本デザイン(東京都豊島区)は8月26日、定年時に最大2億円の退職金を支給する新たな制度を導入したと発表した。法人向け生命保険を活用した仕組みで、一般社員でも約4000万円、成果に応じてトップ社員には最大2億円が支給される。
同社によれば、こうした退職金水準を実現する制度の導入は、中小・ベンチャー企業ではまれな取り組みだとしており、社員が安心して長く働ける環境づくりに向けた新たな挑戦と位置付けている。
法人向け生命保険を活用し、最大2億円支給の退職金制度を設計
同制度は、将来的な生活保障を重視した大規模な取り組みであり、制度設計や導入背景には、中小企業が直面する人材課題への対応という明確な意図がある。
退職金制度の仕組み
同社が導入したのは、法人向け生命保険を活用した退職金制度。制度設計の詳細は明かされていないが、社員の役職や業績に応じて支給額が設定され、最大2億円が支給される可能性まであるという。
なお、一般的にこうした保険を活用した制度では、企業が保険料を積み立て、満期や退職時に受け取る保険金や解約返戻金を退職金の原資とするケースがある。一定条件の下で、保険料の一部を福利厚生費として損金算入できるメリットもある。
導入の背景にある人材課題
中小企業の退職金制度は整備が遅れており、離職率の高さも課題。制度導入には人材定着や企業価値向上を狙う意図がある。
東京都産業労働局の調査によれば、定年まで勤めた場合の中小企業の退職金平均額は約1092万円にとどまり、大企業(約2230万円)との差は約2倍に上る。また、高卒者も同様に、中小企業は約994万円、大企業では約2018万円と格差が大きい。
企業規模大卒の平均退職金額(円)高卒の平均退職金額(円)大企業約2230万円約2018万円中小企業約1092万円約994万円
さらに、厚生労働省「令和5年雇用動向調査」では、従業員数100から299人の企業の離職率は19.0%と、大企業(14.2%)を大きく上回っている。新卒3年以内の離職率も約31.2%に達しており、若手の定着が課題となっている。
こうした状況を踏まえ、同社では退職金制度の強化を通じて「安心して働き続けられる職場環境」を整備し、長期的な人材確保を目指す考えだ。
退職金以外にも多様な福利厚生制度を用意
退職金制度に加え、日常的な働きやすさや自己成長の機会を提供する多様な福利厚生も用意されており、社員満足度向上をはかっている。
学びと健康を支える仕組み
同社では、仕事に役立つセミナーや書籍の購入費用を会社が負担する制度を設けており、社員が継続的に学べる環境を整えている。また、チーム単位でのカウンセリング支援や、社内での整体施術(有料)など、心身のケアを重視した取り組みも行っている。
ユニークな取り組みや交流の促進
社員同士のコミュニケーション促進を目的に、社内での食事代を会社が支給する制度も整備。また、不定期ではあるが、社長が自身の私物(PCやオーディオ機器など)を社員に安価で譲渡・提供するユニークな取り組みも行われている。
社員・経営者の声「大企業にできて、私たちにできない理由はない」
同社代表取締役の大坪拓摩氏は、制度導入の意図について次のように語っている。
「大企業にできて、私たちにできない理由はありません。むしろ、柔軟でスピード感のある私たちだからこそ、『先に実現』できる制度だと信じています。社員の人生と本気で向き合う企業でありたい。それが、日本の『働き方の当たり前』を変えていく第一歩だと考えています。」
社員からも、安心感や将来への備えにつながるとして、前向きな声が相次ぐ。
・20歳代・女性社員「ベンチャー企業で2億円の退職金制度なんて、聞いたことがありませんでした。」
・30歳代・男性社員(4児の父)「将来への不安が常にありましたが、この制度を知って『会社が家族まで守ってくれる』と感じました。」
・20歳代・男性社員「成果次第で退職金が上がる仕組みに、会社への貢献と自分の将来が直結していると実感できます。」
・30歳代・女性社員「定年後や家族の未来に対して、しっかり備えられる制度があると知り、心から安心できました。会社がここまで考えてくれていることに感謝しています。」
日本デザインは、WEBマーケティングやデザイナー養成スクールなどを運営する企業。同発表の詳細は、同社公式リリース(PRTIMES)で確認できる。