化学兵器として使われるヤバすぎる毒とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話】
化学兵器として使われるヤバすぎる毒
人体を脅かす非常に危険な毒ガス
毒は過去に化学兵器として用いられ、戦争に利用されてきました。毒がはじめて使われたのは、紀元前595年の第一次神聖戦争です。クリスマスローズという植物の毒を川に入れ、下流で川の水を飲む敵軍を苦しめました。その後、時代が進むと毒ガスが開発され、第一次世界大戦で大々的に使われるまでになりました。
毒ガスには、大きく分けて4つの種類があります。まず1つ目が「神経剤」です。これは神経系に働く毒ガスで、吸い込むと筋肉がけいれんし、呼吸困難に陥ります。極めて毒性が強く、また無色でにおいも味もしないため、散布されても気づきにくいといえます。「地下鉄サリン事件」で使われたサリンはこの神経剤にあたります。
2つ目は「窒息剤」です。呼吸器系に作用するもので、塩素ガスがその代表例です。塩素ガスは黄緑色をしており、刺激臭があります。吸い込むと涙や鼻水が出てくるほか、肺炎や肺水腫を発症し、呼吸困難で死に至ることがあります。
3つ目は「血液剤」です。体内に取り込まれると、血液中のヘモグロビンと結合して細胞呼吸を妨げます。青酸ガスがこの一種です。
4つ目は「びらん剤」です。主な症状としては、触れた部分の皮膚がただれます。マスタードガスがこの代表例であり、吸い込むと、がんの発症率を高めてしまう危険性もあります。
毒ガスは大きく分けて4種類
神経剤
特徴:神経系に作用する。筋肉をけいれんさせ、呼吸困難を引き起こす。毒性が強い。
代表例:サリン
窒息剤
特徴:呼吸器系に作用する。窒息症状を引き起こす。
代表例:塩素ガス
血液剤
特徴:血液中のヘモグロビンと結合して細胞呼吸を阻害する。
代表例:青酸ガス
びらん剤
特徴:皮膚をびらんさせる、つまりただれさせる。
代表例:マスタードガス
毒ガスの開発・使用は世界的に禁止!
ジュネーヴ議定書
毒ガスをはじめとする化学兵器や細菌学的手段の戦争での使用禁止に関する議定書。
生物兵器禁止条約(BWC:Biological Weapons Convention)
生物兵器の開発や生産、貯蔵または保有を禁止するだけでなく、既存の生物兵器を廃棄しようとする法的な枠組み。
化学兵器禁止条約(CWC:Chemical Weapons Convention)
化学兵器の開発、生産、貯蔵、使用を全面的に禁止し、同時に米国やロシアなどが保有している化学兵器を一定期間内(原則として10年以内)にすべて廃棄することを定めたもの。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次