荒井良二の「いままで」と「これから」に迫る「new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった」が7月20日~9月23日、『宇都宮美術館』で開催
絵画や絵本原画とともに、新作のインスタレーションや愛蔵の小物たちなどを通して、荒井良二氏の「いままで」と「これから」をたどる巡回展「new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった」が2025年7月20日(日)~9月23日(火・祝)、栃木県宇都宮市の『宇都宮美術館』で開催される。 TOP画像=《POSTじゃあにぃ いったことのないたびにでよう》 2020年(C)Arai Ryoji。
絵本にとどまらない幅広い活動を展覧
絵本作家として知られる荒井良二(1956-)。その活動は幅広く、絵本のみならず、絵画、音楽、舞台美術にまでおよぶ。各地を旅しながら巡回する本展は、それぞれの地の展示空間の特長を生かし、作家自身が会場構成を行うことが大きな特徴である。
展覧会担当者の黒木さんは「これまで国内6会場を巡回してきた本展ですが、会場に合わせた描きおろしの造作物や、その土地にゆかりのある作品など、会場によって一部展示内容が変わっていくのがユニークなところです。下見で『宇都宮美術館』を訪れた荒井さんは、展示室をつなぐ役割をもつ中央ホールに、これまでの巡回にはなかった橋の造作を作る提案をされました。白い大理石と高さ10mの丸い吹き抜け、森に囲まれた大きなガラスの壁面をもつこのスペースを使って、荒井さんが生み出す新たな世界をご覧ください」と見どころを語る。
『宇都宮美術館』のみで展開される立体展示に注目!
「越える」を意味する「meta(メタ)」というタイトルを用いて、 2010年に初作品集『meta めた』(フォイル)を刊行した荒井氏。絵本作家と語られる自らを超越し、郷里である山形を舞台とした「荒井良二の山形じゃあにぃ」や「みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ」の芸術監督や震災後の東北をめぐる活動など、場所やジャンルを超えた創作を展開している。本展では新作絵画に加えて、大分県の公園に設置されたオブジェ《マッテルモン》《たいようをすいこむモン》のマケット(模型)、さらに「山形ビエンナーレ 2018」で発表された《山のヨーナ》の立体物が会場内に再構成されて出現。展示室全体を使って荒井氏の創作の現在地を伝える。
また展示の最後には、新作インスタレーション《new born 旅する名前のない家たちを ぼくたちは古いバケツを持って追いかけ 湧く水を汲み出す》が発表される。家の形をした各オブジェは子供たちであり、子供たち自身の物語を内包しながら旅をしていく。
ひとつひとつの物語を想像しながらゆっくりと会場を巡りたい。
関連イベント ライブペインティングとピアノ演奏
8月30日(土)14~15時30分、荒井良二氏とシンガーソングライター寺尾紗穂氏によるライブペインティングとピアノ演奏「Good bye,雷(らい)summer」が『宇都宮美術館』講義室で開催される。定員135名、参加費無料(要展覧会チケット)。対象は活動の記録撮影と当該画像の公開に了承する人。申し込みはHPにて詳細を確認の上、8月9日までに応募を。
開催概要
「new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった」
開催期間:2025年7月20日(日)~9月23日(火・祝)
開催時間:9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(7 月 21 日・8 月 11 日・9 月 15 日は開館)・7 月 22 日(火)・8 月 12 日(火)・9月 16 日(火)
会場:宇都宮美術館(栃木県宇都宮市長岡町1077)
アクセス:JR宇都宮駅からバス25分
入場料:一般1200円、大学生・高校生1000円、中学生・小学生800円
※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介護者1名無料。
※宇都宮市在学または在住の高校生以下は無料。
【問い合わせ先】
宇都宮美術館☏028-643-0100
公式HP http://u-moa.jp/exhibition/exhibition2.html
取材・文=前田真紀 画像提供=宇都宮美術館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。