楽しい!高校生活、見せます 釜石・商工祭 専門の学び 特色生かした体験、展示で
釜石市大平町の釜石商工高(今野晋校長、生徒180人)で27日までの2日間、「商工祭」が開かれた。商業、工業高の統合から16年目の学校祭は「商工華~百花斉放~」がテーマ。機械、電気電子、総合情報科の生徒それぞれが専門的に学んできた成果を地域に公開した。学業と合わせ、「楽しい」を視点に取り組む委員会や部活動でも多彩な個性を発揮。生き生きとした魅力あふれる学校生活を来場者に伝えた。
学校のことをたくさん知ってほしい―との思いが込もった商工祭。工業系、商業系の特徴を生かした企画や展示を用意した。機械科は旋盤や溶接作業の実演、電気電子科は静電気発生装置「バンデグラフ」を使った実験やエネルギー模型の展示などを実施。ものづくりの楽しさ、磨いてきた技術力を見せた。
体験企画もあり、機械科では六角形の真ちゅう(直径約1センチ、長さ10センチ)を加工する文鎮作りを準備。生徒の保護者や家族、地域住民らは、同科1、2年生の説明を聞きながら旋盤での切削、取っ手となるねじを付けるための穴あけなどの作業を見学したり、やすりでの面取りに取り組んで完成させた。
同科の佐々木琥羽さん(1年)は「誰でもできる簡単な作業で、ものづくりの楽しさを体感してもらえる機会だ」と積極的にアピール。佐藤匠さん(同)は緊張しながらも体験を希望した子どもらに寄り添い、作業を支えた。機械関係の仕事を念頭に知識や技術を習得中で、「さまざまな工具、機械に触れられて楽しい。資格取得もできるので就活に有利」と意欲を見せた。
総合情報科は伝統の「商工マーケット」でおもてなし。生徒らが調査し、「おいしそう」「売れる」と思った菓子や麺、レトルト食品などを全国から仕入れて販売した。「おすすめですよ」「おやつにどうぞ」など元気に呼び込み、購入者には「ありがとうございます」と笑顔を添えた。
ご当地スナックと岩手産リンゴを販売した同科の木下莉星さん(2年)のイチ押しは京都の金平糖専門店・青木光悦堂の砂糖菓子「ボンボン」。小さくてカラフルな見た目が「かわいい!」と選んだ商品で、狙い通り、子連れの家族が手に取っていて、「うれしい」と笑った。班の仲間7人で調査、仕入れ、交渉などを手分けし、苦労もあったというが、「言葉遣いに気を付けたり、質問された時の対処とか、コミュニケーション力を身に付ける機会。大変だったことは将来、役立つはず」と充実感をにじませた。
ステージ発表ではなぎなたの演舞や、吹奏楽部の演奏会があった。「商工虎舞」は若々しい舞、威勢のいい掛け声で学校祭を盛り上げた。虎舞委員会の委員長で機械科2年の山崎陸翔さんによると、練習は週2回、昼休み時間が主で、18人いるメンバーがそろうことはほぼなし。それでも、コロナ禍の影響が落ち着き、声を出せるようになったことで活動意欲は高まっている。
幼少期から身近にあった虎舞が「大好き」な山崎さん。伝統の商工虎舞の素晴らしさを多くの人に知ってもらおうと演舞にも力が入る。委員会としての活動だが、1年生メンバーが少ないのが気になっている様子。学年間の基本的な礼儀はあるが壁はなく、「仲も雰囲気もいい。やってみれば楽しさも分かると思う。学外で披露したり、いろんなことに挑戦したい」と前を向いた。
生徒たちが開かせた多彩な花(学びの成果)は来場者に届いた様子。総合情報科で学ぶ娘の姿を見守った高木未来さん(40)は「接客や運営をしっかりやっていたし、普段とは違った面を見られた」と目を細めた。高校時代から専門的な学びに取り組む生徒たちにも感心。「各科の特色を生かした内容で楽しむことができた」とほほ笑んだ。
戸塚敏彦副校長は「人とのつながりを感じ、学びを実践する場になれば。失敗も経験。トライ&エラー、やって失敗しても、また挑戦して改善、磨き上げればいい。地域の人たちに学校を知り、理解し、喜んでもらえたらうれしい」と話した。