その辺の道端に生えているケースも 食べられる野草図鑑
野菜が実をつけるには数か月かかる。種や苗を植えてから、雑草を抜いたり、肥料をまいたりと、さまざまな手入れも必要になるだろう。一方で、釣りはテクニックや知識が必要だし、自然が相手で、どんな上級者でもまったく釣れないこともある。しかも、道具やウェーダーなどそれなりに費用もかかる。農作業も渓流釣りも趣味としての満足度は高いが、デメリットがあるわけだ。
その点、“自分で採って食べる”ことに限っていえば、野草という選択肢もある。身近に生育していて手軽に始められるし、コスト面でも優秀と言えるだろう。そこで「野草」の基本の“き”を取り上げる。
※有毒な植物もあるため、知らない野草や山菜は絶対に食べないようにしましょう。
野菜と違い、野草は食べる前の下処理が肝心
スーパーなどで売っている野菜はサッと水洗いすれば、基本的に食べられるものが多い。もちろんアク抜きしたほうが美味しく食べられるという野菜もあるが、少数派だろう。ナマで食べられる野菜も多い。
一方で、野草の大半は美味しく食べるのに下処理が欠かせない。アク抜きをしないとえぐみを感じ、ものによっては身体に良くないこともある。そんなアク抜きの仕方もさまざまだ。水にさらすだけで良いもののほか、茹でるべきもの、灰や重曹と一緒に茹でて入念にアク抜きすべきもの、揚げることでアク抜きになるものなど、食べ方や下処理の方法も併せて覚えておきたい。
身近な野草 その1
花や茎、葉、根のすべてが食べられる「たんぽぽ」
ちょっとした道端にも生えている「たんぽぽ」も、食べられる野草のひとつだ。フランスやドイツなどでは食材のひとつとして食べられているというが、日本では“食べる”習慣がなく、花という位置づけだ。そんな「たんぽぽ」は花や茎、葉、根など、そのすべてが食べられる。アク抜きの方法は、沸騰したお湯に塩をひとつまみ入れ、5分ほど度茹でる。その後、しばらく水にさらしてから調理する。
葉っぱは天ぷらやおひたし、あるいは炒め物にすると良い。花の部分を食べる場合は、酢の物やてんぷらが良いだろう。根っこに関しては、きんぴらやかき揚げ、あるいは炒め物に加えるとほど良い苦味がアクセントになる。
身近な野草 その2
成長すると硬くなるため新芽を食べたい「よもぎ」
団子の皮などに練り込んで食べる「よもぎ」だが、これも野草のひとつ。たんぽぽと同様に、道端や河川敷にも生えている身近な植物だ。料理に使う場合は、春(3~5月)までに生えた柔らかい新芽を選ぶと良い。ただ、よもぎは多年草のため、春に摘んだものだとしても、昨年からの葉だったというケースも。そのため、先から15cmくらいまでの、柔らかくて新しい葉を選んで摘むことが大切だ。
下ごしらえは茹でること。定番の天ぷらのほか、炒め物にしたりご飯に加えて混ぜご飯にしたりしても美味しい。
身近な野草 その3
関東以南では古くから食べられてきた「つくし」
「つくし」は「スギナ」という植物の一部分で、春に芽を出す胞子茎のこと。ワラビやゼンマイと同じシダ植物の仲間で、関東以南では古くから食べられてきたため、実家の食卓に出てきたという人もいるかもしれない。生育地域は日本全国で、日当たりの良い原っぱや田畑、あるいは道端、土手で見かけることもある、身近な植物だ。春先が収穫のシーズンで、摘むと鮮度が急速に落ちていくため、すぐに下処理をして、早めに食べ切ったほうが良いとされている。
下処理の方法はこうだ。まずつくしの茎を覆っている「はかま」と呼ばれる葉の部分を外して、よく水洗いする。そして、たっぷり沸かしたお湯に入れ、30〜40秒で取り出す。ザルにあげたら湯切りをして、すぐに冷水にさらしておく。それで下処理が完了。バター炒めにしたり卵でとじたりしても美味しい。
身近な野草 その4
郊外に住んでいるなら出会うかも 山菜ごはんにも入っている「わらび」
山菜ごはん、あるいは山菜そばといったメニューにもときどき入っており、よく知られた野草のひとつである「わらび」だ。郊外の空き地や畦道、あるいは里山といった自然豊かな地域に生育している。収穫のシーズンとしては春から初夏にかけてで、日当たりの良い場所で見かけることが多い。
アク抜きが必須で、木灰or重曹をまぶして熱湯にかけて、そのまま一晩置いておく。あるいは、木灰or重曹と一緒に茹でる。それが面倒なら、揚げてしまえば、アクも気にならないはず。