築100年超の町家で80歳の“母の味”ーー富山市八尾【山元食道】絶品牛テールスープと牛すじカレーのワケは食道にあり!?
富山市八尾町。風除けと五穀豊穣を記念する祭りとして300年以上の歴史を持つ「おわら風の盆」の開催で知られ、古くは飛騨街道の要所として栄えた優美な街並みと相まって、県外や海外からも観光客が訪れる人気のエリアです。
9月の「風の盆」本祭のころには人であふれる八尾町ですが、普段は豊かな自然に囲まれて静かな街。石垣や石畳の坂道に沿って黒々とした瓦屋根と白壁の町家が並ぶ風情ある一角に、80歳の店主が手間暇かけた料理をふるまう食道(食堂)があります。
100年超の町家を改装した「山元食道」
厨房に立つのは80歳の店主
おわらの輪踊りが行われる名スポットとして知られる鏡町のおたや階段。そのすぐ近くに「山元食道」はあります。
築100年を超える町家を再生した、古くからの面影を残す店構えです。
店を切り盛りするのは店主の山元玉子さん。なんと、御年80歳。
とてもそんな歳とは思えないほどのはつらつとした笑顔と口調で出迎えてくれます。
2009年にオープンした店内は、すべて山元さんの息子が改装を手がけました。
「自慢の母の料理をみなさんにも食べてほしい」
そんな想いで作った店は、立派な柱や梁など、趣きある町家の造りを活かしつつ、シックでモダンな雰囲気に仕上がっています。
山元さんが作るのは、富山と八尾の旬の食材を活かしながら手間をかけて調理した料理ばかり。
店の営業は土・日曜だけで、平日はほとんどの時間を仕込みに費やしています。
コトコト煮込んだ牛テールがほろっほろ!
気まぐれランチの「牛テールスープ」で夏バテ知らず
その日によってメニューが変わる、人気の「気まぐれランチ」。
夏真っ盛りに訪れると、「夏バテしないように」とメインのおかずはテールスープでした。
京都から取り寄せた牛テールを丁寧に下処理し、弱火でコトコト煮込んで作られるテールスープ。
ほろほろ~とほどけるほどやわらかくなった牛テールがたっぷり入っていて、ごはんに乗せて食べるのもオススメです。
手間暇を惜しまず作る「牛すじカレー」
もうひとつの人気メニューは、「牛すじカレー」。
テールと同様、京都から仕入れている牛すじを使っていて、スパイシーなカレーにプルンプルンの牛すじがよく合います。カレーには、飴色に炒めた玉ねぎとフルーツがたっぷり入っていて、スパイスの後から追いかけてくるさわやかな甘みが後を引きます。
絶妙なバランスで調和がとれたカレーは、店を訪れたらぜひ食べたい1品です。
“食道”のルーツは、今はなき八尾駅前のモツ鍋店
この地で営業を始めて15年となる「山元食道」。
そのルーツは、2007年までJR高山本線の越中八尾駅そばにあったモツ鍋店にありました。
いつも常連客でにぎわい、50年以上続いた店でしたが、店主が亡くなったことで惜しまれながら閉店。復活を望む多くの声に応える形で、亡き店主の家族たちが今の「山元食道」をオープンしました。
というわけで、店名の「食道」は、“食の道”という意味とモツがかかっているんだとか。
80歳の今でも料理への情熱は尽きることなく、厨房に立ち続ける山元さん。
作るのはどれも手間暇のかかる料理ばかりだそうですが、「料理だけは根気よく続けられる。他のことはてんでダメだけど!」と笑顔で語ります。
今は自家製プリンの試作中とのことで、今後メニューに登場するかもしれません。
「気まぐれランチ」は時期に合わせた旬のものを提供されるので、SNSなどでチェックしてください。築100年の町家で出迎えてくれる山元さんの笑顔と手の込んだ料理で、ほっとする時間になりそうです。
出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
2024年8月23日放送
記事編集:nan-nan編集部
【山元食道】
住所 富山県富山市八尾町鏡町1000-10
営業時間 <土・日曜のみ営業>
昼 11:30~14:00
夜 予約営業のみ
定休日 月~金曜