ハイブリッド車とガソリン車を比較!どちらが経済的?他の違いは?
ハイブリッド車とガソリン車はどちらがいい?
ハイブリッド車とガソリン車はそれぞれにメリットがあり、どちらが良いかはケースバイケースです。以下のポイントを踏まえ、自分に合うほうを選びましょう。
•車両価格や修理代を抑えたい⇒ガソリン車
•年間5,000~8,000kmなどあまり走らない⇒ガソリン車
•手放すまでに9~10万km以上走る予定⇒ハイブリッド車
•静粛性や上質感がほしい⇒ハイブリッド車
•早めに車を乗り換えたい⇒ハイブリッド車
新車購入ではハイブリッド車が多い
日本では、数年前からガソリン車よりハイブリッド車の新車販売台数が多くなっており、その差は徐々に開きつつあります。
2024年の新車販売では、ハイブリッド車が全体の54.8%を占めました。
※参考:日本自動車会議所(2025年1月21日発表資料)( https://www.aba-j.or.jp/info/industry/23565/ )
ハイブリッド車とガソリン車のコスト比較
「ハイブリッド車とガソリン車はどちらのほうが経済的?」と気にする人は多いです。
ここでは、両者の費用シミュレーションと、費用で差が出る項目について解説します。
コストの比較シミュレーション
今回は、ハイブリッド車とガソリン車で差が出やすい費目に絞り、トヨタ「ヤリス」を新車から9年所有(※)した場合の費用目安を比較しました。
※9万km走行、9年目の車検前に売却と仮定
ハイブリッド車
(Gグレード、1.5L/2WD)
ガソリン車
(Gグレード、1.5L/CVT/2WD)
車両価格
2,321,000
1,974,500
燃料代目安
※9万km走行時
452,514
771,429
環境性能割
0
32,310
自動車重量税
※新規登録時3年+継続2年×3回分
30,000
73,800
合計費用2,803,514円2,852,039円
※燃費は公式サイトのカタログ値を引用し、レギュラーガソリン価格180円/Lにて計算。環境性能割は「車両価格(税抜)*0.9*税率」の式にて計算。税率は燃費性能に応じて0~最大3%課税され、上記ガソリン車は税率2%にて算出。自動車重量税は2024年1月1日から2025(令和7)年4月30日までに新車新規登録等を行ったと仮定して計算。上記はあくまで目安です。
ヤリスのハイブリッド車は燃費性能が極めて優れており、燃料代と税金が大きく抑えられています。車両価格の差は約35万円ですが、今回の試算では9年所有・9万km走行でハイブリッド車のほうが安くなりました。
ただし、車の総コストは整備・修理代や手放す際の売却額によっても変わります。
比較ポイント①車両価格
多くの場合、新車の車両価格はガソリン車よりハイブリッド車のほうが30万円~50万円ほど高いです。
※価格は2025年6月25日時点の各社公式サイトより。税込み価格
ハイブリッド車ガソリン車差額
ホンダ「フィット」
※ HOMEグレード/2WD2,328,700円
1,985,500円
343,200円
トヨタ「ヤリスクロス」
※Gグレード/2WD2,546,500円
2,172,500円
374,000円
日産「セレナ」
※XVグレード/2WD/8人乗り3,548,600円
2,988,700円
559,900円
車両価格の差は、各社で採用しているハイブリッドシステムによっても異なります。また、ハイブリッド車とガソリン車で他の装備が異なることも多いです。
比較ポイント②燃料代(燃費)
レギュラーガソリン価格180円/Lで計算した場合、9万km走行時のガソリン代目安はハイブリッド車のほうが約30万円~40万円ほど安い傾向があります。
※燃費数値は各社公式サイトのカタログ燃費(WLTCモード)を引用。レギュラーガソリン価格180円/Lで9万km走行した場合の計算。
ハイブリッド車ガソリン車
