トランプ裁判、免責特権で複雑に?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、7月3日の放送では「ややこしいことになってきたトランプ裁判の行方」をテーマに、毎日新聞論説委員の小倉孝保が解説した。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「先日の候補者討論会は6、7割、ウソの話を散りばめつつ、バイデン大統領を圧したトランプ前大統領です。一方で不倫口止め料を不正に会計処理したとされる事件の裁判が続いております。ニューヨーク州の地裁は『有罪である』という方向性でいたんですが、2日になって、今月11日に予定していた量刑の言い渡しを、9月18日に延期することになりました。なぜかというと連邦最高裁が、大統領在任中の公務に関しては刑事責任の免責特権が適用される、という判断を示したことを受けての新たな展開となっています」
長野智子「このせいで議会乱入(の件)が大統領選挙以降になってしまいました。免責特権ってどうなんですか?」
小倉孝保「今回の免責特権の判断が出たとき、アメリカは最高裁というのがいかに大切なのか、この判事を大統領が選んで任命しているわけですから。もう6:3ですよね。保守系の判事が6で、3はどちらかというと民主党系の大統領から指名された。非常に保守的な判断が出やすい状況になっている」
鈴木「はい」
小倉「今回の判断でアメリカは大騒ぎになっています。改革派のひとり、女性でソトマイヨールさんという判事がいて、その人が怒りに震えたようなこと、私は判定しないよ、といった苦言を呈しているんです。これを認めると大統領は法を上回る王様になる、と。大統領の間は何してもいい、となってしまうんじゃないの、と」
長野「はい……」
小倉「極端な話、『政敵を暗殺しろ』なんてあってはならないけど、そういう大統領がもし出てきたら免責されるのか、となってしまう」
長野「そうですよね。でもどうするんでしょうね、最高裁がそういう判断をしてしまった」
小倉「これは動かせないですからね。あとは下級審で、どの部分が大統領としての仕事だったのか判断をしなさい、と言っているから」
長野「下級審に投げた」
鈴木「差し戻しというやつですね」
小倉「たとえば議会の乱入を指示したんじゃないか、動かしたんじゃないか、というのは大統領としての職務だったのか、大統領候補としての役割だったのか。そこについては下級審でもう一度やり直しなさい、となっている」
長野「このあと大統領選まで、影響とかはどうなっていくんですか?」
小倉「この間、陪審で有罪の評決が出たものについては9月13日に恐らく判決が言い渡される。それ以外のまだ途中のものが3つぐらいありますよね。これについては大統領選挙のあとになってしまうと思われます」
長野「万が一トランプさんが大統領になった場合、大統領としてその判決を受けるわけですね」
小倉「そうです。大統領はそこでまた大統領としての力を発揮できる。なかったようなことにできるんじゃないか、という危惧がいま、広まっているわけです」