「屋根の雪下ろし、もうやめませんか?」専門家が解説!実は北海道の家は雪の重みにとっても強かった【冬の暮らしも大好き#8】
こんにちは!札幌市を拠点に、冬の暮らし全般に関する様々な調査・発信を行っている「ウインターライフ推進協議会」です。
私たちは、北海道に住む皆さん、そして北海道を訪れる観光客の皆さんに、安全・安心・快適に冬を過ごしていただきたい…こんな思いを胸に日々活動しています!
今回は、やすシニアがお送りした、「除雪のコツ」のベーシック編に続き、僕、小西信義(ニックネーム:こにたん)から北海道の「雪下ろし」について、声を大にしてお伝えしたいことがあります!
一向に減らない屋根雪下ろし事故
まず、雪かきってすごく日常的に行うものなんですが、同時に、すごく危険な作業なんです。
毎冬、全道で300人から400人が事故に遭っています。
しかもこの人数は、各市町村が把握している氷山の一角。
そして、さらに驚きなのが、このうちの7割が屋根雪下ろし関連事故!
具体的には屋根転落とはしご転落です。
さらに続けると、残念ながら毎冬5人から多いときには30人近くの方が命を落とします…。
どんどん怖くなってきましたか?
怖くなって、「もう自分は屋根の雪下ろしをしないぞ!」とか、「雪下ろしをしている人がいたら止めなくちゃ!」と思っていただければ、ここで読了してください!
僕はみなさんに屋根雪下ろしをしてほしくないために、このメッセージを伝えたいのですから。
危ないのはわかっているけど、雪下ろししないと危ないでしょ?
確かに、雪庇が軒を壊したり、屋根から落ちた雪や氷が人に当たったり、倉庫や車庫が壊れたり…。
屋根の雪が誰かの危険になったり、トラブルになったりするのでは…と不安は尽きないものです。
そんな不安の一つとして、「雪の重みで家は倒壊しないの?」という問い合わせをよくいただきます。
結論は、「安心してください!北海道の家は雪の重みで倒壊することはありません」です。
毎冬死傷者がたくさんいるのに、それでも屋根に上がってしまう方に聞いてほしいことがあります。
雪下ろしをしなくてもいい設計になっているんです!
そもそも北海道の住宅は、建築基準法施行令に基づいて雪下ろしを行わなくても雪の重みに耐えることができるように設計されています。
設計の基準のひとつに積雪荷重基準というものがあります。
建物の立地場所に応じ算定された屋根雪による荷重の基準です。
具体的には、市町村ごとに定めた「垂直積雪量」にのっとりみなさんの住宅は建てられているのです。
例えば、札幌市(南区の一部を除く)の垂直積雪量は140cmで、「平地で140cmの積雪となったときを想定した場合の積雪荷重にも耐えられるように建築物は設計されなければならない」という意味となります。
ちなみに、ここ30年間の2月の最大積雪深(その月でもっとも雪が積もったときの雪の高さ)の平均は95センチ。
垂直積雪量から十分余裕があります。
なので、安心してください!
北海道における建築物の積雪荷重基準によると、屋根雪下ろしの必要性は低いことがわかります。
もう一度言いたい!その雪下ろしは本当に必要ですか?
しつこいようですが、雪下ろしでこれ以上悲しい事故が起きてほしくないので、何度も言います。
その雪下ろしは本当に必要ですか?
住宅の屋根雪下ろしの必要度をチェックできるフローを、専門家と一緒に考えました。
「自分の家の雪下ろしは本当に必要かな?」と思った方、ぜひこのチェックフローで雪下ろし必要度を診断してみてください!
みなさんが健やかに冬の暮らしを過ごされることをお祈りしています。
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連載「冬の安全・安心・快適なくらしをお届け!だって冬がすきなんだもん♡」
文・「ウインターライフ推進協議会」・小西信義(ニックネーム:こにたん)
編集:Sitakke編集部あい