燃料代目安差
※9万km走行時
ホンダ「フィット」
※ HOMEグレード/2WD29.0km/L
18.5km/L
317,055円
トヨタ「ヤリスクロス」
※Gグレード/2WD30.2km/L
19.4km/L
298,628円
日産「セレナ」
※XVグレード/2WD/8人乗り19.3 km/L
13.0 km/L
406,776円
ただし、車の燃費は走行する道路の状況や走り方によって大きく変わります。また、燃料代の差はガソリン価格によっても変わってきます。
比較ポイント③税金
税金では「環境性能割」「自動車重量税」で違いが生じます。税額の差は車種によりますが、ハイブリッド車のほうが全体で10万円前後安くなることも少なくありません。
•環境性能割:車の取得時に納める税金。環境性能で税率が変わる
•自動車重量税:車の取得時と車検時に納める税金。車量で税額が変わる
自動車重量税は車重を基準としていますが、環境性能の優れた車には「エコカー減税」が適用されます。新規登録時や初回継続車検時の重量税が免税/減税となったり、それ以降も他の車と比べて課税額が少額だったりします。
比較ポイント④整備・修理代
ハイブリッド車とガソリン車の車両代の差は、9~10万km以上走行した場合の燃料代と税金で概ね相殺できます。しかしながら、構造の複雑なハイブリッド車は整備・修理代が高くなりがちです。
特に気を付けたいのがバッテリー関連で、駆動用バッテリーの交換は数十万円かかります。
ただし、駆動用バッテリーの寿命は5~8年または10万kmが目安。さらに、実際には左記以上の期間・距離に耐えることが多いです。
比較ポイント⑤リセールバリュー
数年乗って下取りや買取に出す場合、より高く売れやすいのはハイブリッド車です。この査定額の差で、ガソリン車との車両価格の差が埋まることもあります。
ただし、ハイブリッド車の中古車はバッテリーの劣化も懸念されるので、買い替えるなら早めに売ったほうが値崩れしにくいです。
結局どちらが経済的?
基本的には「走行距離が長いならハイブリッド車、長くないならガソリン車」です。
維持費のなかでも差が出やすいのが燃料代。総走行距離9~10万kmは、9~10年乗る場合で1年に1万km前後、1日に25~30km前後走行する計算です。この目安より長く走るのであれば、ハイブリッド車のほうが経済的な可能性が高いです。
ハイブリッド車とガソリン車の性能比較
ハイブリッド車とガソリン車では、コスト以外にも差があります。走行性能などの違いも踏まえて検討しましょう。
比較ポイント①乗り心地・静粛性
ハイブリッド車は発進時や低速走行時に電気を利用する(※)ため、ガソリン車ほど振動やエンジン音の騒々しさを感じません。高い静粛性を誇り、乗り心地が良く感じられます。
一方で、機械らしさや操作感を求めるのであれば、ガソリン車のほうが「面白みがある」といえます。
※日産「e-POWER」など、発進時や低速走行時以外も電気を利用するハイブリッドシステムもあります。
比較ポイント②走行性能
前述の通り、ハイブリッド車は発進時や低速走行時に電気を利用します。そのため、発進直後からのびやかに加速するのが特徴です。ただし、駆動用バッテリーによって車重が重くなりがちで、よくも悪くも走りに重みがあります。
一方、ガソリン車はハイブリッド車に比べて車重が軽く、走りに軽快感があります。
比較ポイント③環境性能
環境性能は、当然ながらハイブリッド車のほうが優れています。
ハイブリッド車というと、つい燃費の良さに目が向きがちですが、ガソリン車と比べて温室効果ガスの排出を抑えられる点も魅力です。
比較ポイント④装備
多くの車種では、ハイブリッド車とガソリン車で少しずつ装備を変えています。ハイブリッド車に少し高価な素材が使われていたり、予防安全装備や運転支援機能が充実していたりすることも少なくありません。
それぞれ「おすすめな人」は?
ここまでの内容から、以下に「ハイブリッド車がおすすめな人」と「ガソリン車がおすすめな人」をまとめました。
ハイブリッド車がおすすめな人
•走行距離が長く、かつ市街地走行が多い
•静粛性や走りの上質感が欲しい
•購入から数年で乗り換える予定
•少しでも環境に良いものを買いたい
経済性を考えれば、走行距離の長い人ほどハイブリッド車がおすすめです。ただし、多くのハイブリッド車は高速走行時にエンジンで走行するので、走行距離が長いなかでも市街地走行の多い人ほどお得といえます。
また、3~5年ですぐ乗り換える場合、ハイブリッド車で人気のグレードを選ぶと、高く売れやすいです。
ガソリン車がおすすめな人
•走行距離があまり長くない
•できるだけ幅広い選択肢が欲しい
•購入時や修理時の負担を軽減したい
•車の操作感を味わいたい
•MT車に乗りたい
車両価格の差は、かなりの走行距離を走らないと埋めづらいです。そのため、長距離を走らない人が経済性を重視するなら、ガソリン車のほうが良いでしょう。
また、ガソリン車であれば購入時や修理時といった「まとまったお金が必要なとき」に少しでも負担を抑えられます。
中古ではバッテリー状態にも注目
中古でガソリン車とハイブリッド車を悩むときも、基本的には上記の基準で選べば良いです。ただし、ハイブリッド車では駆動用バッテリーの劣化具合を見極めることが大切です。
必ず販売員にバッテリーの状態を尋ね、できれば劣化度合いを数値で確認しましょう。
【車種別】コスト・性能・装備比較
ここでは、記事途中でご紹介した「フィット」「ヤリスクロス」「セレナ」の3車種について、改めてコストや性能、装備の比較をご紹介します。
①ホンダ「フィット」
HOMEグレード/2WDハイブリッド車ガソリン車差額
車両価格2,328,700円
1,985,500円
343,200円
WLTC燃費29.0km/L
18.5km/L
-
9万km走行時の燃料代目安558,621円
875,676円
317,055円
トヨタ「アクア」や日産「ノート」はすでに全車ハイブリッド仕様ですが、フィットはハイブリッド車とガソリン車を選べます。
HOMEグレードの場合、9万km走行で車両価格の差を概ね埋めることが可能です。安全装備や運転支援機能ではアイドリングストップと車両接近通報装置の有無、快適装備ではUSBチャージャーやシートバックポケットの有無といった点に違いがあります。
②トヨタ「ヤリスクロス」
Gグレード/2WDハイブリッド車ガソリン車差額
車両価格2,546,500円
2,172,500円
374,000円
WLTC燃費30.2km/L
19.4km/L
-
9万km走行時の燃料代目安536,424円
835,052円
298,628円
SUVの中でもトップクラスの燃費性能を誇るヤリスクロス。ハイブリッド車の最高燃費は30km/Lを超えています。
予防安全性能では、車両接近通報装置とプロアクティブドライビングアシスト(PDA)の有無、その他の装備では計器盤のデザインなどが異なります。
③日産「セレナ」
XVグレード/2WD/8人乗りハイブリッド車ガソリン車差額
車両価格3,548,600円
2,988,700円
559,900円
WLTC燃費19.3 km/L
13.0 km/L
-
9万km走行時の燃料代目安839,378円
1,246154円
406,776円
他の車種に比べてハイブリッド車とガソリン車の価格差が大きいセレナ。ただし、日産のハイブリッドシステム「e-POWER」は走行をすべて電力で行うため、どんな道でも電気自動車のような気持ちの良い走りを楽しめます。
予防安全性能は、車両接近通報装置とエマージェンシーストップシグナルの有無が異なります。また、ハイブリッド車はプロパイロットパーキングをオプションで追加できます。一方、ガソリン車ではパドルシフトが装備されています。
ハイブリッド車でよくある質問
Q. ハイブリッド車とはどんな車?
ハイブリッド車とは「走行に複数のエネルギーを用いている車」の総称です。その大半は、電力モーターとエンジンを使用しています。
多くの場合は走行状況に応じてモーターとエンジンを使い分けていますが、日産の「e-POWER」のように「エンジンで発電、走行はモーターで行う」という分け方をしているものもあります。
Q. ハイブリッド車のメリット/デメリットは?
ハイブリッド車のメリットは、以下の通りです。
•ガソリン車より燃料代が安い
•ガソリン車よりも税金が少額
•走行時の静粛性が高い
•発進時から滑らかに加速する
一方、デメリットは以下の通りです。
•ガソリン車より車両価格が数十万円高い
•修理費が高くなることがある
•走行音の小ささが原因で事故を起こすことがある
Q. ハイブリッド車のバッテリー寿命は?
ハイブリッド車には駆動用のバッテリーと電装品を動かすための補機バッテリーがあります。
駆動用バッテリーの寿命は、5~8年または10万kmが目安です。ただし、実際には左記以上の期間・距離に耐えることが多いです。一方、補機バッテリーの寿命目安は4〜5年です。
Supervised by norico編集長 村田創( https://221616.com/norico/hajime-murata/ )
中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!